【関係の終末】38話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【関係の終末】第38話をネタバレありで解説する

前話、マサルは「俺達の関係はそれほど深い」という言葉と共に、その壮絶な人生に幕を下ろしました。しかし、地獄の夜はまだ明けていませんでした。第38話では、唯一の生存者となった「怪物」タツヤの最期と、この物語の根幹をなす「関係」の本当の終末が描かれます。

最後の抵抗、怪物の意地

物語は、満身創痍のタツヤと、彼を取り囲む「悪魔」たちとの最後の戦いから始まります。リーダーであるハシラに「刺激的じゃないなぁ」と嘲笑されても、タツヤは「俺を誰だと思ってんだ!絡む相手を間違えてるんだよ!」と、王者の意地を見せつけます

その言葉通り、彼は人間離れした生命力で「悪魔」たちに抵抗し、一時は彼らを圧倒します。そのしぶとさに、「悪魔」たちも「まだ生きてるな」「おじさん丈夫なんだね」と驚きを隠せません 。しかし、多勢に無勢。度重なる攻撃を受け、ついに怪物タツヤも地面に倒れ伏すのでした。

「これが俺の望んだことなのか?」、タツヤの後悔

薄れゆく意識の中、タツヤの脳裏に一つの疑問が浮かびます。仲間を皆殺しにされ、自らも怪物と化し、そして今、無様に死んでいく。その全ての光景を思い返した彼は、静かに自問自答します。

「これが俺の望んだことなのか?」

いじめ、暴力、そして狂気の果てに彼が手にしたのは、空虚な満足感と、差し迫る死の恐怖だけでした。彼が心のどこかで求めていた「楽しいこと」は、どこにも存在しなかったのです。

「サル…助けて…」、あまりにも皮肉な最期

絶対的な孤独と死を目前にし、タツヤの口からこぼれたのは、仲間たちの名前ではありませんでした。それは、彼が人生で最も見下し、支配し、そして弄んできた男の名前でした。

「おい…サ…ル…たす…けて…」

最強のいじめっ子であった男が、人生の最期に助けを求めた相手は、最弱のいじめられっ子であった「サル」だったのです。その声は、近くで同じく息絶えようとしていたマサルの耳に、確かに届いていました

いじめる者といじめられる者。二人の歪んだ「関係」は、互いに互いを求めながら、共に死んでいくという、あまりにも皮肉で、そして悲しい結末をもって、本当の終わりを迎えたのでした。

まとめ【関係の終末】38話を読んだ感想

今話は、この物語の主軸であったマサルとタツヤの因縁に、一つの決着がつく、非常に重要な回でした。二人の関係が「共倒れ」という最悪の形で終末を迎える様に、この作品が描き続けてきたテーマが凝縮されていたように感じます。

タツヤの最期には、深く考えさせられました。「これが俺の望んだことなのか?」という後悔は、彼の中にほんのわずかに残されていた人間性の証だったのかもしれません。そして、最後にマサルに助けを求めたシーンには鳥肌が立ちました。それは、彼が心の奥底では、マサルという存在に異常なまでに執着し、依存していたことの証明だったのではないでしょうか。彼のプライドが崩壊した最期の瞬間に、無意識に最も「深い関係」にあった相手を求めてしまったのだと思うと、その歪んだ関係性の恐ろしさに、改めて戦慄します。

マサルとタツヤ、二人の物語はここで一つの区切りを迎えました。しかし、この地獄の夜を演出した「悪魔」たちは、まだそこにいます。彼らの目的は何なのか、そしてこの惨劇の果てに何が待っているのか、物語は新たな謎と恐怖のフェーズへと移行したように思えます。中心人物二人が退場した今、この物語がどこへ向かうのか、全く予測がつかない展開に目が離せません。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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