【みいちゃんと山田さん】5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【みいちゃんと山田さん】第5話をネタバレありで解説する

第5話のタイトルは「みいちゃんの友達」。このエピソードでは、みいちゃんにとって鏡のような存在である親友が登場し、二人の対照的な選択が、彼女たちの未来を大きく左右する様子が残酷なまでに描かれます。

万引きと、歪んだ「解決策」

物語は、山田さんの働く店の店長に一本の電話が入るところから始まります。それは、みいちゃんが近所のコンビニで万引きをして捕まったという、衝撃的な知らせでした 。山田さんは「面白そうだし」という好奇心と一抹の不安を抱えながら、店長と共に現場へ向かいます

コンビニのバックヤードで、みいちゃんは悪びれる様子もなく「お腹空いて我慢できなくて」会計前のパンを食べてしまったと話します 。警察沙汰にならなかったことを不思議に思う山田さんに対し、みいちゃんは笑顔でその「解決策」を明かしました。

「店長さんのちんちん舐めたからね~!」

彼女は、性的行為によってその場を収めたのです 。愕然とする山田さんが「万引きって犯罪だからね!?」と叱っても、みいちゃんには全く響きません 。彼女は「でもペロペロで許してもらえるから!」と、それが過去にも通用した万能の解決策であると信じて疑わないのでした

刑務所から来た親友「ムウちゃん」

そんな中、みいちゃんに保育園からの親友「ムウちゃん」から連絡が来ます 。彼女は、万引きを繰り返して刑務所に入っていましたが、2年ぶりに連絡してきたのです

後日、再会したムウちゃんは、みいちゃんに「見て見て~」と一冊の手帳を見せます。それは、東京で「愛の手帳」と呼ばれる、知的障害者であることを証明する障害者手帳でした 。刑務所内での検査で、彼女は知的障害者であると診断されたのです

ここで物語は、日本の刑務所では受刑者の半数近くが知的障害の疑いがあるというデータを示し、刑務所がある種のセーフティネットとして機能している現実を解説します

「普通」への道と、訣別の言葉

ムウちゃんは、出所後に福祉事務所のサポートを受け、今はホチキスの針を箱に詰める仕事をしていると語ります 。それは単純な作業ですが、彼女は「ムウちゃんにしかできない事だって」「すごく褒めてくれるの!」と、自分の居場所を見つけたことに誇りを感じていました 。そして、もう風俗の仕事はしないと、施設の人と約束したと話します

ムウちゃんは、みいちゃんも一緒に福祉センターへ行こうと誘います 。しかし、その提案はみいちゃんのプライドを激しく傷つけました。

「みいちゃんは違うから!障害ではないから!」

みいちゃんは、自分は「個性的」なだけで、将来は小説家か映画監督になるのだと主張します 。そして、福祉の道を選んだムウちゃんを拒絶し、「前みたいに一緒にやろうよ!」と再び立ちんぼに誘うのでした 。もちろんムウちゃんはそれを拒否し、怒ったみいちゃんは「もうムウちゃんなんか友達じゃない!」と叫び、一人で街へ飛び出してしまいます

スタート地点と選択、そして最悪の未来

親友と決別し、支援の手を振り払ったみいちゃん。その姿を見ながら、山田さんはこう考えます。「スタート地点と能力値が同じでも 出会う人と自分の選択で結末は大きく変わる」

そして物語の最後、時間は少し未来へ飛びます。山田さんがホチキスを使うたびにこの日のことを思い出すというモノローグと共に、不吉なニュース速報が映し出されます。それは、

宮城県の山林で発見された身元不明の女性遺体から、覚醒剤の成分が検出されたというニュースでした 。宮城県は、みいちゃんの実家がある場所です 。みいちゃんの未来を暗示する、あまりにも残酷な結末でした。

まとめ【みいちゃんと山田さん】5話を読んだ感想

第5話は、息が詰まるほど重く、そして深い問いを投げかけてくるエピソードでした。みいちゃんの親友として登場したムウちゃんは、まさに「もう一人のみいちゃん」であり、二人の進む道が残酷なまでに対照的に描かれます。

ムウちゃんは、知的障害という診断を受け入れ、福祉のサポートを得て、ささやかながらも誇りを持って生きる「再生」の道を選びました。彼女がホチキスの箱詰め作業を「すごく褒めてくれるの!」と嬉しそうに語る姿は、人が社会の中で生きる上で「承認」がいかに大切かを物語っています。

一方でみいちゃんは、その道を頑なに拒絶します。彼女は「障害者」というレッテルを貼られることを、自分の存在価値の全否定と捉えたのでしょう。「自分は個性的で、特別な才能があるはずだ」という幻想にすがり、現実から目をそむけ、最も安易で自己破壊的な「解決策」へと逃げ込んでしまいます。そのプライドの高さが、彼女を救いの手から遠ざけてしまう姿は、本当に痛々しく、見ていられませんでした。

同じような境遇に生まれながら、一人は社会との接点を見出し、もう一人は破滅へと突き進む。この回で示された「選択」の重みと、その先に待つ未来の暗示は、これまでのどのエピソードよりも強烈に心に突き刺さりました。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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