【みんな、ボドになった。】2話をあらすじから結末まで簡単にネタバレ解説!

【みんな、ボドになった。】第2話をネタバレありでわかりやすく解説する
妹を心配する一心で、5年ぶりに故郷「鬼夜沢」に降り立った沙織。しかし彼女を待ち受けていたのは、懐かしさだけではない、村の不気味な因習の始まりでした。
忍び寄る「ボドまつり」の影
「逃げたら殺される」謎の忠告
物語は、沙織の同級生らしき青年・百一(もいち) と、彼の友人の不穏な会話から始まります。「今からでも東京に引き返したい」と漏らす百一に、友人は「…それはやめといたほうがいいよ。」 と静かに忠告します。そして、これから行われる「ボドまつり」 について、こう警告するのです。
「ちゃんと参加しないと」
「もし 逃げ出したりしたら 殺されちゃうかもしれないよ」
この会話から、村の祭りが単なる伝統行事ではなく、参加が強制され、背けば命の危険すら伴う異常なものであることが示唆されます。
母親が強要する“伝統”
駅前で沙織を待っていたのは、車に乗った母親でした。再会を喜ぶ素振りを見せつつも、その口から出るのは祭りの話ばかり。沙織がうんざりしていると、母親は核心に触れます。
「今年は ほら! 二十四歳になる 大事な年でしょう」
「どうしても 『ポド祭り』に参加してもらわないと」
沙織が「バカみたい」と冷たくあしらっても、母親は「だって それが この集落の 伝統なんだから」 と、聞く耳を持ちません。沙織の意思などお構いなしに、祭りに参加させようとする母親の姿には、どこか狂気じみた異様さが漂います。
懐かしさと違和感が交差する再会
5年ぶりの同級生・百一
母親は、祭りの準備が行われている学校の前に車を停めると、そこにいた同級生の百一を指さします 。そして、「同級生だってちゃんと参加するんだから」と、沙織を無理やり車から降ろしてしまうのです 。
荷物もまだ車の中なのに、と抗議する沙織ですが、母親は「運んどいてよ」と取り合いません 。沙織が「別にこのまま東京に戻っても私は構わないけど!?」 と声を荒らげると、母親は渋々折れ、後から合流することを約束します 。
祭りのことなど心底どうでもいい沙織ですが、共に育った仲間たちのことは懐かしく思う気持ちもありました 。複雑な心境のまま、沙織は百一に声をかけます。
昔のあだ名「オリガミ」
5年ぶりに再会した百一は、沙織のことを懐かしいあだ名で呼びました。
「久しぶり オリガミ」
「オリガミ」とは、「ガミガミおっかない優等生のサオリ」を略したもので、昔のあだ名をまだ覚えていた百一に、沙織は呆れながらも少し表情を和らげます 。百一もまた、沙織と同じく東京の会社で働いていることが判明し 、二人の間にはしばし穏やかな空気が流れます。
村の闇と沙織の決意
「あの家」に向けられる特有の視線
百一との会話も束の間、沙織は周囲の村人たちから向けられる奇妙な視線に気づきます。それは単なる好奇の目ではありませんでした。
「違う あれは私だけに向けられる 特有の視線」
「昔から そうだった」
沙織は、その視線の理由を自覚していました。それは、「私が あの家の 人間だから」 。彼女の一族が、この村で何か特別な、あるいは忌むべき存在として扱われていることが、この一言で明らかになります。
村を出るために必要だった勉強
百一から「昔から勉強できたもんなぁ」と褒められた沙織は、力なく否定します 。
「『勉強だけは』だよ」
「…必要だったから」
彼女にとって勉強は、ただひたすらに「一日も早く村を出たくて」必死に掴んだ蜘蛛の糸だったのです 。東京の大学に入り、二度とこの村には戻らないと心に誓っていた沙織 。「…だから正直 今回も帰りたくなかったのに」 という悲痛なモノローグで、第2話は終わりを迎えます。
まとめ【みんな、ボドになった。】第2話を読んだ感想(ネタバレあり)
第2話を読み終えて、第1話で感じた不穏さが一気に現実的な恐怖へと姿を変えたように感じました。「逃げたら殺されるかもしれない」 という直接的な言葉は、この「ボドまつり」が単なる田舎の奇祭ではなく、命がけの儀式であることを明確に示しており、背筋が凍る思いです。
特に印象的だったのは、沙織の母親の存在です。娘の帰りを喜び、心配しているかのような言葉を並べながら、その実、村の「伝統」という名の呪いを娘に強制しようとする姿は、何よりも恐ろしく感じました。愛情と狂気が紙一重で存在する家族関係の歪みが、この物語の根深い闇を象徴しているようです。
また、同級生・百一の登場により、物語に新たなレイヤーが加わりました。彼もまた祭りの当事者であり、沙織と同じように村を出たがっているように見えます。彼が今後、沙織の唯一の理解者となるのか、それとも村の因習に飲み込まれてしまうのか、その動向から目が離せません。「オリガミ」というあだ名を巡るやり取りは、過酷な状況の中での一瞬の清涼剤のようでありながら、過去と現在の断絶を際立たせる効果もあって、非常に巧みな演出だと感じました。
そして、今回新たに提示された最大の謎、「私が『あの家』の人間だから」 という沙織の独白。彼女の一族が村でどのような立場に置かれているのか。村人たちの特有の視線は、畏怖なのか、侮蔑なのか。この謎が「ボドまつり」の核心にどう関わってくるのか、考察が尽きません。沙織が必死の思いで逃げ出した村の正体が、少しずつ、しかし確実に明らかになっていく展開に、恐怖と期待が入り混じった感情でいっぱいです。
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