【みんな、ボドになった。】16話をあらすじから結末まで簡単にネタバレ解説!

【みんな、ボドになった。】第16話をネタバレありでわかりやすく解説する
同級生・清太郎(せいたろう)の思わぬ助け舟によって、地区長の魔の手から逃れた沙織。彼の豹変ぶりに戸惑いながらも、その脳裏には過去の記憶が鮮やかに蘇っていました。そして、いよいよ恐怖の儀式「ボド祭り」が、その幕を開けます。
過去と現在が交差する、守りたかった笑顔
いじめられっ子だった清太郎の勇気
地区長を追い払った清太郎の凛々しい姿に、沙織は子供の頃の出来事を思い出していました。村の最下層「外れ」の家の子供であることから、いじめの対象にされていた沙織。そんな彼女を、当時太っていた清太郎はいつも体を張って守ってくれていたのです。
「ぼ…ボクは あの 上東家幸信と 友達なんだぞ」 「今度やったら 言いつけるからな!」
力の強い上級生たちに殴られても、彼は「沙織ちゃんに当たらなくてよかった」と笑っていました 。昔も今も、変わらず自分を助けてくれる清太郎。その優しさに、沙織は感謝の言葉すら見つけられませんでした。
「個」を消す儀式、ボドへの変貌
神になるための支度
清太郎との束の間の再会も終わり、沙織は祭りの支度部屋へと案内されます。そこは、百一(もいち)の家でもある広大なお寺の一室でした 。案内役の女性にスマホやカメラを取り上げられ、外部との連絡を一切断たれてしまいます 。
部屋には一枚の紙が置かれており、そこにはボドになるための手順が図解されていました 。
- まず全てを脱ぎ、着物を着る 。
- 手足に墨を塗り、蔓を巻きつける 。
- 最後に、あの不気味な仮面と草履を身につける 。
沙織は、言われるがままに支度を整え、人間・沙織としての「個」を消し、神様「ボド」へと変貌を遂げるのでした。
神様に近づくということ
支度を終えた参加者たちが、ズラリと一列に並びます。皆が同じ格好をしているため、もはや誰が誰なのか見分けがつきません 。昨日自分を襲った犯人や、信じたい友人、その全てが仮面の下に隠されています 。
「どんな身分でも 同じ格好をして 男女はおろか 個さえ あやふやになって」
「神様に近づくって こういう事 なんだろうか」
祭りの初日は、寺と近くの神社を往復するだけという、静かなものでした 。しかし、明日になれば村中を回り、泥を投げつけられることになるのです 。
密室で起きた異変と消えた「証拠」
誰かが部屋に…?
初日の儀式を終え、支度部屋に戻った沙織は、自分の荷物に違和感を覚えます。自分が放り出したはずのバッグのファスナーが、
きっちりと綺麗に閉められていたのです 。ぞっとする感覚。自分がいない間に、誰かがこの部屋に侵入したことは明らかでした 。
消えた「不要品」ファイル
沙織は慌てて中身を確認しますが、特に盗られたものはないようでした 。しかし、最も重要なものが消えていることに気づきます。バッグの奥に隠していたはずの、誰かの血にまみれた、あの「不要品」ファイルが、跡形もなく消え失せていたのです 。
自分が寺を出たのは最後だったはず 。つまり、犯人は参加者の中にいる。恐怖と疑念が渦巻く中、沙織のスマホに、百一から「今夜どうしても話したい事がある。会えないか?」というメッセージが届くのでした 。
まとめ【みんな、ボドになった。】16話を読んだ感想(ネタバレあり)
清太郎の過去の優しさが描かれる心温まる(?)回想シーンから始まり、読者を少し安心させたかと思いきや、そこからノンストップで恐怖のどん底に突き落とす、見事な構成の第16話でした。
特に印象的だったのは、ボドへと変貌していく支度のシーンです。一つ一つの手順が淡々と描かれることで、個人の尊厳が methodical に剥奪されていく過程が、より一層不気味に感じられました。「神様に近づく」という行為が「個の喪失」と結びつけられる哲学的な問いかけは、この物語が単なるスプラッターホラーではないことを示しています。
そして、後半のサスペンスフルな展開。誰もが怪しく見える状況で、唯一の物証であった「不要品」ファイルが消えるという展開は、ミステリーとして非常に秀逸です。犯人は、沙織を追い詰めるためか、それとも守るためか。その意図が見えないからこそ、恐怖は増幅します。このタイミングで「今夜会いたい」と連絡してくる百一は、あまりにも怪しすぎます。彼は味方なのか、それとも…。
もはや誰一人信じることができない八方塞がりの状況。物理的な恐怖に加え、じわじわと精神を蝕む心理的な恐怖が、この作品の真骨頂だと改めて感じました。百一の誘いに、沙織はどう応えるのか。次週、物語は重大な転機を迎えそうです。
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