【人間関係アディクション】49話をあらすじから結末まで簡単にネタバレ解説!

ずっちー

【人間関係アディクション】第49話をネタバレありで簡単に解説する

前回の第48話は、かつて美少年だったチヒョクの心と体が、母親の看病と極度のストレスによって無残に崩壊していく、壮絶な過去が描かれました。そして物語は、壊れていた母親が息子を深夜の散歩に誘うという、戦慄の場面で幕を閉じます。第49話は、その直後の出来事を、悪夢と現実が交錯する悪夢的な手法で描きます。少年の願いと絶望が凝縮された、奇妙な夜の散歩。そして、悪夢から覚めた彼を待ち受ける、残酷な現実とは。

悪夢―母との奇妙な夜の散歩

手をつなぐ母、拭えない息子の不信感

物語は、チヒョクを散歩に誘う、正気に戻ったかのような母親の姿から始まります。彼女は「お母さんと手をつないでくれないの?」と、穏やかに息子に手を差し伸べます 。

しかし、チヒョクの心は晴れません。「こんなのは初めてだ」「どうせまた急に罵ったり殴ったりするんだろうけど…」と、彼は母親の豹変を警戒し、心を閉ざしています 。それでも、彼は母親の頼みを断ることができず、二人は手をつなぎ、夜の散歩に出かけるのでした。

「覚えてる?」- 試される母の記憶

散歩中、母親は「ずっと家にいたから外の空気が吸いたくて」と、ごく普通の理由を語ります 。そして、チヒョクに「ねぇ…今までのこと覚えてる?」と尋ねました 。その言葉に、チヒョクは母親が正気に戻ったのかを確かめるため、いくつかの質問を投げかけます。

「じゃあ今日は何月何日?」 「じゃあ僕の誕生日は?」 「僕が通ってる中学校は?」 母親は、今日の日付、彼の誕生日、そして学校名まで、全て正確に答えてみせます 。そのあまりにまともな応答に、チヒョクは安堵する一方で、拭いきれない違和感を覚えるのでした。

記憶の矛盾と競争の始まり

チヒョクは、母親が自分のしたことを「覚えてないみたいだけど…」と、彼女の記憶が都合よく選択されていることに気づいています 。その証拠に、彼女は以前、妄想の中で口にした隣の席の女子生徒「イ・ソジン」のことなど、覚えていないそぶりを見せるのです

そして、母親は突然「家まで競争しよっか?」と奇妙な提案をすると、彼の返事を待たずに一人で走り出してしまいます 。チヒョクは「お母さん待ってよ!」と、必死にその後を追いかけました 。しかし、その先で彼が見たのは、もつれて地面に激しく倒れる母親の姿でした。

夢の終わり、そして現実の地獄

母の転倒と悪夢からの覚醒

「お母さん…!」 彼の叫び声が響いた瞬間、チヒョクは台所の冷たい床の上で目を覚まします。手はしびれ、吐き気がこみ上げてくる 。そう、あの奇妙な夜の散歩は、全て彼が見ていた悪夢だったのです 。

彼は、一人暗闇の中で膝を抱え、今しがた見たばかりの夢の恐怖に打ち震えます

…お母さん 本当に怖い夢を見たんだ」 そして、朝が来たら、この怖い夢の話を母親に聞いてもらおうと、か細く呟くのでした。

現在―「一軍」に染まるダナの横暴

悪夢の回想から場面は一転し、現在の高校の学食が映し出されます。そこで描かれるのは、もはや過去の気弱な彼女ではない、すっかり「一軍」の空気に染まったダナの姿でした。

彼女は、先に並んでいた男子生徒を意にも介さず、平然と横入りすると、友人のスギョンのために席を確保し、「フフッこっちよ!私が席を取っといたわ」と得意げに声をかけます。

横入りされた男子生徒が、戸惑いながらもそのことを指摘しますが、ダナは冷たい視線を向けるだけ。その傲慢な態度に、男子生徒は何も言えなくなってしまいます。合流したスギョンは、そんなダナの行動を「ありがと ダナ!」と笑顔で称賛します。自ら進んで他者を見下す行動をとるようになったダナの姿は、彼女の心の変化を決定的に示しており、物語は不穏な雰囲気の中で幕を閉じます。

まとめ【人間関係アディクション】49話を読んだ感想(ネタバレあり)

第49話は、チヒョクの悪夢として描かれる過去の地獄と、現在進行系で「一軍」の価値観に染まっていくダナの姿を対比させる、非常に巧みな構成の回でした。

チヒョクのパートは、読んでいて胸が締め付けられました。彼が見た「悪夢」は、正気に戻った母親と心を通わせたいという彼の切実な願いと、それが決して叶わないという絶望的な現実が入り混じった、あまりにも悲しい心の叫びです。そして、夢から覚めた彼が「怖い夢を見た」と安堵する場面。現実が夢よりもさらに恐ろしい地獄であることを、この一言が何よりも雄弁に物語っていました。

しかし、この話で最も衝撃的だったのは、現在のダナの変貌です。カフェテリアで、彼女はもはや流されるだけの弱い存在ではありませんでした。男子生徒を力で見下し、平然と横入りをする。その姿は、かつて彼女が嫌悪していたはずの、スギョンたちそのものです。チヒョクが過去のトラウマに苛まれているその同じ時間軸で、ダナは自ら「加害者」の側に堕ちていく。この残酷な対比こそが、本作のテーマである「人間関係のアディクション」の恐ろしさを浮き彫りにしています。

小さな親切の謎が提示されたのではなく、主人公がその手で不条理な状況を作り出している。この不穏な事実は、ダナもまた、この歪んだ人間関係の沼から抜け出せない、深刻な中毒者であることを示しています。彼女は一体、どこへ向かおうとしているのでしょうか。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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