復讐モノ

【60点の夫婦でいいのに】10話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

「60点の夫婦でいいのに」第10話をネタバレありで簡単に解説する

新章の幕開け、主人公・梨佳を苛む「不倫」の呪縛

前回のラスト、恋人・瑛次と親友・陽菜の親密なメッセージを目にしてしまった梨佳。第10話は、彼女の心に芽生えた疑念が、過去のトラウマと共鳴し、恐ろしい疑心暗鬼へと変わっていく様を克明に描きます。親友・陽菜から投げかけられた衝撃的な一言が、梨佳の心の傷を抉り、彼女を究極の選択へと追い詰めていくのでした。

疑惑の正体は「隠れモラハラ」?変わりゆく恋人の姿

物語は、梨佳が瑛次のスマートフォンに、かつて自分たちが使っていたカップル専用アプリが陽菜との間で使われているのを見つける場面から始まります。その瞬間から、梨佳の世界は歪んで見え始めます。優しかったはずの瑛次の何気ない一言が、かつて陽菜の父・尚弥が母・沙紀に行っていたモラハラ行為のように感じられてしまうのです。梨佳は「私の見方が変わったから…」と、今まで気づかなかった瑛次の「隠れモラハラ」の可能性に怯えます。しかしその一方で、「でも陽菜は不倫なんかするような子じゃない」と、親友への信頼を捨てきれずにいました。

過去の記憶、親友・陽菜との固い絆

梨佳の苦悩の根源は、学生時代に受けた壮絶ないじめにありました。母・円佳の不倫が原因で、梨佳の机には「不倫女の娘は出て行って下さい」と心無い言葉が刻まれます。そんな彼女を、たった一人、体を張って守ってくれたのが陽菜でした。

陽菜は、梨佳を侮辱するいじめの主犯に対し、「梨佳を傷つけるのはやめて」と毅然と言い放ちます。そして、いじめの様子をネットに晒そうとする相手に、同じようにスマートフォンを向けて牽制するという、驚くべき強さを見せたのです。陽菜は涙ぐむ梨佳に「梨佳は悪くない」「悪いのはあの子たち」と語りかけ、こう続けます。

親の不倫に関係ない私たちを攻撃するなら 絶対に許さない

同じ境遇を持つ親友からの力強い言葉と、その優しさは、梨佳にとって何物にも代えがたい救いでした。この出来事は、二人の間に誰にも壊せない固い絆を生んだのです。

親友が投下した爆弾「瑛次さんが女の人といるところ…見ちゃったの」

現在の時間軸に戻り、梨佳の部屋には陽菜が訪ねてきます。梨佳は、学生時代に陽菜からもらった感謝のカードを今でも大切に飾っており、それを見るたびに「頑張れるんだ」と自分を奮い立たせていました 。

梨佳の悩みを察した陽菜が「何か隠してる?」と尋ねると、梨佳はついに堰を切ったように不安を打ち明けます 。瑛次が最近変わってしまったこと、モラハラのように感じること、そして夜中に他の女性の配信を見ていること

梨佳の告白を聞いた陽菜は、同情するような表情で、衝撃的な一言を口にするのです。

見ちゃったの 瑛次さんが女の人といるところ

親友として、梨佳を心配しての言葉だったのかもしれません。しかし、梨佳の耳には、その言葉は全く違う意味で響いていました。

絶望のデジャブ、母と同じ「悪意」の影

陽菜の言葉は、梨佳の脳裏に、最も忌まわしい過去の記憶をフラッシュバックさせました。それは、母・円佳が、沙紀の家庭を崩壊させる引き金となった「見せたいものがある」という、あの時の記憶です。善意を装いながら、人の心を破壊する。その光景が、陽菜の今の行動と重なります。

梨佳の心に、拭い去れない疑念が芽生えました。「これは 悪意?」。陽菜は本当に自分のためを思って言ってくれているのか、それとも母のように、自分を不幸に陥れるために、この状況を作り出しているのではないか。

陽菜が「勘違いだったらごめん」と続けようとした言葉を、梨佳は遮ります。そして、震える声で、最後の問いを親友に投げかけました。

陽菜… 瑛次と不倫してる?

問い詰められた陽菜は、ただ「えっ…?」と驚いたような表情を浮かべるばかり。果たして、これは裏切りの肯定なのか、それとも、まだ梨佳の知らない別の真実があるというのでしょうか。物語は最大の謎を残し、次話へと続きます。

まとめ「60点の夫婦でいいのに」10話を読んだ感想(ネタバレあり)

第10話は、主人公・梨佳の心の奥深くに刻まれたトラウマと、現在の不安が見事に交錯する、息苦しいほどの心理サスペンスでした。恋人の些細な言動に、かつて母を苦しめたモラハラ夫の影を見てしまう梨佳の姿は、トラウマというものがどれほど人の認知を歪めてしまうかを克明に描いており、読んでいて非常に心が痛みました。

特に、中盤で描かれた学生時代の回想シーンは圧巻でした。陽菜がどれほど梨佳にとって大切な存在であり、力強い守護者であったかが丁寧に描かれていたからこそ、現在の状況がより一層悲劇的に映ります。あの時、誰よりも味方でいてくれた親友が、今、自分を裏切っているかもしれない。この残酷な可能性が、物語全体に重くのしかかっていました。

そして、クライマックスの展開には息をのみました。梨佳を心配しての一言だったはずの陽菜の言葉が、梨佳のトラウマを刺激し、最悪の疑念を抱かせてしまう。そして、その疑念が、今度は梨佳自身に、親友を傷つけるかもしれない刃を向けさせてしまうのです。これは、加害者や被害者という単純な構図では語れない、「不幸の連鎖」の恐ろしさを突きつけてきます。

陽菜の真意は何なのか。彼女の驚いた表情の裏には、何が隠されているのか。真実がどちらに転んでも、二人の友情がもはや元には戻れないであろうことを予感させる、あまりにも見事なクリフハンガーでした。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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