【みんな、ボドになった。】29話をあらすじから結末まで簡単にネタバレ解説!

【みんな、ボドになった。】第29話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、沙織は自らの手で父親を殺害したという、あまりにも過酷な記憶を取り戻しました。そして、その絶望の瞬間に現れたのは、銃を構えたウィリアム。第29話では、黒幕・百一と、親友の復讐を誓うウィリアムが激しく対立します。そして、全ての罪を悟った沙織は、自らの過去と対峙するため、雨の降る因縁の場所へと向かうのでした。
最悪の友と、偽りの友
銃口が招く三つ巴の対峙
沙織に迫る百一の前に、銃を構えたウィリアムが立ちはだかります。「帰ったふりして忍び込んでて正解だったよ」と、彼は百一の凶行を未然に防ぐために、ずっとその機会を窺っていました。百一は「友達ヅラした最低野郎」と罵られ、ウィリアムもまた「部外者のくせに」と、互いの正体を暴きながら睨み合います。穏やかだったはずの部屋は、一瞬にして殺伐とした空気に包まれました。
清太郎の死を巡る激しい攻防
ウィリアムは、百一が本物の清太郎の死について何かを知っていると確信し、激しく問い詰めます。「この腐った村とお前ら権力者が清太郎を…!」。その言葉に対し、百一は「あいつは引っ越しただけだ!例外だから」と必死に反論しますが、その表情には明らかな動揺の色が浮かんでいました。彼は、清太郎の身に何かがあったことまでは、知らなかったようです。
絶望の告白、そして雨中の逃避行
「彼は…もう…死んだ…」
二人の緊迫したやり取りを聞いていた沙織が、震える声で真実を告げます。「…そうじゃないの モイチ…」「なかったの 例外なんて」。ウィリアムから聞かされた、親友・清太郎がすでにこの世の住人ではないという事実を、彼女は百一に突きつけたのです。
記憶の奔流と罪の在り処
「うそだ…」と取り乱す百一をその場に残し、沙織は雨が降りしきる外へと衝動的に飛び出します。彼女の足は、まるで何かに導かれるように、13年前にあの惨劇を目撃した不法投棄場所へと向かっていました。これまで、おぞましい記憶に蓋をするために、無意識に避けてきた因縁の場所。そこで沙織は、全ての罪と向き合う覚悟を決めるのです。
「人殺しは、私」
降りしきる雨と、優しい記憶
ずぶ濡れになりながら、沙織の脳裏に13年前の記憶が鮮明に蘇ります。それは、事件の直後、恐怖に震え、心を壊しかけていた幼い自分に、清太郎が優しく声をかけてくれた思い出でした。
「いい?沙織 忘れなさい」
「何もかも忘れていいの」
彼は、親友である沙織の心を、これ以上傷つけまいとして、辛い記憶に蓋をする手伝いをしてくれていたのです。
全ての罪を背負って
清太郎のどこまでも深い優しさを思い出したことで、沙織は全てを悟ります。彼が遺書に記した「人殺しをさせられた友達」とは、紛れもなく自分のことだったのだと。
そこに、傘を差した百一が現れます。「風邪ひくだろ」と、まるで以前のような優しい友人の口調で。しかし、沙織の心はすでに決まっていました。彼女は、降りしきる雨の中で、涙ながらに全ての罪を告白します。
「あなたが捜してた人殺しは……私……」
自分の犯した罪が、父を死に追いやり、そして心優しき親友・清太郎の運命をも狂わせてしまった。その重すぎる真実を、沙織はついに受け入れたのでした。
まとめ【みんな、ボドになった。】29話を読んだ感想(ネタバレあり)
あまりにも切なく、そして残酷なまでに美しい回でした。絶望的な真実が次々と明かされていく中で、今は亡き清太郎という人物の、どこまでも深く、そして優しい心が胸を打ち、涙が止まりませんでした。彼は、親友が犯させられた罪の重さに押しつぶされないよう、その記憶ごと、共に背負おうとしてくれていた。彼の存在こそが、この救いのない物語における唯一無二の良心だったのだと改めて感じます。
一方で、百一の動揺も非常に興味深い点でした。彼は清太郎の死という最悪の結末までは知らなかったようです。彼の目的は、あくまで沙織を村に縛り付けることであり、その根底には、かつての仲間としての歪んだ情が残っていたのかもしれません。彼のキャラクターが、単なるサイコパスではない、より複雑な背景を持つ人物であることが示唆され、物語の深みが一層増しました。
そして、ラストの沙織の告白。「人殺しは、私」。これは、全ての罪を一人で背負い、過去と向き合うという、彼女の悲痛な決意表明に他なりません。もはや本作は、単なるサバイバルホラーではない。罪と赦し、友情と裏切り、そして記憶を巡る、重厚な人間ドラマとしての側面が際立った、素晴らしい一話でした。
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