【枯れた花に涙を】51話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【枯れた花に涙を】第51話をネタバレありでわかりやすく解説する

これまでの甘く切ない恋愛模様から一転、物語の裏で進行していた恐ろしい計画の全貌が、一人の男の視点から語られる衝撃的な回です。蓮の監視役であった部下・譲二。彼の回想を通して、蓮の知られざる素顔、そして父である会長の本当の恐ろしさが明らかになります。息もつかせぬ展開と、あまりにも残酷な結末に、言葉を失うことでしょう。

深夜の訪問者、会長の真意

物語は、蓮の部下である譲二が、愛人である洋服店の店主と過ごしている場面から始まります。そこにかかってきた一本の電話が、彼を絶望の淵へと突き落としました。

息子が不在の夜に

電話の相手は、蓮の父であり、一ノ瀬グループのトップに君臨する会長でした。彼は、譲二に「今からそっちに行く」と、蓮のマンションへ向かうことを一方的に告げます 。譲二は、蓮が「お友達とのお約束」で不在であることを伝えますが、会長は「むしろ好都合だ」と、それを意に介しません 。彼は、疎遠な息子の生活ぶりを、この機会に探ろうとしていたのです 。その訪問が、恐ろしい結末を招くことも知らずに、譲二は焦りを募らせます

ある部下の回想―監視者が見た、蓮の素顔

会長の訪問を前に、譲二の脳裏には、彼が蓮の監視役になった当初からの記憶が蘇ります。それは、謎に包まれた御曹司の、奇妙で、そして純粋すぎる素顔の記録でした。

特別な仕事

譲二は、口が堅いことだけを条件に、一ノ瀬グループという大企業に就職しました 。彼の仕事は「特別」なものでした。それは、会長の秘密の子である、次男・蓮の監視役兼付き人だったのです

「愛人の息子」の奇妙な日常

会長の「愛人の息子」である蓮は、その存在を世間から隠されていました 。譲二は、そんな彼の監視を始めますが、その生活は予想とは全く異なるものでした。他の金持ちの御曹司たちが自分を着飾ることに必死な中、蓮はむしろ「自分を安く見せようとしていた」のです 。彼の好物が、高級な菓子ではなく、ただのイチゴ味のキャンディであったことは、その奇妙さを象徴していました

女たちへの、絶対的な無関心

譲二の調査によれば、蓮は金遣いがクリーンで、夜遊びにも興味がありません 。そして、女性関係は皆無に等しいものでした。高校時代、同級生の女子に好意を寄せられても、彼は全く無関心。別の女性から激しい執着を向けられても、その「死んだような」瞳が揺らぐことは、一度もありませんでした

会長の言う「奇行」と、歪んだ愛情

譲二は、蓮に欠点がないこと自体を「退屈」で「奇妙」だと感じていました。彼があえて問題点を挙げるとすれば、それは樹里という「年上の女の趣味」だけでした 。しかし、会長が問題視していた「奇行」とは、まさにその樹里との関係のことだったのです。譲二は、蓮が樹里に対して「本気」であることに気づき、事態が自分の想像以上に深刻であることを悟るのでした

バラの香りと、血の匂い

回想は終わり、場面は再び現在へ。会長の訪問を前に、譲二は必死で蓮と樹里が過ごした痕跡を消し去ります。しかし、彼の努力は、あまりにも無慈悲な形で踏みにじられてしまいました。

見誤っていた、本当の恐怖

譲二は、会長の目的が、単に愛人の子を後継者争いから引きずり下ろすことだと思っていました 。しかし、彼は気づきます。血縁さえも容易に切り捨てる非情な会長が、そんな回りくどい手を使うはずがない、と 。彼は、自分が会長という人間の恐ろしさを「完全に見誤っていた」ことを悟るのでした

「私の息子とずいぶん仲良くなったんだな」

会長は、綺麗に片付いた蓮の部屋を静かに見渡します。そして、血まみれで床に倒れる譲二のそばに屈み込むと、静かに、しかし冷たく語りかけました。「私の息子とずいぶん仲良くなったんだな」

引き金

会長は、譲二の報告を待つまでもなく、蓮の「奇行」のすべてを知っていました。彼が普段と違う行動を取り出した時点で、「女が絡んでいないわけがない」と、すべてを見抜いていたのです 。そして、会長は譲二を。それは、譲二の命運が尽きた音でした 。

まとめ【枯れた花に涙を】51話を読んだ感想

言葉もありません。これまでの甘く切ない雰囲気を、根底から覆す、あまりにも衝撃的で残酷な回でした。まさか、蓮の監視役であった譲二が、こんな形で退場することになるなんて、誰が想像できたでしょうか。

今回の物語は、譲二の視点を通して、これまで謎に包まれてきた蓮の人物像と、会長の恐ろしさを浮き彫りにしました。女性に一切興味を示さなかった蓮が、樹里にだけは見せる「本気」。その純粋さが、結果的に悲劇を招いてしまったと思うと、胸が張り裂けそうです。

そして、何よりも恐ろしいのは、会長の存在です。彼は、息子の恋愛事情を探る、ただの心配性の父親などではありませんでした。すべてを知りながら、邪魔者を躊躇なく消し去る、まさに怪物。彼の真の目的が何なのか、その底知れない闇に、ただただ恐怖を感じます。

譲二は、決してただの部下ではありませんでした。蓮の奇行に戸惑いながらも、どこか彼を案じ、守ろうとしていたように思います。そんな彼の悲劇的な結末は、この物語が、もはや単なる恋愛漫画ではない、命を懸けたサスペンスであることを読者に突きつけました。この先、蓮と樹里を待ち受ける運命を考えると、今はただ、祈ることしかできません。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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