【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】3話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

第2話で、新たな復讐者・会澤陽二郎(あいざわ ようじろう)と対峙した主人公の斎藤悠介。会澤が笑顔で見せつけてきた掌の「穴」は、悠介の失われた過去がいかに常軌を逸したものであったかを物語っていました。第3話では、復讐の魔の手が学校生活だけでなく、悠介にとって最も大切な人間関係や、安らぎの場であるはずの家庭にまで静かに、しかし確実に忍び寄ります。

覚悟の揺らぎと拭えない恐怖

掌の「穴」が意味するもの

休み時間、悠介の頭の中は会澤のことでいっぱいです。「どうやったら手のひらの真ん中に真ん丸の穴なんて開けられんだ?」 。友人たちがいつものように話しかけてきても、彼の耳には届きません 。その心は、これから自分に何が起こるのかという、得体の知れない恐怖に支配されていました。

「思い出してもらう」という宣告

「知らぬ存ぜぬで貫き通す」 。そう決めたはずの悠介の覚悟は、早くも揺らぎ始めています 。会澤から告げられた「本当に何も覚えてないんだね」「思い出してもらうしかないね」という言葉が、呪文のように頭から離れません 。記憶がない悠介にとって、過去を思い出させられることは、未知の地獄の扉を開けられることと同義だったのです。

最愛の人に知られたくない過去

環との間に生まれる亀裂

悠介は、これ以上自分の問題に彼女の環を巻き込むわけにはいかないと考え、「しばらくは別々に帰ろうぜ」と彼女に告げます 。しかし、事情を知らない環は、その言葉を額面通りに受け取れるはずがありません。朝に会った会澤のことや、悠介の顔の怪我が原因ではないかと、不安そうに問い詰めます

守りたい日常、言えない真実

悠介にとって、環との穏やかな日常は、今や唯一の光です。だからこそ、

環にだけは「過去の俺の正体」を絶対に知られたくない 。その一心で真実を隠そうとしますが、悠介の頑なな態度は、かえって環を傷つけ、二人の間に見えない溝を深めていくのでした。

過去の女たちの襲来

下品なジョークで掻き乱される心

悠介と環の間に不穏な空気が流れる中、突如として派手なギャル風の二人組、北条麻美(ほうじょう あさみ)と由真(ゆま)が現れます 。彼女たちは中学時代の悠介を知っているらしく、「記憶ナントカなの?」と馴れ馴れしく絡んできます

さらに彼女たちは、環がいるのもお構いなしに、「ウチらあ〜〜〜んなにたくさんセックスしまくったってのにさ!」などと、下劣な言葉で悠介を挑発します 。これは、悠介の過去の悪行が、暴力だけにとどまらなかったことを示唆しているかのようでした。

走り去る環と、絶望する悠介

信じられない言葉にショックを受けた環は、その場から泣きながら走り去ってしまいます 。大切な彼女を傷つけられ、追いかけようとする悠介。しかし、北条たちは「邪魔もいなくなったし」「本格的にいいコトしようよ」と、なおも彼にまとわりつき、行く手を阻むのです

聖域への侵入者

自宅に待ち受ける「親友」

悠介は彼女たちを振り払い、逃げるようにして自宅へと走ります。しかし、北条は去り際に「会澤っちがアンタの家で待ってるって」という、絶望的な伝言を告げていました

息を切らして家にたどり着いた悠介が目にしたのは、信じがたい光景でした。そこには、

当たり前のようにリビングでくつろぐ会澤の姿があったのです。母親は、会澤を悠介の「親友だったもんね」と、何の疑いもなく温かく迎え入れています 。家族という最も安全なはずの聖域が、音もなく侵略されていました。

記憶を取り戻す「手助け」

激昂する悠介に対し、会澤はあくまで冷静です。「誰だって逃げられやしないんだよ 過去からは」と静かに語りかけ、悠介に「思い出せばいいのさ」と囁きます 。彼が思い出させるべき「全部」とは、「僕のこの穴のこと」「中学までのユースケ」「失踪してた半年間のこと」

そして、会澤は協力者のような穏やかな表情で、自身の目的を告げます。

「……僕はね その手助けをしに来たんだ」

彼の真意は、一体どこにあるのでしょうか。単なる復讐者ではない、その不気味な存在が、物語の緊張感を極限まで高めます。

まとめ【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】3話を読んだ感想(ネタバレあり)

第3話は、悠介の逃げ場が物理的にも精神的にも、じわじわと塞がれていく息苦しい展開でした。学校という公の場だけでなく、ついに自宅という最もプライベートな聖域にまで復讐者が侵入してきたシーンは、ホラー映画さながらの恐怖を感じさせます。母親が「親友」として会澤を迎え入れている光景は、あまりに皮肉で、悠介の孤立を際立たせていました。

また、環との関係に亀裂が入っていく様子も、読んでいて心が痛みました。彼女を守りたいという思いが、結果的に彼女を傷つけてしまう。このどうにもならない状況が、物語に切ない深みを与えていると感じます。北条たちのような、過去の悠介の別の側面を知る人物の登場も、彼の「悪魔」としての顔が一つではないことを示唆しており、底知れない闇を感じさせました。

そして何より、会澤陽二郎というキャラクターの恐ろしさが増しています。「復讐」という言葉を使わず、「手助け」と言ってのける彼のやり口は、シュウの直接的な暴力とは質の違う、陰湿で計算高い恐怖があります。彼がこれからどのような「手助け」で悠介を地獄に突き落とすのか、全く予想がつきません。息もつけないほどの緊張感に、次話への期待が膨らみます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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