【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】32話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】第32話をネタバレありで解説する

前回、高校で再会を果たした悠介と一ノ瀬明里。第32話では、二人がなぜ、共に失踪するに至ったのか、その真相が語られます。「リセット」に失敗し、絶望していた悪魔と、過去の呪縛から逃れられない少女。二人の逃避行は、ここから始まりました。

悪魔と少女、運命の再会

彼女が彼に会いに来た、ただ一つの理由

「久しぶりね、斎藤悠介」。橋の上で、明里は静かに悠介に声をかけます。彼女は、ただ一言、悠介に伝えたいことがあって、彼の前に現れたのでした。それは、**「助けて」**という、悲痛な願いでした。

「お互い限界だった」

その時のことを、現在の悠介は環に語ります。悪魔のままの自分であったなら、救いを求めてきた彼女の手を、絶対に振り払っていたはずだ、と。しかし、あの時の自分は、そうしなかった。「ただ一つ確かなのは お互い限界だったってコトだ」。悪魔を演じることに疲弊した悠介と、世間の目に絶望した明里。二人は、互いに限界の状態で、再会してしまったのです。

彼女にかけられた、消えない「呪い」

「悪魔によって汚された女」

明里は、自らの現状を悠介に告白します。彼女もまた、悠介と同じように、過去を捨てて新しい高校でやり直そうとしていました。しかし、彼女の過去は、噂となって瞬く間に広がってしまったのです。

「この娘が悪魔によって汚された女です」「かわいそうな女です」

クラスメイトたちの好奇と憐憫の視線、そして心無い囁き。それらは、見えない呪いとなって、明里の心を蝕んでいきました。

一週間で砕かれた希望

明里が、自分がもう「マトモ」ではないと悟るのに、時間はかかりませんでした。たった一週間。そのあまりに短い時間で、彼女のささやかな希望は、完全に打ち砕かれてしまったのです。

二人の「失踪」の始まり

「一緒にどっか行っちまうか」

明里は、自分にかけられた「呪い」を解けるのは、呪いをかけた張本人である悠介しかいない、と言います。そして、彼女は悠介に、一つの逃避行を提案します。

「じゃあ一緒にどっか行っちまうか」「そんな声が聞こえなくなる位 どこか遠い場所へ…」

それは、過去から逃れるための、あまりにも無謀で、そして切ない駆け落ちの誘いでした。

半年に及ぶ、逃避行の始まり

悠介は、その手を取ります。こうして、4月の中旬の夜、二人は誰にも行き先を告げず、全ての人間関係を断ち切って、姿を消しました。半年に及ぶ、悠介と一ノ瀬の失踪が、ここから始まったのです。

まとめ【君が僕らを悪魔と呼んだ頃】32話を読んだ感想(ネタバレあり)

第32話をもって、悠介の失踪に至るまでの過去編が、一つの結末を迎えました。彼の失踪は、誰かに誘拐されたわけでも、自暴自棄になったわけでもなく、同じように過去の呪縛に苦しむ少女と共に、安息の地を求めた「逃避行」だったのですね。

特に印象的だったのは、明里の強さと脆さです。あれほどの仕打ちを受けながらも、必死に普通の生活を取り戻そうともがき、そして絶望する。彼女の心の痛みが生々しく伝わってきて、非常に胸が締め付けられました。そんな彼女が、唯一の希望として、自分を地獄に突き落とした張本人である悠介を頼るという展開は、あまりにも皮肉で、そして悲しいです。

二人がなぜ失踪したのか、その理由は明らかになりました。しかし、物語の謎は、ここからが本番です。逃避行の先で、二人に何があったのか。環にそっくりな少女「チサト」とは何者なのか。そして、なぜ悠介は殺人を犯し、記憶を失ってしまったのか。物語は、失われた半年間の真実を解き明かす、新たなステージへと突入します。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
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野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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