【あなたが私を手に入れたいのなら】3話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【あなたが私を手に入れたいのなら】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、婚約者ダニエルに「無知」と断じられ、絶望の淵に立たされたキーサ。しかし、図書館で出会った謎の紳士セイオッドの優しさに触れ、彼女の心には新たな希望の光が灯り始めていました。物語は、この運命的な出会いの続きから始まります。

新たな出会いと過去の影

差し伸べられた救いの手

静かな図書館の窓際で、セイオッドは絶望に沈むキーサに「失礼でなければ」と丁寧な言葉をかけます 。そして、まるで暗闇に咲く花のように、温かい提案をしました。

僕が、読みやすい解説書を推薦してもいいですか?

その申し出は、知識の壁に打ちのめされていたキーサにとって、何よりの救いでした 。しかし、彼の「赤毛」を見た瞬間 、キーサの心には過去のトラウマが暗い影を落とします。母の死を告げた医師、そして自分を侮辱したダニエル。彼女はいつからか、赤毛の男性に無意識の警戒心を抱くようになっていたのです

それでも、目の前にいるセイオッドは違うと、彼女は直感的に感じていました 。なぜ初めて会ったばかりの男性に、本が分からず泣いていたなどという恥ずかしいことを打ち明けられたのだろうか 。不思議な感覚に戸惑いながらも、キーサは彼の申し出を受け入れ、「読みやすい解説書を推薦していただけますか?」と、決意を秘めた瞳でお願いするのでした

親友の裏切りと貴族社会の冷酷な現実

信頼の告白

数日後、キーサは友人のメリッサ・ドスとお茶の時間を過ごしていました 。しかし、ダニエルとの一件から1週間近く何の音沙汰もない状況に、心は上の空です

その様子に気づいたメリッサは、「どう見ても何かあったような顔をしてるんだもの!」と鋭く指摘します 。そして、キーサがダニエルの裏切りを知るきっかけとなったオシュアーナ夫人の名前を出し、「あの日に何があったの?」と真剣に問い詰めました 。「親友の私にも言えない?」という言葉に 、キーサはついに覚悟を決め、ダニエルとの間に起きた全てを打ち明けるのでした

致命的な失言と剥がれ落ちる仮面

全てを聞いたメリッサは、「冗談じゃないわ!!」とテーブルを叩いて激怒します 。そして、「結婚前から女性問題ですって? よくあなたにそんなことができたものね!」と、キーサ以上に憤慨してみせました

しかし、その怒りの中で、彼女は致命的な失言を犯します。

「ダニエルったら、未亡人なんかにのめり込むなんて!」

キーサの心臓が「ドクン」と大きく鳴りました 。彼女はメリッサに「未亡人だとはひと言も言ってない」と、鋭く詰め寄ります 。動揺するメリッサの様子から、キーサは全てを悟りました 。彼女は、ダニエルの相手が誰なのかを知っていたのです 。おそらく、メリッサの弟が参加していたという「柳の木」のカフェでの怪しい集まりで、情報を得ていたのでしょう

「何かが変わったとでも?」――友情の終わり

親友にまで裏切られていた。その事実に、キーサは静かに怒りを燃やします 。「…どうして教えてくれなかったの?」

その問いに対し、メリッサはそれまでの態度を豹変させ、不敵な笑みを浮かべて言い放ちました

「…言ったら?何かが変わったとでも?」 。

メリッサは「あなたに黙っていたことは謝るわ」と口先だけで謝罪すると 、貴族社会の冷酷な現実を突きつけます。「話したところで、婚約を破棄できるわけでもないし」 、「結局はダニエルと結婚するでしょ?」 。彼女は、自分の裏切りを「私はあなたが自分のことに集中できればと思っただけ」だと、善意であるかのようにすり替えたのです

「愛のない婚姻なんて貴族にはよくある話だしね」 。そう言ってキーサの手を握るメリッサの姿は、もはや親友のものではありませんでした。

絶望の先に見えた道――「婚約破棄」という決意

一人残されたキーサは、メリッサの言葉を反芻します。「みんな、愛のない婚姻をするの? その中に幸せな人はどれくらいいるの?」

しかし、皮肉にもメリッサの「婚約を破棄できるわけでもないし」という言葉が、キーサの心に新たな道を切り開きました 。彼女の頭に「婚約破棄」という四文字が、はっきりと浮かび上がったのです 。

決意を固めたキーサは、父の書斎へと向かいます 。道中で出くわしたダニエルの「告げ口屋」という嫌味にも、今の彼女は揺らぎません 。「どいて。今あなたに話すことはないから」と冷たくあしらい、固く閉ざされた父の扉をノックしました 。

返事を待たずに入室した娘に対して「なんと無礼な…」と咎める威厳ある父。その父を前にしても 、キーサは動じませんでした。彼女はまっすぐに父を見つめ、自分が心から望むものが何なのかを悟った上で、静かに、しかしはっきりと宣言します。

ダニエルとの婚約を破棄したいです

事実を知ってしまった以上、もう昔には戻れない 。彼女は、与えられた運命に甘んじることをやめ、自らの手で未来を掴み取ることを決意したのでした。

まとめ【あなたが私を手に入れたいのなら】第3話を読んだ感想(ネタバレあり)

第3話は、友情の崩壊という、恋愛の裏切りとはまた違った種類の痛みを伴う回でした。信じていた親友にまで裏切られていたと知ったキーサの絶望は、察するに余りあります。

特にメリッサの変貌ぶりは衝撃的でした。彼女が語る「愛のない婚姻なんて貴族にはよくある話」という価値観は、この物語の根底に流れるテーマの一つでしょう。彼女は、キーサを傷つけたのではなく、貴族社会のルールを教え諭した、とでも言いたげな態度でした。彼女自身もまた、そうやって感情を押し殺して生きてきたのかもしれないと考えると、単純な悪役として断じることのできない複雑さを感じます。

しかし、このエピソードで最も輝いていたのは、間違いなくキーサの成長です。婚約者と親友という、最も近しい二人に裏切られ、どん底に突き落とされた彼女。しかし、そこから彼女は逃げずに、自らの意志で「婚約破棄」という最も困難な道を選び取りました。ダニエルを冷たくあしらい、威厳のある父に臆することなく対峙する姿は、これまでの弱々しい彼女とは別人です。

そして、忘れてはならないのがセイオッドの存在。彼との出会いが、キーサに知識を得るという前向きな行動を促し、結果的に彼女が自らの意志で立つきっかけを与えました。彼が何者なのか、その目的は何なのか、謎は深まるばかりですが、キーサにとって重要な人物になることは間違いないでしょう。

「婚約破棄」を宣言したキーサに対し、家門の体面を何よりも重んじる父親は、一体どのような反応を示すのでしょうか。物語は新たなステージへと突入し、次回の展開が待ちきれません。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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