【あなたが私を手に入れたいのなら】4話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【あなたが私を手に入れたいのなら】第4話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、婚約者ダニエルと親友メリッサの裏切りを知り、自らの手で運命を切り開くため、父に「婚約破棄」を宣言したキーサ。物語は、彼女の固い決意の裏にあった、深い思索と、彼女を待ち受けるさらなる絶望から始まります。
婚約破棄の決意と、その先に待つ絶望
魂が干からびる未来
キーサは、貴族の娘として「全ての婚姻がバラ色の未来だけを描くわけではないと…」という現実を知っていました 。これまで彼女は、「少しの浮気ぐらいなら見逃せると思っていた」と自分に言い聞かせてきたのです 。
しかし、図書館で出会ったセイオッドの「バアス主義なら、わからないのが普通では?」という優しい言葉は、彼女の価値観を根底から揺るがしました 。彼の言葉を通して、キーサははっきりと悟ったのです 。もしこのままダニエルと結婚すれば、彼女を待ち受けるのは、自己肯定感が日々砕け散る地獄のような未来 。彼の顔色を窺い、「私の言葉が無知に聞こえないだろうか」と常に自分を疑い続ける 、魂が干からびていくような生活が待っているだけだと気づいたのでした 。
立ちはだかる「父」と「婚約者」
冷徹なる父の論理
キーサの「婚約破棄」の申し出は、父ノア・バンスフェルト伯爵によって、冷徹な論理で一蹴されます。彼は屋敷の者全てを目と耳として使う 、徹底した計算で家を築き上げた人物でした 。彼にとって、美しく管理してきた娘は、バンスフェルト家にとって「価値」のある重要な駒でしかないのです 。
父は「それに、ダニエルよりいい相手がいるのか?」とキーサに問い詰めます 。ローウェンズ侯爵家を超える家門はごくわずかであり 、その中から代わりを見つけるのは不可能に近いというのが彼の考えです 。ダニエルの浮気など「騒ぐような問題ではない」と断じ 、キーサが受けた侮辱すらも「妻の顔は立ててほしいと頼めば済む話だ」と切り捨てます 。
そして、父は娘に命令します。「お前が今まで私の娘として不自由のない暮らしをしてきたなら、我が家門に最も大きな利益をもたらしてくれる者と婚姻しろ」 。ダニエル側から破棄を言い出されてもすがりつくべきなのに、キーサから切り出したことに激怒し 、「これ以上がっかりさせずに出ていきなさい」と、彼女を冷たく追い払うのでした 。
婚約者ダニエルのおぞましい提案
父の書斎から出てきたキーサ。彼女を待ち構えていたのは、元凶である婚約者のダニエルでした 。彼は「お父様とはちゃんと話せたのか?」と嫌味な笑みを浮かべて話しかけます 。
もはや以前の無力な彼女ではありません。キーサはダニエルの腕を振り払い、突き飛ばすと 、積年の怒りをぶつけます。「一体どういうつもりなの?」「私をバカ扱いして、愛してもいないくせに婚姻したいって!?」 。
ダニエルはそんな彼女をなだめるように、しかし貴族の歪んだ論理を説きました。「どのみち家門のために婚姻が必要なら、知ってる相手とするほうがマシだからさ」 。そして、彼がキーサに求める本当のものを明かします。それは彼女の知性ではなく、「バンスフェルトという家門」 、そして彼の血を繋ぐための道具としての彼女の子宮でした 。
「おとなしく僕と婚姻して、子供を産むんだ」
「そのあとに君がほかの男と何をしても…一切口出しはしないからさ」
あまりにおぞましい提案に「どうかしてる…」と呟くキーサ 。ダニエルはそんな彼女を、父の権威を盾に嘲笑うのでした 。父と婚約者、二人の男性によって、キーサは完全に逃げ場を失い、この婚姻から逃れられないのかと絶望に打ちひしがれます 。
新たな舞台と謎多き姫君の登場
場面は一転し、セイオッドの茶会へと移ります 。彼はヒーラン公爵と呼ばれていました。彼の前に座るのは、ソルビ王国の姫、アルタ・ドボン・ソルビ 。彼女は「姫、婚姻ですか?」と驚くセイオッドに対し 、「はい、婚姻です」と堂々と答え、彼に政略結婚の話を持ちかけます 。
驚くべきことに、彼女の元々の婚約者は、2ヶ月前に亡くなったセイオッドの兄、ビシャーク・ヒーランだったのです 。兄の死後すぐに、その弟であるセイオッドに婚約を申し込む姫の節操のなさに、彼は困惑を隠せません 。
しかしアルタ姫は悪びれる様子もなく、「ヒーラン公爵夫人になる機会を逃す手はありませんもの」と、その野心を隠そうともしません 。
彼女はさらに、セイオッドを挑発するように続けます。「うそだわ」と彼の本心を見透かすと 、彼女は衝撃的な秘密を暴露しました。
「あなた、お兄様を死ぬほど嫌っていたでしょう」 。
「まさか私がそれを知らないとでも?」
姫の言葉は、セイオッドにもまた、深い過去と謎があることを示唆し、物語は新たな波乱を予感させて終わるのでした。
まとめ【あなたが私を手に入れたいのなら】第4話を読んだ感想(ネタバレあり)
第4話は、キーサを取り巻く世界の冷酷さと、彼女自身の内面の成長が深く描かれた、非常に中身の濃い回でした。彼女の敵は、もはや婚約者の浮気相手や噂話のレベルではありません。実の父親、そして婚約者であるダニエル自身が、彼女を家門の利益を生むための「道具」としか見ていない。その事実には、読んでいて息が詰まるような思いがしました。特にダニエルからの「子供を産めば、あとは自由だ」という提案は、歪んだ貴族社会の価値観を象徴しており、彼の人間性の欠如とキーサの絶望の深さに心が痛みます。
しかし、そんな四面楚歌の状況だからこそ、キーサの「婚約破棄」という決意の重みが際立ちます。彼女はもはや、ただ運命に流されるだけの無力な令嬢ではありません。ダニエルに侮辱され、父に利用され、親友に裏切られたことで、彼女は初めて「自分の人生を自分で決める」という戦いに身を投じたのです。その姿は、痛々しくも、力強く、応援せずにはいられません。
一方で、物語は新たな謎を提示しました。キーサの唯一の希望となりそうなセイオッド。彼もまた、亡き兄との間に深い確執を抱えていたようです。野心家のアルタ姫は、彼の過去の何を握っているのでしょうか。セイオッドのキーサへの優しさが本物なのか、それとも彼の過去と関連した別の目的があるのか、一気にわからなくなりました。
家門という名の牢獄で、キーサは自由を勝ち取ることができるのか。そして、彼女の前に現れた「赤毛の男性」セイオッドの存在が、今後どのように交錯していくのか。物語の深みが増し、ますます目が離せません。
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