【前の住人がやってきた】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【前の住人がやってきた】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する

雨が降りしきる夜、物語は一人の青年が暮らすアパートの一室から静かに幕を開けます 。彼の名前は後藤 。6月のある日、彼は自分の部屋でどうしようもないほどのイライラを感じていました 。この後、彼の日常が根底から覆されることになるとも知らずに。

深夜の訪問者が告げる恐怖の始まり

物語は、後藤くんが住むアパート102号室で起こる不可解な出来事から急展開を迎えます。

鳴り響くインターホン

時刻は深夜0時24分 。静寂を切り裂くように、アパートのインターホンが鳴り響きます。後藤くんは「こんな時間に?」 と訝しみますが、最初は酔っぱらいの仕業だろうと軽く考えていました 。しかし、インターホンは一度きりではなく、何度も執拗に鳴り続けます 。

鳴り止まないチャイムの音に、彼のイライラは怒りへと変わっていきます。

マジでふざけんなって!

彼は、この迷惑な訪問者の正体を自らの手で確かめるため、重い腰を上げて玄関へと向かうことにしました 。

覗き穴の向こうの恐怖

恐る恐る玄関のドアスコープを覗き込む後藤くん。その瞬間、彼の目に飛び込んできたのは、雨に濡れた不気味な男の顔でした 。男はまるで後藤くんが見ていることを知っているかのように、じっとこちらを見つめています。

予期せぬ恐怖に、後藤くんは「うわっー」 と短い悲鳴をあげ、その場に尻餅をついてしまいます。彼の平穏だったはずの日常に、不穏な影が差し込んだ瞬間でした。

謎の男の正体と強引な侵入

恐怖に震える後藤くんをよそに、事態はさらに悪化していきます。謎の訪問者は、ただの酔っぱらいではありませんでした。

なぜか名前を知る男

ドアの向こうの男は、後藤くんが部屋にいることを確信しているかのように、「そこにいるんだろ!?」 「

開けてくれよ! とドアを叩きながら叫び続けます。そして、後藤くんをさらなる混乱に陥れる一言が発せられるのです。

開けてくれよ 後藤くんっ!

表札も出していないのに、なぜ自分の名前を知っているのか 。後藤くんの頭の中は「・・・なんで俺の名前を・・・?」 という疑問でいっぱいになります。男は「近所迷惑でしょ!」 という言葉を盾に、とにかく部屋に入れろと要求をエスカレートさせていきました 。

「前の住人」という衝撃の事実

後藤くんが「なんだアンタは!?」 と震える声で問い詰めると、男はついにその正体を明かします。彼の口から語られたのは、あまりにも衝撃的な言葉でした。

俺はこの102号室の 前の住人だっ!

前の住人、津田川と名乗る男 は、そう言い放つと、抵抗する後藤くんを押し退けて勝手に部屋の中へと上がり込んでしまいました。

奇妙な共同生活の始まり

こうして、後藤くんの意志とは無関係に、見知らぬ「前の住人」との奇妙な時間が始まります。

我慢の限界と常識外れの行動

部屋に入るなり、津田川は「限界っ!」 と叫び、一目散にトイレへと駆け込みました。話を聞けば、今日はずっと寒くてトイレを我慢していたとのことです 。そのあまりに自由な振る舞いに、後藤くんは「くそ・・・せめて座ってしろよ!!」 と心の中で悪態をつくしかありません。

深夜の料理と不気味な中華包丁

トイレから出てきた津田川は、今度は「後藤くん!お腹空いたでしょ?」 と言い、なんと勝手に料理を始めます。彼がカバンから取り出したのは、鈍い光を放つ巨大な中華包丁でした 。

見知らぬおっさんが 深夜に俺の部屋で 料理作ってる」 。このあまりにも非現実的な状況に、後藤くんの思考は完全に停止してしまいます 。津田川はそんな後藤くんを気にも留めず、「中華包丁って便利なんだよ」 と上機嫌でキャベツを刻み始めました 。

明かされる「幸運の部屋」の秘密

津田川が振る舞う手料理をきっかけに、この102号室に隠された秘密が少しずつ明らかになっていきます。

絶好調だったそれぞれの過去

津田川が作った回鍋肉(ホイコーロー) は、不本意ながらも驚くほど美味しいものでした 。食事をしながら、津田川は自身が中華料理人であることを明かします

そして、彼は後藤くんに「後藤くん いま順調でしょ?」 と尋ねます。事実、半年前 にこの部屋へ越してきてからというもの、後藤くんは職場では「異例の出世」 と持て囃されるほど、何もかもが順調でした 。

その言葉に、津田川は満足げに頷きます。彼もまた、この部屋に住んでいた頃は「絶好調だった」と語るのです 。人生で初めてちゃんとした彼女ができ、収入も増えた、と 。

部屋を出た途端に訪れる不幸

しかし、その幸せな話には続きがありました。津田川は暗い表情で、衝撃的な事実を告白します。

だけどな この部屋から 出た途端 彼女も仕事も 失ったよ・・・

この部屋は、住人に幸運をもたらす一方で、一度離れるとそのすべてを奪い去ってしまうのでしょうか。津田川は、後藤くんに彼女がいないと知ると 、不気味な笑みを浮かべてこう言い放ちました。「その点 後藤くんに 彼女がいなくて よかったよ!

彼の言葉は、単なる偶然や思い込みなのでしょうか。それとも、この部屋には本当に、人の運命を左右する何かが潜んでいるのでしょうか。

本当はわかってんだろ・・・?」 「この102号室の・・・異常さに・・・!

津田川の最後の言葉が、後藤くんだけでなく、読者の心にも重く響き渡ります。

日常に潜む恐怖と、幸運の裏に隠された代償。物語はまだ始まったばかりです。この奇妙な訪問者がもたらしたのは、災いか、それとも…。

まとめ【前の住人がやってきた】1話を読んだ感想(ネタバレあり)

第1話を読んで、まず引き込まれたのは、日常的な風景から非日常的な恐怖へと滑らかに移行していく巧みなストーリー展開です。深夜のインターホンという、誰にでも起こりうるかもしれない出来事が、覗き穴の向こうの不気味な目、そして「前の住人」という予想外の正体によって、一気に質の違う恐怖へと変わっていく様にゾクゾクしました。

特に津田川というキャラクターが非常に秀逸だと感じます。最初はただの不審者かと思いきや、勝手に料理を振る舞い、意外と美味しいものを作るなど、どこか憎めない一面を見せます。しかし、その言動の端々には、この部屋の秘密を知る者としての不気味さが常に漂っています。「幸運をもたらす部屋」という設定自体はホラー作品で時折見かけますが、「彼女がいない方がよかった」というセリフには、その幸運が決して単純なものではなく、恐ろしい代償やルールと結びついていることを予感させ、物語に深い奥行きを与えています。

後藤くんの視点で描かれることで、読者も彼と同じように混乱し、恐怖を感じ、そして少しずつ部屋の異常さに気づかされていきます。この部屋がもたらす「幸運」とは一体何なのか。そして、部屋を出た者に訪れる「不幸」とは。津田川は、後藤くんに何を伝えようとしているのでしょうか。ただのホラーでは終わらない、人間の欲望や運命といったテーマにも踏み込んでいきそうな予感がして、今後の展開から目が離せません。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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