【あなたが私を手に入れたいのなら】5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【あなたが私を手に入れたいのなら】第5話をネタバレありでわかりやすく解説する
婚約者と親友に裏切られ、実の父親にさえ道具として扱われるという絶望的な状況の中、自らの意志で「婚約破棄」を宣言したキーサ。しかし、彼女の戦いはまだ始まったばかりでした。一方で、彼女の前に現れた謎の紳士セイオッドの周りでも、彼の過去に関わる不穏な動きが始まります。今回は、二つの舞台で繰り広げられる、策略と決意の物語です。
双子伝説とセイオッドの過去
不吉な双子の伝説
物語は、ソルビ王国に古くから伝わる、恐ろしい伝説の紹介から始まります 。それは、「双子が生まれたら下の子を殺せ」というものでした 。なぜなら、双子のうち一人は人間を破滅させるために生まれた悪魔であり、やがて家族を破滅させて悪魔の世界へ帰っていくと信じられていたからです 。
この悪習は、ヒーラン公爵家も例外ではありませんでした 。セイオッドは、亡き兄ビシャークと双子の兄弟として生まれたのです 。
野心的な姫君の誘惑
場面は、セイオッドとソルビ王国の姫アルタとの茶会に戻ります。アルタ姫は、セイオッドが「弟だという理由で修道院に追いやられた」という辛い過去を知った上で、彼を巧みに揺さぶります 。
「お兄さんを超えたいと思わない?」
彼女は、セイオッドの兄への劣等感を刺激し、「私と婚姻して王家との結束を強め、お兄さんが成しえなかったことを成し遂げるの」と、野心的な提案を持ちかけます 。しかしセイオッドは、「僕は死んだ兄ではありません。そして、兄の代わりにもなれません」と、彼女の誘いを冷静に拒絶しました 。謁見後、彼は従者に対し、姫の洞察力を認めつつも、「僕は彼(兄)を超えることに、大して興味がない」と本心を明かし、この政略結婚の駆け引きに心底うんざりした様子を見せるのでした 。
姫君の茶会と巧妙な罠
慈悲という名の支配
数日後、キーサはアルタ姫が主催する茶会に招かれます 。この会は、かつて王妃が年の近い令嬢たちのために開いたのが始まりで、今では彼女たちが交流する大切な場となっていました 。しかし、ダニエルとの一件で心労が絶えないキーサは、好きなレモンケーキにも手を付けられないほど、浮かない顔をしています 。
その様子に気づいたアルタ姫は、「具合が悪いんですか?」と優しく声をかけます 。そして、まるで全てを見通しているかのように、キーサに励ましの言葉をかけ始めました。「あなたはとてもすてきな人ですわ」「ローウェンズ令息はまだそのことに気付いていないだけ」 。
暴かれる裏切りと友情の終わり
姫は「つらいことがあったらいつでも言ってくださいね」「私があなたの力になってあげるから」と、キーサの味方であると宣言します 。その言葉に、キーサの元親友であるメリッサは感激して涙ぐみますが、姫はメリッサの裏切りを巧妙に利用します 。
「メリッサは何も悪くありません」「私が先に聞いたのです。メリッサからもらった手紙が憂いを帯びていたから…」 。
姫は、メリッサの裏切りを「友達を心配する当然の行い」としてすり替え、キーサを令嬢たちの同情の輪の中に閉じ込めてしまいます 。慰めているはずの言葉の一つ一つが、キーサにとっては「体を押さえつける岩のように」重くのしかかり、彼女は乾いた声でお礼を言うことしかできませんでした 。
偽りの友情との決別
茶会の帰り、キーサはメリッサの腕を掴み、無理やり自分の馬車に乗せます 。馬車の中で、メリッサは「しかたなかったのよ、姫が知りたがってらしたから」と見苦しい弁解を始めますが、キーサは「姫のせいにしないで。あなたが先に姫の好奇心を刺激したんでしょ」と冷静に彼女の嘘を暴きます 。
追い詰められたメリッサは、今度は泣き落としにかかります。「あなたのためを思って私が代わりに姫にお伝えしたのよ」「むしろ私にお礼を言うべきじゃないの?」と、自らの裏切りを善意であったかのように主張します 。
しかし、今のキーサはもう騙されません。「いつも私のためだと言うメリッサ」。その言葉が、自分をコントロールするための偽善であったことに気づいていたのです 。キーサは、冷たく、そして決然と言い放ちます。
「今後、姫に相談するのは、あなたの悩みだけにして、メリッサ」
「人の悩みを話して、うわさを立てたりせずに」
それは、偽りの友情に送る、完全な決別の言葉でした。
まとめ【あなたが私を手に入れたいのなら】第5話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、セイオッドの過去に関わる王国の暗い伝説と、キーサが社交界で直面する新たな戦いが描かれ、物語に一層の深みと広がりが生まれました。
セイオッドが背負う「双子伝説」は、彼がただの心優しい紳士ではないことを示唆しています。弟というだけで修道院に追いやられた彼の過去は、兄への憎悪を抱いていてもおかしくありません。アルタ姫が指摘したように、彼の本心はまだ謎に包まれており、今後の物語の重要な鍵となりそうです。
一方、キーサの戦いの舞台は、個人の裏切りから、社交界というより複雑で巧妙な世界へと移りました。アルタ姫の行動は、一見するとキーサへの善意に見えますが、その実、彼女を自分の影響下に置き、メリッサを巧みに操るための高度な計算が隠されています。このような、善意を装った支配や同情という名の暴力は、現実世界でも起こりうる、非常に陰湿で恐ろしいものだと感じました。
しかし、そんな中でもキーサの成長は目覚ましいものがあります。かつての親友メリッサの嘘と偽善を冷静に見抜き、きっぱりと関係を断ち切った最後の場面は、読んでいて胸がすくような思いでした。彼女はもはや、ただ傷つけられるだけの存在ではありません。
社交界という新たな戦場で、キーサはどのように自分の尊厳を守り抜くのか。そして、セイオッドの過去の謎が、彼女の運命とどう交差していくのか。二人の主人公が抱える問題がより複雑に絡み合い、次回の展開がますます楽しみになる回でした。
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