【ちいさいひと 青葉児童相談所物語】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

- 新米児童福祉司の相川健太は、虐待の疑いがある佐藤家の調査を開始しますが、「根拠がない」という現実の壁にぶつかります 。
- 健太は、姉の莉子が小学校の入学式を欠席していることを突き止め、これを糸口に地道な聞き込み調査を続けます 。
- 調査の結果、母親・涼子が子どもを連れずに家を出たという決定的な証言が得られ、虐待の証拠が固まります 。
- 緊急受理会議で立ち入り調査が承認され、健太たちが家に突入すると、置き去りにされた莉子と愛莉の姿を発見します 。
【ちいさいひと】第3話(エピソード①最終話)をネタバレありでわかりやすく解説する
前話、ついに置き去りにされた姉妹を発見した健太たち。二人の命は助かるのか、そして虐待を行った母親の罪はどうなるのでしょうか。今回は、涙なしでは見られない救出劇の結末と、主人公・健太の過去が明かされる、エピソード①の最終話「叫び」を徹底解説します。
絶望の扉の先へ―明かされた惨状
「莉子ちゃん!!! 愛莉ちゃん!!! 生きててくれ…今、開けるから!!!!!」
健太の悲痛な叫びが響き渡る中、一行は固く閉ざされたドアに阻まれます。ドアチェーンが、子どもたちを救おうとする彼らの行く手を阻む壁となっていました 。しかし、同行していた警察官がチェーンカッターでそれを破壊 。ついに、絶望の空間への扉が開かれます。
部屋の中に広がっていたのは、ゴミで埋め尽くされたあまりにも悲惨な光景でした 。一同が言葉を失う中、健太はベビーベッドでぐったりと動かない妹・愛莉ちゃんの姿を発見します 。恐る恐る抱きかかえると、その小さな体からは、かろうじて命の温もりが感じられました。
「大丈夫だ!!! 生きてる!!!!!」
健太の歓喜の叫びと同時に、先輩の塚地が救急車を手配します 。愛莉ちゃんは極度の脱水症状と栄養失調に陥っていましたが、まさに間一髪のところで命をつなぎとめたのです 。
「私が悪いの…?」―歪んだ母と子の絆
救急隊員が駆けつけ、現場が騒然とする中、姉の莉子ちゃんは呆然としたまま、小さな声で母親に謝罪します。 「ごめん…なさい ママ… 莉子が愛莉に…ちゃんと…ご飯食べさせ…なかったから…」
幼い彼女は、全て自分のせいだと思い込んでしまっていたのです。 この痛ましい言葉を聞いた母親の涼子は、信じられないことに逆上。莉子ちゃんを叩こうと手を振り上げ、こう言い放ちます。
「ほんと…あんたが…悪いのよ…」
自らの罪を、被害者である我が子になすりつけようとする母親。
その狂気の手が莉子ちゃんに届く寸前、健太が間に入って涼子を制止します。そして、震える莉子ちゃんの肩を抱き、優しく、しかし力強く語りかけました。
「莉子ちゃんは何も悪くないよ。何も…悪くない。」
この言葉は、罪の意識に苛まれていた莉子ちゃんの心を、どれほど救ったことでしょうか。
1か月後―救われた命と残された課題
事件から1か月後、姉妹は健やかな日常を取り戻しつつありました。莉子ちゃんは児童相談所の一時保護施設で、年相応の明るい笑顔を見せるまでになっています 。妹の愛莉ちゃんも、まだ入院は必要ですが集中治療室を出て、順調に回復していました 。医師によれば「あと数時間遅れてたら危なかった」とのことで、本当にギリギリの救出劇だったことがわかります 。
一方で、母親の涼子は、保護責任者遺棄容疑で逮捕・起訴されていました 。しかし、副所長は「判決では多分執行猶予が付くのでは」と、児童虐待事件における司法の厳しい現実を語ります 。母親が釈放されたとしても、すぐにまた親子で暮らせるわけではありません。再び母親として再生するためには、これから児童相談所のサポートを受けながら、長く険しい道を歩むことになるのです 。
サバイバーの告白と本当の夢
物語の終盤、健太は同僚の彩香に、自らの過去を打ち明けます。 母親からの電話で動揺していたのは、自身もまた、虐待から生き延びたサバイバーだったからだと 。涼子の罵声を聞いた瞬間、実の親から虐待されていた頃の記憶がフラッシュバックしてしまったのです 。
そして、健太は衝撃の事実を告白します。
「その時、オレを救ってくれたのが…実は藤井さんなんだ。」
絶望の淵にいた幼い健太を救い出してくれたのは、今の上司である藤井副所長だったのです。抱きしめてくれた藤井さんの腕の温もり、その時の安心感が、健太を児童福祉司の道へと導きました 。
しかし、児童福祉司になることは、彼の夢のゴールではありませんでした。
「オレにはまだ夢があって…」
そう語る健太の本当の夢。
それは、 「どんな親の元に生まれた子どもでも…どんな環境にある子どもでも 幸せになる権利があるんだ。」
「信じていい大人がいるって事を……多くの子どもに知ってほしい…」
そして彼は、穏やかながらも揺るぎない決意を込めて、丘の上から街を見下ろし、こう締めくくります。
「全てのこどもがそうなるのが…オレの夢なんだ。」
自らの痛みを知るからこそ、全ての子どもを救いたい。健太の壮大な夢への第一歩が記され、物語のエピソード①は感動的なフィナーレを迎えるのでした。
【ちいさいひと】3話を読んだ感想(ネタバレあり)
息をのむような救出劇から、涙なしでは見られない健太の過去の告白まで、感情が大きく揺さぶられる最終話でした。 姉妹が生きていてくれたことへの安堵感と、部屋の惨状のショックが入り混じり、冒頭から胸がいっぱいになりました。特に、自分を責める莉子ちゃんと、それに追い打ちをかける母親の姿は、あまりにも痛ましく、健太が「君は悪くない」と庇ったシーンでは涙が止まりませんでした。
母親に執行猶予がつくかもしれないという現実は、正直、複雑な気持ちになりました。しかし、ただ罰するだけでなく、親自身が再生し、もう一度子どもと向き合うための長いサポートが必要なのだという、この作品が描くテーマの深さを感じました。
そして、健太の告白です。彼がなぜこれほどまでに子どもたちの痛みに寄り添えるのか、その理由が彼の壮絶な過去にあったと知り、胸が締め付けられました。しかし、その彼を救ったのが藤井副所長だったという繋がりには、運命的な温かさを感じ、大きな感動を覚えました。「全てのこどもが幸せになる」という彼の夢は、単なる理想論ではなく、彼自身の魂からの叫びなのだと伝わってきます。このエピソード①は、これから始まる長い物語の序章に過ぎないのかもしれません。健太の夢が、これからどんな子どもたちを救っていくのか、彼の成長を最後まで見届けたいと強く思いました。
【ちいさいひと】3話のネタバレまとめ
- 健太たちは、家に置き去りにされていた莉子と愛莉を間一髪で救出します 。
- 母親の涼子は、自分の罪を娘の莉子に押し付けようとしますが、健太がそれを制止し「君は悪くない」と伝えます 。
- 1か月後、姉妹は回復に向かい、母親は保護責任者遺棄容疑で逮捕・起訴されます 。
- 健太は、自身が虐待サバイバーであること、そして過去に自分を救ってくれたのが藤井副所長だったことを明かします 。
- 健太は「全ての子どもが幸せになる権利がある」と知ってもらうことが自分の本当の夢だと語り、エピソード①は完結します 。
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