2025.07.27

【私が死んで満足ですか】第3話の結末をネタバレありでわかりやすく解説する

ずっちー

前話のおさらい

皇太子ベルビュートの回想で、彼が妹のルミナに巧妙に騙され、ロロナを憎むようになった過程が明かされました。
ベルビュートは差出人不明の密告文をきっかけに、ロロナの家の不正を知り、公の場で彼女を断罪して婚約破棄することを計画しました。
ルミナは幼い頃からベルビュートを手に入れるため、計算ずくで悲劇のヒロインを演じていたことが判明します。
物語の最後にロロナの父、リュース伯爵が登場し、娘の死に絶望する裏で、過去に妻を亡くした悲劇と深い後悔を抱えている姿が描かれました。

Contents

【私が死んで満足ですか】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する
- 戦場の英雄が抱える孤独と、空虚な自己陶酔
【私が死んで満足ですか】3話を読んだ感想（ネタバレあり）
- 【私が死んで満足ですか】3話のネタバレまとめ

【私が死んで満足ですか】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

第2話で描かれた父、リュース伯爵の悲痛な叫び。第3話は、彼の視点から物語が深く掘り下げられていきます。戦場の英雄として生きてきた男が、平和な時代の中で何を思い、どのようにして娘から目を背けるようになったのか。そして、彼を待ち受けるさらなる絶望とは一体何なのでしょうか。

戦場の英雄が抱える孤独と、空虚な自己陶酔

物語はリュース伯爵の回想から始まります。かつて彼は戦の英雄として、多くの人々から称賛を浴びていました。そして、愛する娘ロロナが王太子と婚約した時、それが自らの人生の頂点だと感じていたのです。

しかし、平和な時代が訪れると、戦でしか自分の価値を見出せなかった彼の存在意義は次第に失われていきました。後妻（ルミナの母）は金遣いが荒く、家は安らぎの場所ではなくなります。そのため彼は、自分の居場所を求めて別邸に引きこもり、来るかもわからない次の戦に備えて軍事訓練に明け暮れる日々を送るのでした。

娘の死に涙しながらも、彼の心には歪んだ感情が芽生えます。

「きっとまたみんな俺を憐れんでくれる甘やかしてくれる！」

悲劇の主人公になることで、再び人々の注目と関心を集められる。彼の悲しみは、空虚な自己陶酔と紙一重だったのです。

娘への裏切りと、残酷な真実の露見

伯爵が悲しみに打ちひしがれていると、彼の部下であるカイゼルという青年が声をかけてきます。カイゼルはロロナと一度だけ夜会で会ったことがあり、彼女の優しく親切な人柄を語りました。

しかし、カイゼルがロロナの葬儀の準備について触れると、伯爵の態度は一変します。

「弔いだと！？」「葬儀の手配山のような雑務を…俺が！？」

面倒な役目から逃れたい一心で、「こんなことなら王太子妃になってから死んでくれれば良かった」とまで言い放つ始末。そんな彼に、カイゼルは追い打ちをかけるように衝撃の事実を告げます。ロロナは亡くなる直前、皇太子から婚約破棄されていたというのです。その理由は、「妹のルミナ様を虐めていたから」というものでした。清純だと思っていた娘が自分を騙していたのか。伯爵の悲しみは、瞬く間に怒りへと変わっていきます。

絶望の淵で突きつけられる、伯爵家の完全な破綻

伯爵が怒りに震えながら屋敷に戻ると、そこには管財人のシェザムが待っていました。シェザムは、悲劇の主人公のように嘆く伯爵に対し、「本当にロロナお嬢様が大切ならどうして彼女をこれまで放置していたんだ」と、静かですが心のこもった怒りをぶつけます。

そしてシェザムは、本題である伯爵家の財政状況という、伯爵が最も聞きたくない現実を突きつけました。伯爵が戦で得た莫大な報奨金はとっくに底をつき、領地収入もない状態でした。彼の現実逃避である軍事訓練ごっこや、後妻の浪費によって、リュース家の財政は完全に破綻していたのです。

娘の最後の願いと、現実から目を背ける父の暴挙

信じがたい事実に愕然とする伯爵に、シェザムはさらなる真実を告げます。これまで家の財政を支えてきたのは、他ならぬロロナお嬢様だった、と。彼女は自ら金策に走り、借金の手配までして、この家を守り続けていたのです。

さらにロロナは、自分が家を出る時のことを考え、この別邸をはじめとした家財の売却先まで準備していました。それは、いつまでも戦の記憶から抜け出せない父が、争いの火種を手放せるようにという、娘の最後の願いでもあったのです。

しかし、あまりに不都合な真実を前に、伯爵はついに逆上します。

「わけのわからんことを言って俺を騙す気だろう」「お前もグルだろう！」

彼はロロナの優しさもシェザムの忠誠も信じようとせず、シェザムを殴りつけ、その場でクビを言い渡してしまいました。

絶望する管財人に差し伸べられた、謎の救いの手

伯爵に追い出され、ロロナの最後の願いすら叶えられなかったことに、シェザムは打ちひしがれます。そんな彼の前に現れたのは、先ほど伯爵の元にいた部下、カイゼル・バートでした。

彼はシェザムの状況をすべてお見通しであるかのように、静かに手を差し伸べます。そして、「よろしければ私と少し話をしませんか」「きっとあなたにとっても悪い話ではないはずです」と、意味深な言葉を投げかけるのでした。彼の正体は一体何者なのでしょうか。

【私が死んで満足ですか】3話を読んだ感想（ネタバレあり）

第3話は、リュース伯爵という人物の「どうしようもなさ」が徹底的に描かれていて、読んでいて溜息と怒りが交互にやってくるような回でした。かつては英雄だったのかもしれませんが、平和な時代に取り残され、過去の栄光と他人の同情にしか自分の価値を見いだせない姿は、本当に情けないの一言です。

特に、管財人シェザムが家の破綻とロロナの献身を告げるシーンは圧巻でした。娘がどれだけ苦労し、自分のことを案じてくれていたかを知ってもなお、現実を受け入れずに逆ギレする姿には、怒りを通り越して呆れてしまいました。彼のプライドは、娘の愛情よりも大切だったのですね。

しかし、そんなダメ親父のことを、ロロナは最後まで心配していた。この事実が、ロロナというキャラクターの優しさと愛情深さを一層際立たせていて、胸が締め付けられる思いです。彼女の復讐は、この愚かな父親にも向けられるのでしょうか。

そして最後に現れた謎の男、カイゼル。彼の登場で、物語は一気にミステリアスな雰囲気を帯びてきました。彼は一体何者で、何を企んでいるのか。シェザムに協力を持ちかけたその真意は？彼がロロナの復讐計画におけるキーパーソンになることは間違いないでしょう。彼の存在が、今後の展開にどのような影響を与えるのか、考察が止まりません。

登場人物たちの人間的な弱さや愚かさが、より深く描かれた第3話。物語は単なる勧善懲悪の復讐劇ではなく、複雑な人間ドラマとしての深みを増してきました。次回の展開が今から待ち遠しいです。