復讐モノ

【新卒の美和ちゃん】9話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 美和に嵌められた小松と中村は、美和への復讐を誓い、協力関係を結びます。
  • 会社は一連の騒動の責任者として、美和ではなく小松と中村を「会社の墓場」と呼ばれる総務部へ左遷しました。
  • 一方、美和は小松がいた花形の企画部への栄転が決まり、勝ち誇ります。
  • 小松は、美和の弱点が「若林課長への恋心」であることを見抜き、彼を奪い取ることで美和に最大の屈辱を与えるという、新たな復讐計画を立てるのでした。

【新卒の美和ちゃん】第9話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、美和への復讐同盟を結んだ小松と中村。第9話では、会社の創立20周年記念パーティーを舞台に、早速小松の用意周到な逆襲劇が始まります。一方、何も知らない美和は、自らの栄転に酔いしれ、新たな獲物を求めて動き出しますが、その足元で静かに燃え広がる復讐の炎には、まだ気づいていませんでした。

会社の記念パーティーと、渦巻く思惑

物語は、株式会社ドイルの創立20周年記念パーティーの実行委員会から始まります 。手伝いとして集められた新卒社員たちでしたが、その雰囲気は決して和やかなものではありませんでした。

実行委員会の憂鬱と、美和の不在

パーティーを取り仕切るのは、イベント好きで知られる総務部の西園寺さん。彼女はやけに張り切っており、同期たちはパーティー用のカチューシャを付けさせられ、うんざりした様子です 。

そんな中、実行委員会の指示役として、総務部に左遷されたばかりの小松と中村が指名されます 。しかし、そこにいるはずの新卒・飯田美和の姿が見当たりません。西園寺さんはあっさりと「飯田さんは免除です」と告げます 。小松は、中村が美和にセクハラで訴えられたことへの配慮だろうと察しますが、その理不尽な扱いに、美和への闘志を静かに燃やすのでした。

復讐の舞台は整った!小松の逆襲計画

そしてパーティー当日。小松は、美和の弱点である若林課長を攻略するという目的を胸に、戦いの舞台へと臨みます。

若林課長、登場

ついに会場に本日の主役、若林課長が現れます 。小松の目的はただ一つ。「飯田美和の弱味であるこの人を攻略すること」 。彼女は早速、パーティーグッズをきっかけに若林課長へ話しかけます。

そこに、主役の座を奪われまいと美和が割り込んできます。しかし、これも小松の計算の内でした。小松は、パーティーの盛り上げ役を頼まれたと嘘をつき、美和に猫耳のカチューシャを付けさせ、その場を巧みにコントロールします 。美和は若林課長にアピールできたと満足しますが、小松の本当の狙いは別にありました。

趣味を武器に、心の距離を縮める

美和が他の場所へ移動し、チャンスが訪れると、小松は再び若林課長の元へ向かいます 。彼女が持ち出したのは、会場で流れているBGMの話題でした。

「実はBGM、私が選曲してて」「イエロータイムってバンドの曲です」

この一言が、若林課長の心を強く惹きつけます。

若林課長もそのバンドのファンであり、二人は音楽の趣味という共通点で一気に意気投合します。彼は、小松のことを「キャピキャピしたあざと女子」 と誤解していましたが、レコードを聴くという大人びた趣味とのギャップに、すっかり感心してしまったのです 。

さらに小松は、例の事件について「私が悪いのは間違いないので」 と殊勝な態度を見せ、希望の部署を追われたことを心から後悔していると打ち明けます 。その健気な姿に心を動かされた若林課長は、彼女に特別な言葉をかけました。

…まぁ 部にいなくても企画案は受け付けてやるよ いつでも連絡してくればいい

小松の作戦は、見事に成功したのです。

パーティーの裏側で起きた、一つの告白

華やかなパーティーが終わり、後片付けが進む会場の片隅で、もう一つのドラマが静かに進行していました。主役は、ひたむきな想いを胸に秘めた同期の長谷部くんです。

共通の趣味から芽生えた、長谷部の淡い恋心

ごみ捨ての作業をしていた小松に、長谷部くんが少し緊張した面持ちで声をかけます。彼は、パーティーで流れていたバンド「イエロータイム」が好きかと尋ねるのでした。実は彼も、アニメの挿入歌がきっかけで、そのバンドが大好きになったのです。

「小松と俺って結構趣味合うよね」

長谷部くんは、これまで読んでいた漫画が同じだったことなどを挙げ、小松との間に不思議な共通点を感じていました。彼にとって、多くの趣味を分かち合える小松の存在は、日に日に大きくなっていたのでしょう。そして、ぽつりと漏らした「……かわいいし」という言葉をきっかけに、彼はついに、内に秘めていた想いを打ち明ける決心をします。

「俺とつ、つつ、つ付き合って貰えませんか」

震える声で紡がれた、彼の精一杯の告白が、静かな片付け場所の空気を揺らしたのでした。

純情を踏みにじる、小松の残酷な仕打ち

しかし、長谷部くんの純粋な想いは、最悪の形で裏切られることになります。彼の告白を受けた瞬間、そこにいた小松の心の中では、冷酷な計算が働いていました。

豹変する態度と、見下した視線

長谷部くんが会社を辞める予定であることを思い出した小松は、「じゃ別に愛想振りまく必要ないか」と判断します 。その瞬間から、彼女の態度は完全に豹変するのでした。これまでの柔らかな雰囲気は消え失せ、彼の存在そのものを見下すような冷たい視線を向けます。彼の純粋な好意は、小松にとっては格好の餌食でしかなかったのです。

格の違いを突きつける、容赦のない言葉の刃

小松は、容赦のない言葉で長谷部くんの心を切り刻んでいきます。

「見て分かるとおり、私って長谷部と違う種類の人間じゃん」

彼女は、自分が総務部に異動になったことで、彼が自分を格下だと勘違いして告白してきたのではないかと決めつけます 。そして、「てか総務だとしてもあんたよりは格上だから」と、歪んだ優越感から彼の人間性までをも否定するのでした

ストレス発散の道具、そして歪んだ感謝

この一連の言動は、小松にとって、ここ最近溜まっていたストレスを解消するための、ただの憂さ晴らしでした。彼の心をズタズタに引き裂いたことに、彼女は「きっもちい〜〜」と心の底からの快感を覚えます 。若林課長にうまく取り入り、厄介なストーカーからも解放された彼女にとって、この日の出来事は「大収穫」だったのでした

そして最後に、何も言えずに立ち尽くす長谷部くんの背中に、「さんきゅー長谷部」と、悪魔のような笑みを浮かべて言い放ちます 。彼の純情は、彼女の歪んだ自尊心を満たすための道具として、無慈悲に消費されてしまったのです。

【新卒の美和ちゃん】9話を読んだ感想(ネタバレあり)

第9話は、小松さんの策略家としての底知れない才能に、ただただ圧倒される回でした。前回、美和への復讐を高らかに宣言しましたが、これほどまでに冷静かつ効果的な手で反撃に出るとは、正直予想以上でした。相手の趣味を徹底的にリサーチし、共通の話題で懐に入り込み、さらには自分の置かれた逆境すらも同情を引くための武器に変える。その手腕は、もはや新人とは思えません。

一方で、美和ちゃんの行動は、見ていて心が痛むほどでした。彼女のストレス発散の矛先が、これまで彼女を純粋に想ってくれていた長谷部くんに向かったのは、あまりにも残酷です。彼の恋心を「キモいオタクの勘違い」と一蹴する姿は、彼女の人間性の歪みを浮き彫りにしています。彼女が勝利を確信すればするほど、その足元が崩れていく様は、物語のカタルシスを感じさせます。

美和と小松、二人の戦い方が実に対照的で面白いです。美和が力でねじ伏せ、相手を屈服させることで快感を得る「暴君」タイプなら、小松は相手に寄り添うフリをしながら、静かに内側から崩していく「軍師」タイプ。今回のパーティーでの攻防は、まさに二人の本質を表しているようでした。小松が若林課長という最大の城を落とす日は近いのか、次回の展開が楽しみでなりません。

【新卒の美和ちゃん】9話のネタバレまとめ

  • 会社の創立20周年記念パーティーの実行委員に、新卒たちが集められるが、美和はセクハラ騒動への配慮を理由に免除される。
  • パーティー当日、小松は美和の弱点である若林課長を攻略するため、共通の趣味である音楽を武器にアプローチし、好感触を得る。
  • 一方、美和は自分に好意を寄せる同期の長谷部から告白されるも、彼を罵倒することで日頃のストレスを発散する。
  • 小松は若林課長から「企画案を直接受け付ける」という特別な約束を取り付け、復讐計画の第一歩を成功させる。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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