漫画【棲ミタイ街】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
この物語の導入は?
  • 平和なショッピングモールで、子供向けの汽車に人間の顔のパーツが貼り付けられるという、猟奇的な事件が発生します。
  • この異常な事件の捜査に、変わり者と噂されるエリート女性刑事・深見琴乃が着任します。
  • 犯人の異常な犯行は「リチュアル(儀式)」と呼ばれ、街全体を震撼させる事件の幕開けとなります。

漫画【棲ミタイ街】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する

平和な日常を切り裂く、悪夢の始まり

物語は、現代の地方都市「おおわしの丘」にある大型ショッピングモール「イーグルモール」から始まります。

多くの家族連れで賑わう休日のフードコート。ある家族の幼い息子が、モール内を走るキッズトレインに乗りたいと父親にねだります。

「トーマスじゃないよ 顔が違うじゃん!」

はじめは微笑ましく子供を諭していた父親ですが、その直後、夫婦の表情は凍りつきます。彼らの視線の先、子供が楽しそうに乗っている列車の先頭には、おもちゃの顔ではありませんでした。そこに貼り付けられていたのは、まるで福笑いのように配置された、本物の人間の顔のパーツだったのです。

子供の悲鳴、母親の絶叫がモールに響き渡り、平和な日常は一瞬にして悪夢へと変わります。これが、街を恐怖に陥れる連続猟奇事件の、あまりにも衝撃的な幕開けでした。

バラバラの顔と謎めいた犯人像

通報を受け、現場はすぐに警察によって封鎖されます。 ベテラン刑事の青木と三宅が現場の状況を確認する中、鑑識官から衝撃的な報告がもたらされます。

「死体損壊 遺棄です」

「人間の顔の部位を切り取って 子供用の汽車に貼り付けられているようです」

犯行は極めて異常でありながら、その手口には奇妙な正確性が見られました。被害者の死体そのものは見つからず、顔のパーツだけが現場に残されていたのです。 この不可解な状況に、捜査員たちは戸惑いを隠せません。

この異様な事件の捜査に、所轄の「おおわし署」から一人の女性刑事が合流することになっていました。

超エリートで変わり者の刑事・深見琴乃

「シングルマザーですよ」「あと趣味が 猟奇殺人事件 ファイルの閲覧らしいです」

その刑事の名は深見琴乃。京都大学を卒業後、アメリカのコロンビア大学への留学経験も持つ超エリートです。 しかし、同僚たちの会話から、彼女が単なるエリートではない、一風変わった人物であることがうかがえます。

そんな噂の深見本人は、現場に到着するなり、スーツ姿のまま地面に四つん這いになり、床を舐めるようにして捜査を始めます。 常識外れの行動に呆れる先輩刑事の青木をよそに、深見は驚異的な観察眼を発揮し始めました。

「左右の目の位置にずれがない 鼻も口も正中線に寸分違わず貼り付けてる…」

「とても几帳面……」

彼女は、犯人が顔のパーツを極めて正確に配置していること、そして皮膚の乾燥を防ぐためにエポキシ樹脂で固定していることまで瞬時に見抜きます。 さらに、切り口の鋭さから「もしかして この切り方なら まだ被害者が生きてるかも」と、衝撃的な可能性を口にするのでした。

第二の悲劇と「リチュアル」の影

捜査が進む中、現場の上階から野次馬に紛れて捜査の様子を窺う親子がいました。その子供は、深見の息子・利一でした。 利一は母の元へ駆け寄ろうとしますが、その途中、キッズスペースのロケット型遊具の中に、フードを深くかぶった怪しい人物が座っているのを目にします。

次の瞬間、その人物は突如立ち上がると、3階の吹き抜けから身を投げました。騒然となるモール内。落下した人物は死亡し、その足元には、最初の事件現場に残されていたものと同じように、一足の靴が丁寧に置かれていたのです。

目の前で起きた第二の悲劇を前に、深見は静かに呟きます。

リチュアル(儀式)…?」

これは単なる猟奇殺人ではない。犯人による何らかの「儀式」であると、彼女は確信したのでした。

天才刑事の私生活と事件のヒント

場面は変わり、深見の自宅。彼女は元刑事の祖父と息子・利一の3人で暮らしているようです。 夕食のあんこう鍋を囲みながらも、深見の頭の中は事件のことで一杯でした。彼女はなんと、鍋の具材を使って、汽車の顔を再現し始めるのです。 祖父に「食べ物で遊ぶな!」と叱られても、「アートだよ アート!」と悪びれる様子もありません。

その後、利一と一緒にお風呂に入っていると、息子が口にした言葉に深見は耳を疑います。

「そしたら 顔がばってんの おじさんがいたのー」

利一は、あのロケットの遊具で、顔に傷のようなものがある男を目撃していたのです。犯人に繋がる、思わぬ重要参考人がすぐそばにいたことが判明しました。

次なる儀式への序曲

物語の最後、読者の視点は犯人のものと思われる部屋へと移ります。「ハンバーグの国っの!王子さまー」と不気味な歌を口ずさみながら、PCで事件現場の靴の画像を眺め、ハサミで何かを切り刻む人物。 その姿は、ショッピングモールにいたマスコットキャラクター「イグモン」の着ぐるみを着ています。

そして、一つの儀式を終えた犯人は、切り取った人間の眼球を手に持ち、こう宣言します。

「男の死により 一つ穢れが拭われました」

「次の儀式をはじめましょう」

犯人の目的は「穢れを拭う」こと。そして、この狂気の儀式はまだ始まったばかりであることを示唆して、物語は幕を閉じます。

漫画【棲ミタイ街】1話を読んだ感想(ネタバレあり)

第1話から、読者の心を鷲掴みにして離さない、強烈なインパクトを持った物語だと感じました。 まず、多くの人が利用するショッピングモールという日常的な空間が、一瞬で非日常的な惨劇の舞台に変わるという導入が非常に巧みです。キッズトレインに貼り付けられた顔のパーツという、グロテスクでありながらどこかデザイン的な美しささえ感じさせる猟奇的な犯行は、生理的な嫌悪感と同時に、犯人の歪んだ美学に対する興味を掻き立てられます。

そして何より魅力的なのが、主人公の深見琴乃というキャラクターです。超エリートでありながら、地面に這いつくばって捜査したり、食事中に事件の再現をしたりと、その行動は常軌を逸しています。しかし、その奇行の裏には、誰にも真似できない驚異的な観察眼と推理力が隠されているのです。彼女がどのようにしてこの「リチュアル殺人」の真相に迫っていくのか、目が離せません。

また、息子・利一の存在が物語に深みを与えています。猟奇事件を追う非情な刑事としての顔と、息子を愛する母親としての顔。この二面性が、深見琴乃という人間をより立体的に見せてくれます。息子が犯人を目撃していたという展開も、今後の親子関係が事件にどう関わってくるのか、ハラハラさせられます。

犯人の目的が「儀式」であり、「穢れを祓う」ことであると示唆されたラストは、この物語が単なるサイコサスペンスではなく、何か根深い信仰や思想に基づいた壮大な物語であることを予感させます。一体、犯人は何を「穢れ」と見なしているのでしょうか。そして、「棲ミタイ街」というタイトルに隠された意味とは何なのか。謎が謎を呼ぶ展開に、すっかり引き込まれてしまいました。

【棲ミタイ街】1話のネタバレまとめ

  • 大型ショッピングモールで、子供向け汽車に人間の顔のパーツが貼り付けられる猟奇事件が発生します。
  • 捜査を担当するのは、京大・コロンビア大卒のエリートでありながら、常識外れの捜査方法をとる女性刑事・深見琴乃です。
  • 犯人の犯行は「リチュアル(儀式)」の可能性が高く、現場には被害者の靴が残されるという特徴がありました。
  • 深見の息子・利一が、事件現場で「顔がばってんのおじさん」という犯人らしき人物を目撃していたことが判明します。
  • 犯人は「穢れを拭う」ために儀式を続けており、次の犯行を準備していることがラストで明かされます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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