【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する
多くの人が「妊娠・出産」と聞くと、新しい命の誕生に満ちた、温かく幸せなイメージを思い浮かべるかもしれません。今回ご紹介する物語の主人公・橘千夏も、かつてはそう信じていた一人でした。しかし、彼女を待ち受けていたのは、想像を絶する過酷な現実だったのです。
この記事では、衝撃的なテーマで話題の漫画「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~」の第1話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。物語の核心に迫る内容となりますので、ご注意ください。
理想と現実の残酷なコントラスト
物語は、主人公・千夏が置かれている衝撃的な状況と、彼女が夢見ていた幸せな過去を対比させる形で進んでいきます。
幸せの象徴だった「妊娠・出産」
「私にとって『妊娠出産』は憧れそのものだった」
このモノローグと共に、物語は始まります。千夏の心の中では、ふっくらとしていくお腹と共に、ひとりの女性から母へと変わっていく「十月十日」は、「幸せの象徴」に他なりませんでした。
彼女は、自分の中に新しい命が宿る感覚や、お腹を蹴られる胎動を、心の底から体験したいと願っていたのです 。出産すれば、きっと今よりもっと幸せで、にぎやかな毎日が待っているはず。千夏はそう固く信じていました 。
しかし、ページをめくると、場面は一変します。
産後2ヶ月半、閉ざされた病室で
「看護師さーん!!」
場面は突然、殺風景な病室へ。ベッドの上で両手両足を拘束された千夏が、必死に叫んでいます。ナレーションには「この時 産後2カ月半」とあり、彼女が少し前に出産したことがわかります。
あれほど夢見た赤ちゃんと、幸せな日々を送っているはずの時期に、なぜ彼女は手足を縛られ、助けを求めて叫んでいるのでしょうか。理想と現実のあまりのギャップに、読者は息を呑むことになります。
千夏は、点滴棒を足で巧みに操り、ナースコールを押すという驚きの行動に出ます 。駆けつけた看護師に「私退院のことで話が」と必死に訴えますが、冷静に「あまり大声とか出すとほかの患者さんの迷惑になるから」と諭され、ついには両足も拘束されてしまいます 。
「やだやだ」と抵抗し、彼女は魂の底から叫びます。
「なんでいつまでも縛るの!!私もう普通なのに!!」
この悲痛な叫びは、彼女自身が自分の置かれた異常な状況を理解できていない、深い混乱と孤独を表しているようです。
1年3ヶ月前の幸せな記憶
なぜ、千夏はこのような状況に陥ってしまったのでしょうか。物語は、彼女が絶望の淵にいる現在から、幸せの絶頂にいた過去へと時間を遡ります。
夫・涼太との妊活の始まり
時間は、千夏が入院する1年3ヶ月前へと移ります 。
そこには、夫の涼太と幸せそうに寄り添う千夏の姿がありました。
「うちらもそろそろだと思うんだよ?結婚して4年たつしさ」
「私も31歳になるし 涼ちゃんも子供好きでしょ?」
そう言って、無邪気に子供を欲しがる千夏。彼女にとって、子供を持つことはごく自然で、幸せな未来へのステップでした。しかし、夫・涼太の表情は、どこか晴れません。彼は千夏に、あることを確認します。
「千夏 今はもう本当に薬何も飲んでないの?」
断ち切ったはずの過去
涼太の心配の種は、千夏が過去に服用していた薬でした。 実は千夏は結婚前、昼夜を忘れて仕事に没頭する少女漫画家でした 。その結果、心と体のバランスを崩し、「Kメンタルクリニック」で「軽度の抑うつ状態」と診断されてしまったのです。
処方されたのは、内科などでも出されるポピュラーな抗不安薬 。飲めばホッとできましたが、この薬には「依存性が強く出るのがデメリット」という側面もありました。
しかし、千夏は涼太の心配を、明るい笑顔で吹き飛ばします。
「うん 飲んでないよ」「本当ここ1年は調子が良くて完全に断薬できてるし」
薬剤師である涼太は、薬の怖さを知っているからこそ心配していたのです。ですが、愛する妻の「大丈夫」という言葉と、赤ちゃんを夢見る彼女の幸せそうな笑顔を見て、彼もまた、子供を持つことを決意します。
「つくろうか 子供」
歓喜の瞬間と、迫りくる絶望の影
二人の想いは、やがて実を結びます。
待ちわびた命
妊活を始めて半年 。何度も妊娠検査薬を試す日々が続きます。そして、ついにその瞬間が訪れます。トイレから出てきた千夏は、夫の胸に顔をうずめ、震える声でこう告げました。
「涼ちゃん…できたよ…!!
赤ちゃん できたよ…!!」
突然の吉報に、涼太は「えっ……子供?」と戸惑いながらも、喜びのあまりその場にへたり込んでしまいます 。
2013年の12月 。二人は、かけがえのない一つの命を授かったのです 。千夏の胸には、明るい未来への予感と、この命を大切に育てていくという幸せな決意だけがありました 。
しかし、幸せの絶頂にいる二人に、ナレーションが重なります。
「この先待ち受けているものが壮絶なものになるだなんて 微塵も予想できなかった」
この一言が、彼らの未来に訪れる過酷な運命を予感させ、物語は冒頭の衝撃的なシーンへと繋がっていくのです。希望に満ち溢れたこの瞬間が、後の絶望をより一層際立たせる、残酷で巧みな構成となっています。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】1話を読んだ感想(ネタバレあり)
第1話を読んで、まず感じたのは、多くの人が抱く「出産=ハッピーエンド」という固定観念を根底から揺さぶる、強烈な問題提起でした。物語の冒頭で、あれほど出産を夢見ていた主人公が、産後に精神科病棟で拘束されている姿を見せつけられ、一気に物語の世界に引きずり込まれます。
過去の幸せな妊活時代と、現在の悲惨な状況が交互に描かれることで、主人公・千夏の絶望がより深く、鋭く胸に突き刺さりました。「なぜ、こうなってしまったのか?」という大きな謎が提示され、ページをめくる手が止まりませんでした。
特に印象的だったのは、千夏の「私もう普通なのに!!」というセリフです。本人には、自分が異常だという自覚がない。この認識のズレこそが、精神の病の最も恐ろしい部分なのかもしれないと感じさせられました。
「産褥期精神病」という、決して他人事ではないかもしれないけれど、あまり知られていない病気の現実を、この物語はこれからどのように描いていくのでしょうか。希望の光は見つかるのか、そして夫の涼太はこの過酷な現実とどう向き合っていくのか。第1話にして、多くの宿題を突き付けられたような、重く、しかし目が離せない読後感でした。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】1話のネタバレまとめ
- 主人公の千夏は「妊娠・出産」に強い憧れを抱き、それを「幸せの象徴」だと考えていました 。
- 物語は、千夏が産後2ヶ月半で精神科病棟に入院し、手足を拘束されている衝撃的な場面から始まります 。
- 時間は1年3ヶ月前に遡り、夫の涼太と幸せな妊活を始める様子が描かれます 。
- 千夏は元漫画家で、過去に「軽度の抑うつ状態」と診断され抗不安薬を服用していましたが、妊活のために断薬していました 。
- 待望の妊娠に夫婦で喜びますが、その幸せな瞬間とは裏腹に、産後の彼女を「壮絶なもの」が待ち受けていることが示唆されます 。
▷次の記事はこちらから



