【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】2話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 主人公の千夏は「妊娠・出産」に強い憧れを抱いていました。
- 物語は、千夏が産後2ヶ月半で精神科病棟に入院し、拘束されている衝撃的なシーンから始まります。
- 時間は1年3ヶ月前に遡り、夫・涼太との幸せな妊活の日々、そして待望の妊娠が描かれました。
- 幸せの絶頂から一転、産後の彼女に「壮絶なもの」が待ち受けていることが示唆され、第1話は幕を閉じました。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第2話をネタバレありでわかりやすく解説する
前話では、主人公・千夏の妊娠判明という喜ばしい瞬間と、その後の過酷な現実が示唆されました。第2話では、多くの妊婦が経験する「つわり」が、いかに壮絶なものであるかが描かれます。喜びも束の間、千夏を襲ったのは、終わりの見えない地獄のような日々でした。
この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~」第2話の詳しいあらすじと見どころを、ネタバレありでご紹介します。
終わりの見えない「つわり地獄」
喜びの妊娠判明から数週間、千夏の日常は一変します 。多くの人が「妊娠したら経験するもの」と軽く考えがちなつわりですが、彼女を襲ったのは想像を絶する苦しみでした。
想像を絶するつわりの実態
千夏のつわりは、吐く回数こそ少ないものの、常に強い吐き気に襲われるタイプでした 。さらに、食べ物や洗濯物など、あらゆるものの匂いがダメになる**「匂いつわり」**が主な症状として彼女を苦しめます 。
夫の涼太が、少しでも気が紛れるようにと買ってきた綺麗な花でさえ、その匂いが耐えられず、別の部屋に置いてもらうほどです 。
インフルエンザにかかった時のような体の倦怠感と、絶え間ない気持ちの悪さで、ほとんど寝たきりの状態に 。もちろん家事も一切できません 。栄養を摂ろうと、半日もかけてやっと飲んだゼリー飲料も、虚しく吐き出してしまいます 。
「本当に終わるのかな…」「出産まで終わらない人もいるみたいだし」
終わりの見えない苦しみに、千夏の心はどんどん追い詰められていきました。
痩せゆく体と衰弱する心
鏡に映るのは、やつれて生気を失った自分の顔。つわりの影響で、千夏の体重は妊娠前より8kgも減少していました 。寝ている時以外は常に吐き気に襲われ、数ヶ月にわたって心も体も衰弱しきっていたのです 。
さらに彼女を苦しめたのは、胃が焼けるように痛む「逆流性食道炎」のような症状でした 。
涼太に支えられながら、千夏は涙ながらに胸の内を吐露します。
「ぜいたくな悩みだって わかってる」
「あんなに望んだ 赤ちゃんを授かれて」
「…それなのに つらい」
待ち望んだ妊娠であるにもかかわらず、喜べない自分を責める罪悪感と、純粋な肉体的な苦しみが、彼女の心を蝕んでいました。
救いを求めて大病院へ
自分一人の力では、この状況を乗り越えることはできない。そう判断した夫婦は、新たな一歩を踏み出します。
飢餓状態を示す「ケトン体」
定期健診のため、夫婦は産婦人科を訪れます。エコー検査でお腹の赤ちゃんが元気に動いているのを見て、二人は顔をほころばせます 。
しかし、医師から告げられたのは衝撃的な事実でした。
「お母さんの尿検査でケトンが+3も出ちゃってるので ちょっと点滴しておきましょうか」
「ケトン」とは、体がエネルギー不足になり、脂肪を分解してエネルギーを作り出す際に発生する物質のことです。これが尿から多く検出されるということは、体が**「飢餓状態」**にあることを意味します 。食事どころか、水分さえもまともに摂れていなかったのです 。
2週間の入院生活
妊娠6ヶ月(23週)になっても、つわりは一向に終わる気配を見せません 。見かねた涼太は、入院施設のある地域の総合病院へ行こうと提案します 。
S総合病院の医師は、千夏の状態を見てすぐに入院を決定します。
「それではとりあえず今日から2週間入院してもらいます」
「絶飲食で1日4本の点滴」
「退院のめどは食事をまともに摂れるようになったらです」
食べられるようになったら退院、という条件に、千夏は「私ここから出られる気がまったくしない…」と絶望的な気持ちになります 。
入院生活で見つけた小さな光
人生で初めての入院生活 。不安と絶望の中にいた千夏でしたが、そこには温かい出会いと、ささやかな希望の光が待っていました。
心安らぐ看護師の言葉
点滴の準備をする看護師に、千夏は胃の痛みの治療について尋ねます 。看護師は、まずは絶食で消化器を休ませることを説明しつつ 、千夏の不安に寄り添うように、優しい言葉をかけました。
「私も…経験者なので 橘さんのつらさがよくわかります」
この共感の言葉は、孤独な戦いを続けてきた千夏の心を温かく満たしたのでした 。
半年ぶりの固形物、そして涙
入院して2週間以上が経過した頃、千夏は医師の許可を得て、ついに食事に挑戦することになります 。目の前に置かれたのは、湯気の立つ病院食。半年もの間、ゼリー飲料のようなものしか口にできなかった彼女にとって、それは恐怖の対象でもありました 。
おそるおそる大根の煮物を口に運んだ、その瞬間。
「あれ…?えずかない」
半年ぶりに感じる、温かい食事の味。千夏の瞳からは、自然と涙がこぼれ落ちます。「おいし…」 。その日食べた大根の煮物の味と、食べ物が喉を通るありがたさを、きっと一生忘れないだろうと彼女は感じます 。それは、人としての正常な感覚をやっと取り戻せた瞬間でもありました 。
退院、そして新たな生活へ
長かったトンネルに、ようやく出口の光が見えてきました。
赤ちゃんの性別判明と未来への約束
食事を摂れるようになった千夏は、急速に回復していきます。そして、診察でお腹の赤ちゃんの性別が男の子だと判明 。夫の涼太は「俺男兄弟がいないからさ やっぱりね」と、満面の笑みで喜びます 。
同じ病室で仲良くなった妊婦の友人と、「お互い退院したらさ~ 前話してた食べ放題バイキングいってデブろうね!」と笑い合うなど、千夏の表情には明るさが戻っていました 。
「パパとママと3人で」我が家へ
1日に4本あった点滴も日ごとに減っていき、ついにゼロになった翌日、千夏は退院の日を迎えました 。
「これでやっと人なみの妊婦生活をおくれるのだろうと その時はそう思った」
このモノローグには、この先の展開を知る読者として一抹の不安を覚えてしまいますが、この時の彼女は確かに希望に満ちていました。
涼太と手を繋ぎ、退院した千夏は、晴れやかな笑顔でこう言います。
「帰ろっか パパとママと3人で おうちへ」
壮絶なつわり地獄を乗り越え、夫婦は新たな一歩を踏み出しました。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】2話を読んだ感想(ネタバレあり)
第2話を読んで、改めて「つわり」の過酷さを痛感させられました。「病気じゃない」「赤ちゃんが元気な証拠」といった言葉が、いかに当事者を苦しめ、孤独にさせる可能性があるかを考えさせられます。千夏が「ぜいたくな悩み」と自分を責めてしまう姿は、本当に胸が痛みました。
そんな暗闇の中で、夫・涼太の献身的な支えや、同じ経験を持つ看護師からの「わかります」という共感の言葉は、何よりの薬になったことでしょう。そして、半年ぶりに固形物を口にして「おいしい」と涙するシーン。当たり前の日常がいかに尊く、幸せなことであるかを教えられました。ここはこの物語屈指の名場面だと思います。
ようやくつわりを乗り越え、希望に満ちて退院するラストシーン。しかし、第1話の冒頭で描かれた衝撃的な未来を知っているからこそ、この穏やかな時間が永遠ではないことを予感してしまい、切ない気持ちでいっぱいになりました。この束の間の平穏が、この後の壮絶な展開への序章に過ぎないのかと思うと、胸が締め付けられます。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】2話のネタバレまとめ
- 妊娠判明後、千夏は「匂いつわり」をはじめとする重いつわりに苦しみ、心身ともに衰弱しました 。
- 体重が妊娠前より8kgも減少し、体が飢餓状態(ケトン体+3)に陥ったため、S総合病院へ入院することになりました 。
- 2週間以上にわたる入院と点滴治療の末、千夏は半年ぶりに食事を摂れるようになり、その喜びに涙を流しました 。
- お腹の子の性別が男の子だと判明し、夫と喜びを分かち合います 。
- つわりを乗り越えて無事に退院した千夏は、「やっと人なみの妊婦生活が送れる」と希望を胸に、夫と共に我が家へと帰りました 。
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