【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 退院した千夏は、一見穏やかな生活を取り戻しましたが、息子への生理的嫌悪感は消えずにいました 。
- 泣き出した息子に対し「ポーンって落としてあげようねぇ」と常軌を逸した言動を見せたため、涼太は母に息子を預け、自身が千夏と二人きりで向き合うことを決意しました 。
- 千夏は完全に正気を失い、「私と夫の5日間が始まった」という不穏な言葉で物語は終わりました 。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第12話をネタバレありでわかりやすく解説する
「私と夫の5日間」―。それは、二人にとってまさしく地獄のような日々の幕開けでした。第12話では、薬も効かず、深刻な妄想と幻聴に苛まれる千夏と、心身ともに限界を迎えながらも必死に妻を支えようとする涼太の姿が描かれます。そして、追い詰められた千夏が選んだ最後の手段とは…。
この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第12話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。
薬も効かない、出口のない地獄
9月21日、アパートでの療養生活は、壮絶を極めていました。
母親失格という自己否定
千夏は「すがるように」薬を飲みますが、もはやどれも効かなくなっていました 。彼女は床に何度も頭を打ち付けながら、「ごめんなさい…」と泣き叫びます 。
「私は『母親』になりたかったわけじゃなかった」
「『母親をしている自分』になりたかっただけなんだ」
自分は、子どもをアクセサリーのように、自分の人生を飾るための小道具のようにしか考えていなかった。だから神様からバチが当たったのだと、激しい自己嫌悪と罪悪感に苛まれるのでした 。そんな妻の姿を目の当たりにし、「何日寝てない?」「何日食べられてない?」と問う涼太もまた、心身ともに限界を迎えていました 。
幻聴がささやく「死」への誘い
千夏の精神状態はさらに悪化し、二度目の深刻な錯乱状態に陥ります 。その症状は、以前とは少し様相が異なっていました 。
「許せないね」「消してやる」
千夏は、涼太を「かわいそうに…」と憐れんだかと思えば、突然「許せないね」「バチはおまえにだけだ 消してやる いつまで生きてんだ」と、まるで別人が乗り移ったかのような、凶暴な言葉を涼太に投げつけます 。そして、「安心して」「もうすぐ解放されるよ」と不気味に微笑むのでした 。
鴉の幻覚と「死の救済」
9月22日の夕方、窓の外に集まるおびただしい数のカラスの幻覚が見え始めます 。その不吉な光景と鳴き声は、「勘弁してくれよ」「いったい千夏が何をしたっていうんだよ」という、涼太の心の叫びと重なるようでした 。
夫婦の絆と、最後の決断
狂気と絶望が渦巻く中、涼太の愛情だけが、唯一の光でした。
「千夏が前みたいに笑えるようになるまでは大丈夫にならない!」
「私のことは大丈夫だから…」と、なおも夫を気遣う千夏。その言葉に、涼太は涙ながらに訴えます。「いっとくけど俺は全然大丈夫じゃないからな」 。そして、こう叫ぶのでした。
「千夏が前みたいに笑えるようになるまでは大丈夫にならない!」 。
妻の回復こそが、自分の幸せなのだと、彼は全身全霊で伝えたのです。
「だって俺たちは夫婦だろ」
なぜそんなに良くしてくれるのか、と問う千夏に、涼太はただ一言、「だって俺たちは夫婦だろ」と答えます 。それは、彼の揺るぎない愛情の証明でした。しかし、その深い愛情が、かえって千夏を追い詰めることになります。自分がこのままでいる限り、愛する夫を永遠に苦しめに巻き込んでしまうのだと 。
「死」は「救い」にしか思えなかった
涼太の母が熱を出し、両親が様子を見に来るという予定はなくなりました 。涼太は決して「病院へいこう」とは口にしません。それは、千夏が閉鎖病棟への再入院を心から拒絶しているのを知っているからでした 。
9階からの眺め
涼太が電話のために席を外した、その一瞬の隙。千夏は、静かにベランダへと向かいます。「閉鎖病棟にだけは戻りたくない」「次入れられたらきっと一生出られなくなる」 。彼女の頭に浮かんだのは、この苦しみから逃れるための、たった一つの選択肢でした。このマンションの9階から、飛び降りること 。
「救い」としての死
ソファから落ちたフリをして、涼太の注意を逸らす千夏 。そして、彼が電話を続けている間に、ベランダの柵を乗り越えます 。この時の彼女にとって、死はもはや恐怖の対象ではありませんでした 。それは、終わらない苦しみから自分を解放してくれる、唯一の「救い」にしか思えなかったのです 。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】12話を読んだ感想(ネタバレあり)
「私と夫の5日間」、その言葉通り、今回はまさしく地獄のような展開でした。床に頭を打ち付け、自分を責め続ける千夏の姿は、直視するのが辛いほど痛々しいです。
そんな極限状況の中、涼太の愛情の深さには、改めて心を揺さぶられました。「千夏が笑えるようになるまでは大丈夫じゃない」というセリフは、彼の本心からの叫びであり、涙なしには読めません。彼の存在がなければ、千夏はとっくに壊れていたでしょう。
今回最も衝撃的だったのは、千夏にとって「死」が「救い」へと姿を変えてしまった点です。閉鎖病棟へのトラウマ的な恐怖と、もう治らないかもしれないという絶望が、彼女から生きる希望さえも奪ってしまった。彼女をそこまで追い詰めたのは、病気そのものなのか、それとも周囲の環境だったのか。非常に重い問いを投げかけられた気がします。
ラスト、ベランダから身を乗り出す千夏。息を呑むとはこのことです。この地獄に終わりは来るのか、そして涼太は間に合うのか。次回の展開が全く予想できません。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】12話のネタバレまとめ
- 薬も効かなくなり、千夏は「自分は母親失格だ」という激しい自己否定と罪悪感に苛まれていました 。
- 涼太も心身ともに限界を迎えながら、それでも「千夏が笑えるまで大丈夫じゃない」と妻を支え続けました 。
- 千夏は幻聴や幻覚に悩まされ、「バチを消してやる」など、別人のような言動を見せるようになりました 。
- 閉鎖病棟への再入院を極度に恐れた千夏は、それを逃れるための唯一の手段として、マンションの9階から飛び降りることを決意しました 。
- 彼女にとって、死は恐怖ではなく、苦しみから解放される「救い」となっていました 。
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