【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】13話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 薬も効かなくなり、千夏は「自分は母親失格だ」という激しい自己否定と罪悪感に苛まれていました 。
- 涼太も心身ともに限界を迎えながら、それでも「千夏が笑えるまで大丈夫じゃない」と妻を支え続けました 。
- 千夏は幻聴や幻覚に悩まされ、「バチを消してやる」など、別人のような言動を見せるようになりました 。
- 閉鎖病棟への再入院を極度に恐れた千夏は、苦しみから解放される「救い」として、マンションから飛び降りることを決意しました 。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第13話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、愛する家族をこれ以上苦しめないために、そして終わらない地獄から逃れるために、「死」という名の「救い」を選んだ主人公・千夏 。第13話では、彼女が人生の最期に臨む、悲しくも緻密な計画の実行と、その心に去来する数々の想いが、痛々しいほど静かに描かれます。
この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第13話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。
最期のための周到な「嘘」
物語は、涼太が母の見舞いに出かける直前の場面から始まります 。それは、千夏が計画を実行するために、自ら作り出した最後の時間でした。
夫を送り出すための演技
「本当に大丈夫なんだよ 私今日はだいぶ調子良いんだから」 。
千夏は、心配する涼太を安心させるため、必死に笑顔を作ります 。そして、「私はここにいたい このアパートが一番安心する場所だから」と伝え、彼を一人で送り出そうとするのです 。これは全て、自らの命を絶つための時間を作るための、悲しい演技でした 。
これが最期だから
「1分でも早く帰ってくる」と言う涼太を、「待ってるよ」と笑顔で見送る千夏 。しかし、彼女の心の中では「これで最期なんだ」「会えるのも この声を聴けるのも」という、別れの言葉が渦巻いていました 。
そして、彼女は最後に「…キスしてほしいな」と夫にねだります 。それは、愛する人との最期を惜しむ、あまりにも切ない愛情表現でした。
死へのカウントダウン
涼太が出て行くと、千夏はすぐに行動を開始します 。残された時間は、彼女の両親が到着するまでのわずか2時間です 。
遺書の準備
彼女は、婚約指輪と涼太の私物をいくつか手元に置くと、震える手で遺書を書き始めます 。
「涼ちゃんへ 約束を守れなくてごめんね」
「迷惑ばかりかけたうえにウソついて裏切って本当にごめんなさい」
「翼のことどうぞよろしくお願いします」
短い言葉の中に、後悔と感謝、そして息子への想いが綴られていました。
決行場所への道のり
涼太がよく着ていたパーカーを羽織ると、かすかに彼の匂いがしました 。それに少しだけ安らぎを感じながら、彼女はアパートを後にします 。
決行場所は、歩いて30分の、この街で一番高いマンション 。彼女の心境は「妙に落ち着いていて 夢の中をふわふわ漂っているかのようだった」と描写されており、すでに現実感が希薄になっていたことがうかがえます 。
走馬灯と、最後の葛藤
死へ向かう道のりは、彼女に過去を振り返らせ、一瞬の躊躇いを生ませます。
自分が生まれた場所で
歩みを進める途中、千夏は自分が31年前に生まれた産婦人科の前を通りかかります 。その場所は、彼女に強烈な自己否定の念を抱かせました 。主治医の言葉が蘇り、「私は精神的に未熟で」「自分かわいさだけで生きている」「大切な何かが欠陥していたんだ」と、自分を責め続けます 。
「生きよう」―一瞬の光
しかし、その直後、彼女の心に別の声が響きます。「…やめようよ 死ぬのなんて」 。生後わずか2ヶ月の息子・翼を、産みの親が自ら命を絶った子にしてしまうことのむごさに気づいたのです 。
「つらくても生きて 翼のそばで母親になろう」 。
彼女の心に、一瞬、生きる希望の光が差し込みました。
「救い」を求めて
生きようと決意したのも束の間、彼女の心は再び死の甘い誘惑に引きずり込まれます。
再び死へ引き戻す声
「この高さなら間違いない…」 。
「一瞬で解放される!」 。
怖いものにおびえることも、支離滅裂な言動を繰り返す体とも、もうお別れできる 。死の魅力は、あまりにも抗いがたいものでした。
生まれ育った街を見下ろして
マンションの屋上にたどり着いた千夏 。眼下には、西日でオレンジ色に染まる、生まれ育った街並みが広がっていました 。通った幼稚園、小学校、友達と遊んだ公園、そして涼太と初めて待ち合わせした本屋 。思い出の場所が、次々と浮かび上がっては消えていきます。
「ごめんなさい」「さようなら」
最後に彼女は、心の中で息子の翼に語りかけます。「こんな人間があなたの母親になってごめんなさい」 。「ちゃんと愛したかった 翼と親子になりたかったよ」 。
そして、彼女は最後の言葉を告げます。 「さようなら 翼」 。
「どうか幸せでいてください」 。
彼女は、自らの死こそが、愛する人たちを苦しみから解放する唯一の方法だと、固く信じていたのです 。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】13話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、死を決意した人間の心理が、あまりにも静かに、そして淡々と描かれていたことが、かえってその恐ろしさと底知れない悲しさを際立たせていました。特に、自殺に向かう道のりが「夢の中をふわふわ漂っているようだった」という描写は、現実感が失われていく過程を非常にリアルに表現しており、胸が締め付けられます 。
涼太を愛しているからこそ、彼を騙して一人になる時間を作る千夏の姿、そして最後のキスをねだるシーンは、涙なしには見られませんでした 。彼女なりに、最後の最後まで夫を深く愛していたことが痛いほど伝わってきて、本当に切ないです。
物語の途中で、一度は「生きよう」と決意するシーンがあることが、この物語の救いであり、同時に残酷さでもあると感じました 。生きる希望の光が見えた瞬間に、病がそれを許さない。このどうしようもない葛藤こそが、この病気の本当の恐ろしさなのだと痛感させられます。
ラストシーン、生まれ育った美しい街並みを見下ろしながら、家族への謝罪と別れを告げる千夏 。彼女が最後に願ったのは、自分の死によって、愛する人たちが幸せになることでした 。あまりにも歪んでしまった、しかしその根底には確かに「愛」がある。その事実が、この物語に深い余韻と悲しみを残しています。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】13話のネタバレまとめ
- 千夏は、自殺を決行するため、「調子が良い」と嘘をついて夫の涼太を一人で外出させました 。
- 涼太を送り出した後、千夏は遺書を書き、決行場所である街で一番高いマンションへと向かいました 。
- 道中、自分が生まれた産婦人科の前を通り、一度は「生きよう」と思いとどまりますが、再び死への誘惑に負けてしまいます 。
- マンションの屋上から生まれ育った街を見下ろし、家族への謝罪と別れの言葉を告げ、身を投げようとしました 。
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