【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】15話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 身を投げようとした瞬間、涼太からの電話で一命を取り留めた千夏 。
- 涼太は電話越しに「眠らせて治療する方法がある」「必ず治る」と必死に説得し、彼女を屋上から降ろすことに成功しました 。
- しかし、受け入れ先が見つからず、結局再びS総合病院の救命救急センターに運ばれました 。
- 千夏は「飛び降り未遂」として、再び閉鎖病棟へ収容され、身体的拘束を受けてしまいました 。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第15話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、夫・涼太の必死の説得によって命を繋ぎ止めたものの、再び悪夢の閉鎖病棟へと収容され、身体拘束を受けてしまった主人公・千夏 。第15話では、その拘束下での絶望的な一夜と、彼女の心をさらに蝕む新たな「恐怖」の正体が、痛々しいほど鮮明に描かれます。
この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第15話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。
身体拘束という名の生き地獄
再入院した千夏を待っていたのは、治療ではなく、さらなる絶望でした。
家族の涙と失われる尊厳
空き病室がないため、千夏が通されたのは、以前「おーいおじさん」がいた個室でした 。そして、医師の判断で身体をしばらく抑制させてもらうと告げられます 。娘がベッドに縛り付けられる姿を目の当たりにした母は、「千夏ごめん」「ごめんね……!!」と泣き崩れるしかありません 。
看護師は淡々と拘束具を取り付け、「動けない間は紙おむつに膀胱留置カテーテルを装着するからトイレの心配はいらないよ」と告げます 。下着を外され、カテーテルを挿入される屈辱 。彼女の尊厳は、いとも簡単に踏みにじられていきました。
「どうしたら普通に戻れる―――!?」
「なんで私 縛られてる!?」 。
意識がはっきりした千夏は、自分の置かれた状況に愕然とします 。本当なら今頃、親孝行をしたり、愛おしい日々を送っているはずだった 。なぜ自分はこんな目に遭っているのか。「どうしたら普通に戻れる―――!?」という魂の叫びが、虚しく病室に響き渡ります 。
終わらない夜と、新たな恐怖の正体
家族が帰り、一人残された千夏。消灯時間を迎えた病室で、彼女は自身の体に起きたある変化に気づきます。
10ヶ月ぶりの生理と心の平穏
それは、妊娠して以来、実に10ヶ月ぶりとなる生理でした 。
「人間 こんなに壊れてても ちゃんと生理はくるんだ…」 。
皮肉にも、その体の正常な働きが、彼女に一晩の不思議な平穏をもたらします。縛られて動けない特異な状況の中、彼女は頭に浮かぶ童謡などを口ずさみながら、不思議と心静かな夜を過ごしたのでした 。
拘束下での日常
翌朝になっても、主治医の宇田川医師が出張で不在のため、拘束は解かれません 。食事の時は両手の抑制だけが外され、入浴はカテーテルを入れたまま袋を持って入るという説明を受けます 。ナースコールも押せない状況で、用事がある時は大声で呼ばなければ、誰にも気づいてもらえません 。
「見ちゃダメだ!」―集合体恐怖症の悪夢
時間の感覚さえ曖昧になる中、千夏の耳に、隣の個室から老婆の叫び声が聞こえてきます。
幻聴との同調
「殺して…殺して…」「先生もう勘弁してよ 助けて 許して」 。
その声は、かつて自分が発していた叫びと重なります。「ラクになりたい お願い死なせて」 。ダメだ、聞いていたら引っ張られてしまう 。そう思った千夏が、ふと自分の体を縛る拘束具に目をやった瞬間、彼女は絶叫しました。
拘束具の「穴」がもたらすパニック
「見ちゃダメだ!」 。
彼女の視線の先にあったのは、拘束具に開けられた、無数の「穴」でした 。人によっては何でもないその形状が、彼女にとっては耐え難い恐怖の対象だったのです。
「いやああ こっち見ないで 誰か助けて――っ!!」 。
パニックを起こす千夏に対し、駆けつけた看護師たちは「落ち着いてよ」「これのどこが怖いの!?」と全く理解を示しません 。彼女にとって、それは「ただの『物』じゃない」 、わずかに残っていた正気さえも奪うには十分すぎるほどの恐怖だったのでした 。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】15話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、身体拘束という非人道的な処置の実態と、そこから生まれる新たな恐怖が描かれ、読んでいて本当に息が詰まるようでした。特に、家族の前で尊厳を奪われ、カテーテルを入れられるシーンは、千夏の心の痛みがダイレクトに伝わってきて、非常に辛かったです。
そんな絶望の中で、10ヶ月ぶりの生理が彼女に一時の平穏をもたらすという描写が、とても印象的でした。どんなに心が壊れてしまっても、体は生きようとするサインを送り続ける。その生命の営みが、皮肉にも彼女を少しだけ正気に戻したのかもしれないと思うと、人間の心と体の不思議さを感じずにはいられません。
そして、ラストの拘束具の「穴」に対するパニック。これは、おそらく集合体恐怖症(トライポフォビア)の描写だと思われます。病によって精神が極限まで追い詰められると、健常時には何とも思わなかったものが、突如として牙をむき、人を狂わせる凶器に変わる。その恐ろしさを、まざまざと見せつけられました。
周囲に全く理解されない恐怖ほど、孤独なものはありません。「これのどこが怖いの?」という看護師の言葉は、千夏をさらに深い孤立へと突き落とします。この地獄のような状況で、彼女はどうなってしまうのでしょうか。一刻も早い救済を願わずにはいられない、あまりにも重い回でした。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】15話のネタバレまとめ
- 再入院した千夏は、家族の目の前で身体拘束を受け、カテーテルを挿入されるなど、その尊厳を奪われました 。
- 10ヶ月ぶりに始まった生理が、皮肉にも彼女に一晩の精神的な平穏をもたらしました 。
- 拘束下での生活は過酷を極め、ナースコールも押せず、時間感覚さえ失っていきました 。
- 隣室の患者の「殺して」という叫びに同調しそうになる中、千夏は拘束具に開いた無数の「穴」に気づき、パニックに陥ってしまいました 。
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