【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】22話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- お食い初めのための外泊を無事に終え、千夏は回復への手応えを感じていました。
- しかし、情報量の多い外の世界に強い刺激を感じ、逆に閉鎖病棟の存在に「安心している」自分に気づき、衝撃を受けました。
- 千夏は、完全に回復するまで退院せず、代わりに毎週末の外泊で息子と会うという新たな目標を立てました。
- 回復への道を歩み始めた矢先、今度は薬の副作用による「頭部の強い違和感」という新たな苦しみに見舞われることになりました。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第22話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、回復への新たな目標を立てた矢先に、薬の副作用という試練に見舞われた主人公・千夏。第22話では、待ちに待った息子のお宮参りの日に訪れる、つかの間の平穏と、その直後に彼女を襲う壮絶な悪夢が描かれます。希望の光が見えたと思った矢先に突き落とされる、絶望のループ。その引き金となったのは、最も身近な人物からの、善意という名の刃でした。
この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第22話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。
お宮参りの日―希望に満ちた朝
10月20日、大安吉日。その日は、息子・翼のお宮参りの日でした。
つらい副作用の克服
薬の量を最大まで増やしたことで生じていた、頭が痺れるようなつらい副作用は、数日で消失していました 。千夏は無事にこの特別な日を迎えることができたのです 。写真館では、両家の祖父母も集まり、和やかな雰囲気で撮影が進みます 。千夏自身も体調は良く、「ちゃんと寝れたし そわそわ感も少ないよ」と笑顔を見せることができました 。
翼を抱くことにも、以前のような強い拒絶反応はありません 。彼女の心には、「私大丈夫な気がする」という、確かな自信が芽生え始めていました 。
家族の温もりと、母としての自覚
写真撮影と神社へのお参りを無事に終え、千夏は両親と共に実家へ。夫の涼太と翼は義実家へと、それぞれ帰路につきました 。
実家での祝宴の中、父は「千夏に抱っこされてる時はグズっててもなんか違うもの」と、千夏と翼の間に確かな絆が生まれていることを喜びます 。翼を抱っこしても嫌なざわつきがなかったこと、「かわいいかも」と思えた瞬間があったこと 。その確かな手応えに、千夏は安堵していました。「私がまともになれば すべてが円滑にまわる 大切な人たちに笑顔がもどる」 。回復への思いを、彼女は新たにするのでした。
悪夢の再来―コントロールできない「不穏」
しかし、その夜、悪夢は再び静かに忍び寄ります。
「対処法」の実践と、初めての成功
就寝中、千夏の足に、あの嫌なムズムズ感が走り始めます。しかし、今の彼女には武器がありました。以前、看護師の高坂と考えた「『不穏』を感じた時の対処法」です 。
彼女はメモを取り出し、手順を確認します。
- 薬を飲む
- しばらく歩き続ける
- 前向きな言葉を口にする
「大丈夫克服できる」「治る絶対に治る」。その甲斐あってか、彼女は「初めて『不穏』をコントロールできた」という確かな手応えを感じ、安堵のうちに眠りについたのです 。
父親の無理解という名の暴力
翌朝、悪夢は突然訪れました。母が朝食の準備で階下に降りていった後、千夏は再び発作に襲われ、床を転げまわっていました。その姿を目撃した父は、パニックに陥ります。
「お父さん!!ちがうの いま対処法をためしてるの」。千夏の必死の訴えも、父には届きません。彼は、善意から、しかし病気への無理解から、娘を深く傷つける言葉を投げつけてしまいます。
「昔から『母は強し』というだろう」「『病は気から』というだろう」。 そして、ついにこう怒鳴りつけてしまうのです。 「翼がかわいそうだと思わんのか!!おまえみたいな母親 世の中にはおらんぞ!!!!」 。
再び閉鎖病棟へ
父の言葉に悪意がないことは、千夏にも痛いほどわかっていました 。ただ、娘の理解不能な言動に「ひどくおびえていた」だけなのです 。
しかし、その言葉は、回復しかけていた千夏の心を再び粉々に打ち砕きました。結局、千夏は父に連れられて、S総合病院へと戻ることになります 。
「ごめんね お父さんお母さん」。そう謝りながらも、彼女の心は叫んでいました。 「だけど私もわからないの」「どうしたら」「どうすれば」「このループから抜け出せるのかが」「本当にわからない…!!!!」 。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】22話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、希望と絶望のコントラストがあまりにも鮮やかで、読んでいて感情がジェットコースターのように揺さぶられました。お宮参りでの千夏の穏やかな笑顔、そして「大丈夫な気がする」という言葉に、読者として心から「良かった」と思った矢先の、あまりにも残酷な展開でした。
父親の言動は、決して悪意からではないことがわかるだけに、非常につらく、やるせない気持ちになります。病気への無理解が、いかに当事者を傷つけ、孤立させてしまうか。善意から発せられた「常識」や「普通」という言葉が、時としてナイフのように人の心を突き刺すという現実を、まざまざと見せつけられました。
一度は「不穏」をコントロールできたという成功体験が、いとも簡単に打ち砕かれてしまう。この病気のしつこさ、一筋縄ではいかない恐ろしさを改めて痛感します。
「どうすればこのループから抜け出せるのか」。これは千夏の心の叫びであると同時に、この物語が私たち読者に投げかける、重く、そして重要な問いです。家族の愛だけでは乗り越えられない壁の存在。専門的な治療と、そして何よりも周囲の人々の正しい理解が不可欠なのだと、強く感じさせられる回でした。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】22話のネタバレまとめ
- 薬の副作用を乗り越え、千夏は息子・翼のお宮参りを家族全員で無事に祝うことができました 。
- 外泊中、千夏は翼を「かわいい」と感じる瞬間もあり、回復への自信を深めていました 。
- その夜、千夏は発作の兆候を自ら考案した「対処法」で乗り切り、「不穏をコントロールできた」という初めての成功体験を得ました 。
- しかし翌朝、再び発作を起こした千夏に対し、事情を理解できない父が「おまえみたいな母親は世の中におらんぞ」と厳しく叱責してしまいました 。
- 父の言葉に深く傷つき、症状が悪化した千夏は、再び病院へと戻ることになってしまいました 。
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