【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】23話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- お宮参りのための外泊を無事に終え、千夏は回復への自信を深めていました。
- その夜、千夏は発作の兆候を自ら考案した「対処法」で乗り切り、「不穏をコントロールできた」という初めての成功体験を得ました。
- しかし翌朝、再び発作を起こした千夏に対し、事情を理解できない父が「おまえみたいな母親は世の中におらんぞ」と厳しく叱責してしまいました。
- 父の言葉に深く傷つき、症状が悪化した千夏は、再び病院へと戻ることになってしまいました。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第23話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、父親からの善意という名の刃によって、回復しかけていた心が再び深く傷ついてしまった主人公・千夏。第23話では、娘の常軌を逸した姿を目の当たりにした父親の苦悩と、そんな家族に優しく寄り添う一人の看護師の姿、そして千夏自身を蝕む新たな妄想が描かれます。
この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第23話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。
家族の苦悩と、看護師の「言葉」
病院の応接室で、千夏の父は医師にすがりついていました。
父の絶望「どこで間違ったのか」
「ねえ先生 これは甘えですか?心の弱さが原因ですか?」。 大人の娘が幼児のように泣き喚く姿を前に、「どこで間違ったのか」と、これまでの子育て全てを否定されたかのような絶望に打ちひしがれる父。その姿は、病に苦しむ本人だけでなく、支える家族がいかに追い詰められていくかを物語っていました。
看護師・高坂の介入
そこへ、あの男性看護師・高坂が現れます。彼は、興奮する千夏の父を「少し外でお話いいですか?」と、冷静に、しかし優しく応接室の外へ連れ出します。
そして、精神疾患の患者を支える家族が「どう支えていいかわからない」が故に憤りを募らせてしまう心理を丁寧に説明。その上で、「言葉ひとつが取り返しのつかない事態への決定打になってしまうことがあるんです」「どうか本人の耳にだけは届かないようにしてください」と、決して本人を責めないよう、静かに、しかし力強く諭すのでした。
「私が『私』である限り、ダメなんだ」
一方、夫の涼太が駆けつけた病室では、注射を打たれた千夏が少し落ち着きを取り戻していました。しかし、彼の優しさは、今の千夏にはかえって辛いだけでした。
「どんな状況下でもなんとか希望を見いだし励ましてくれる夫の思いやりを 私はもう何度無下にしてきたんだろう」。 一度は掴みかけた「普通に戻れるかも」という希望を失った千夏は、「私が『私』である限り、ダメなんだ」と、自分自身の存在そのものを否定する考えに囚われてしまいます。
看護師という名の「光」
落ち着いた後、千夏は高坂の元へ向かい、父と話してくれたことへの感謝を伝えます。
「私も昔、患者だったから」
高坂は「それは看護師だし」と謙遜しますが、患者側の胸の内を深く理解してくれる彼の存在は、千夏にとって大きな救いでした。なぜそこまで親身になってくれるのか。その問いに、高坂は衝撃の事実を告白します。
「それは私も昔 患者だったから…」。 彼自身もかつてうつ病を発症し、「心の弱い人がなるもんだとさえ思ってた」という偏見を持っていた過去があったのです。その言葉は、千夏の心を強く揺さぶりました。
過去の「罪」が罰となる妄想
しかし、その夜、千夏は再び発作に襲われます。一度は成功したはずの対処法も、もはや効果はありませんでした。
「罰」の正体
原因は何なのか。病名すらついていない自分。彼女の思考は、次第にオカルト的な方向へと向かっていきます。「『祟り』や『因果応報』によるものではないかと…」。
「ゆるしてください」
小学校の時に死なせてしまったハムスター、頼ってくれた友人を裏切ってしまったこと。過去に犯した大小様々な「罪」が、罰となって今の自分に降りかかっているのではないか。10月26日、3度目の外泊の日、千夏は再び発作を起こし、「ゆるしてください どうか…ゆるして」と、見えない何かに謝罪し、泣き叫ぶのでした。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】23話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、看護師・高坂の存在が、この物語におけるどれほど大きな光であるかを改めて感じさせられた回でした。精神疾患に苦しむ本人だけでなく、それを支える家族の苦悩にも深く寄り添い、適切な言葉で導く彼の姿は、理想の医療従事者そのものです。彼のような存在が、現実の医療現場にももっと増えてほしいと切に願います。
そして、高坂が自らもうつ病経験者であったという告白には、深く心を動かされました。経験者だからこそわかる痛み、そして偏見。彼の言葉には、机上の知識だけではない、本物の重みと優しさがありました。
一方で、千夏の思考が「罰が当たった」という方向に向かってしまう描写は、非常にリアルで恐ろしかったです。科学的に説明できない、出口のない苦しみに直面した時、人は超常的なものに原因を求めてしまう。それは、病気が彼女から論理的な思考力さえも奪っていることの、何よりの証拠なのでしょう。
家族の愛、医療者の支え、そして薬。様々な助けがありながらも、過去の罪悪感という名の妄想に囚われてしまう千夏。この複雑に絡み合った心の糸を、どうすれば解きほぐすことができるのか。物語の奥深さを改めて感じさせられました。
【妊娠したら死-たくなった~産褥期精神病~】23話のネタバレまとめ
- 娘の姿に絶望した父に対し、看護師の高坂が病気への理解を求め、家族の苦悩に寄り添いました。
- 高坂自身も、かつてうつ病を患っていた経験があることを千夏に告白しました。
- 一度は希望を見出した千夏でしたが、「私が私である限りダメだ」と再び深い自己否定に陥ってしまいました。
- 病の原因がわからない千夏は、次第に「過去に犯した罪の罰が当たっている」という妄想に囚われるようになってしまいました。
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