【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】24話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 娘の姿に絶望した父に対し、看護師の高坂が病気への理解を求め、家族の苦悩に寄り添いました。
- 高坂自身も、かつてうつ病を患っていた経験があることを千夏に告白しました。
- 一度は希望を見出した千夏でしたが、「私が私である限りダメだ」と再び深い自己否定に陥ってしまいました。
- 病の原因がわからない千夏は、次第に「過去に犯した罪の罰が当たっている」という妄想に囚われるようになってしまいました。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第24話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、自身の苦しみの原因を「過去の罪への罰」だと考え始めた主人公・千夏。第24話では、そんな彼女が抱いていた「母親になりたい」という夢の、純粋で美しい原点が描かれます。そして、その輝かしい思い出と、現在の惨状とのあまりにも残酷な対比が、彼女をさらなる絶望の淵へと突き落としていきます。
この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第24話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。
「母親になりたい」という夢の原点
物語は、千夏がまだ心穏やかだった頃の、美しい回想シーンから始まります。
友人の母性と、芽生えた憧れ
5年前、20代中頃だった千夏は、幼馴染が母親になった姿を目の当たりにします 。腕の中の我が子を見つめる友人の「慈愛に満ちたまなざし」 。そして、「つわりも出産もめちゃくちゃつらかったけどさ もうそんな記憶ふっとぶくらいこの子を腕に抱けて今はうれしいよ」という言葉 。その姿に、千夏は「母親になりたい」という昔からの夢が、自分の中で大きくなっていくのを感じるのでした 。
医師からの許可と、高まる期待
そして30歳を過ぎた頃、彼女は長年服用していた安定剤を飲む必要がなくなり、医師から「妊娠も問題ないわよ」と告げられます 。「妊活バイブル」を手に取り、彼女の期待は最高潮に達します 。
「もし子供を産めたなら いっぱい抱きしめて『あなたが大切だよって何度も伝えたい』」 。
「私が与えてもらってうれしかったこと全部をあげたい」 。
彼女が抱いていたのは、どこまでも純粋で、愛情に満ちた願いでした。
出口のないループ―悪化する症状
しかし、場面は現在の病室へと戻ります。輝かしい思い出は、今の彼女をかえって苦しめるだけでした。
母性への問い「どこにもないの!?」
「どこにあるの?」「どこにもないの!?」「私の母性」。 美しい過去の夢と、現在の惨状とのギャップに、彼女は泣き叫びます 。
減薬、そして繰り返される発作
主治医は、千夏が服用している抗うつ剤が、逆に気分を昂らせすぎている可能性を考え、薬の量を減らすことを決定します 。しかし、その後も週末ごとの外泊は惨憺たる結果に終わりました 。ある時は、義実家を訪れてからわずか15分で錯乱状態に陥ってしまいます 。
「私の体は私のものでしょう…!?」
5度目の外泊では、高速道路を走る車の中でパニックを起こし、シートベルトを外して暴れ出してしまいました 。もはや自分の体を自分の意思でコントロールすることさえできなくなっていたのです 。
絶望の果てに見る幻覚
繰り返される失敗は、千夏の心を完全に蝕んでいきました。
血の砂時計
彼女の心象風景として、真っ赤な砂が落ち続ける砂時計のイメージが描かれます 。それはまるで、命そのものがサラサラとこぼれ落ちていくかのような、不吉な光景でした。
離婚という決意
「出口のないループ」 。このままでは、自分は一生この閉鎖病棟で暮らしていくことになる 。そう悟った千夏は、ある決意を固めます。
「涼ちゃんと…しっかり話をして離婚してもらおう…」。 そして、「写真とかから全部捨ててもらって私の存在自体なかったことに」してもらおうと 。息子・翼とは二度と会わず、赤の他人になること 。それが、今の自分にできる唯一のことだと考えたのです 。
「何が原因なの?」―最も恐ろしい問い
出口のない暗闇の中で、千夏はある一つの「答え」を切望していました。
答えのない闇
「何が原因なの?」 、「どうしたら治るの?」 。
数えきれないほど問い続けたその疑問に、誰も答えをくれません 。彼女にとって一番の恐怖は、自分と同じような状態になって、そして治ったという「前例」がいないことでした 。「『わからない』というのは八方ふさがりの暗闇」だったのです 。
「病名がほしい」
だからこそ、彼女は心の底から願っていました。
「病名がほしい」
不道徳な考えだとわかっていながらも、「私のこれは『病気』であってほしい」と、切望せずにはいられなかったのです 。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】24話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、千夏が抱いていた「母親になりたい」という夢が、どれほど純粋で美しいものだったかが描かれただけに、その後の展開があまりにも残酷で、読んでいて胸が張り裂けそうでした。
特に、出口のないループの中で、彼女が「離婚」という結論に至るシーンは、非常に痛ましかったです。それは、愛する夫と息子をこれ以上苦しませたくないという、歪んでしまった究極の愛情表現なのかもしれません。自分の存在そのものを消すことでしか、二人を守れない。そう思い詰めてしまうほどの絶望が、ひしひしと伝わってきました。
そして、最後の「病名がほしい」という叫び。これは、この物語の核心に触れる、非常に重要な言葉だと感じます。原因不明の苦しみは、人を孤独にし、自分自身を責めさせます。「病気」という名前がつくことは、その苦しみが自分のせいではないと肯定してもらうことであり、社会との繋がりを取り戻すための第一歩なのです。彼女の切実な願いに、ただただ涙がこぼれました。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】24話のネタバレまとめ
- 回想シーンで、千夏が友人との交流や医師からの許可を経て、「母親になりたい」という純粋な夢を育んでいった過程が描かれました 。
- しかし、現実は惨憺たるもので、薬を減らしては外泊を試みるも、発作を繰り返し、失敗に終わっていました 。
- 出口のない状況に絶望した千夏は、夫と離婚し、息子の前から自分の存在を消すことを決意します 。
- 彼女を最も苦しめていたのは、原因がわからないという恐怖であり、「病名がほしい」「これは『病気』であってほしい」と心の底から願っていました 。
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