【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】27話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 千夏の症状が安定してきたため、「医療保護入院」から、いつでも退院できる「任意入院」へと切り替えられました。
  • 初めての単独外出に挑戦した千夏は、恐怖と向き合う中で、かつての好奇心旺盛だった自分を思い出し、前に進む勇気を取り戻しました。
  • 外出先の書店で、千夏は自らの症状が「産褥期精神病」という病気によるものであることを知り、ついに自分の苦しみに名前を見つけました。

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第27話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、ついに自らの病名が「産褥期精神病」であると突き止めた主人公・千夏。第27話では、その発見を手に、主治医である宇田川医師との対決に臨みます。そして、物語は新たな専門医の登場によって、治療の方向性を大きく変える、重要な転換点を迎えることになります。

この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第27話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。

主治医との対峙、そして新たな出会い

ようやく見つけた希望の光。しかし、その光は、主治医である宇田川医師によって、一度はかき消されそうになります。

「産褥期精神病」という仮説

千夏は、宇田川医師との面談で、自らの仮説をぶつけます。「私、女性ホルモンが大きな原因だと思っているんです」。生理周期と気分の波が完全に連動していること、そして書店で見つけた「産褥期精神病」という病気の症状が、自分の体験とあまりにも酷似していることを、必死に訴えるのです。

医師の「知識」と、千夏の「絶望」

しかし、宇田川医師は「確かこの病気は産後に発症するものであなたは産前から症状が出てたから」と、教科書通りの知識で彼女の訴えを退けようとします。「自分の子供が怖いだなんて信じられない」とまで言い、千夏を精神的に幼いと断じるのでした。自分と同じように苦しんでいる人がいることを知り、ようやく見つけた希望の光を消されそうになった千夏は、「私だけじゃないんだって…」と絶望の表情を浮かべます。

夫・涼太のファインプレーと、専門医の登場

議論が平行線を辿り、千夏が再び暗闇に突き落とされそうになった、その時でした。

夫が連れてきた「助っ人」

涼太が「宇田川先生…!」と病室に入ってきます。彼の隣には、見知らぬ聡明な女性医師がいました。実は涼太は、以前宇田川医師から「周産期の精神疾患について一度学会に参加したことがある」という女性医師(新垣先生)がいることを聞き出し、彼女に助けを求めていたのです。

「母親」を神格化しすぎる世間の風潮

宇田川医師は、千夏の症状を「精神的な幼さ」だと断じていました。しかし、専門医である新垣先生は、その見解をきっぱりと否定します。

「『母親』を神格化しすぎる世間の風潮を 私はいささか危惧しています」

治療方針の転換と、家族の再生

専門医の登場は、治療に大きな変化をもたらしました。

漢方薬という新たな選択肢

新垣医師は、千夏の仮説に真摯に耳を傾け、「ホルモンバランスを整えるおだやかな作用の漢方薬」を、現在の抗うつ剤と併用することを提案します。宇田川医師も、その専門的な見解を受け入れざるを得ませんでした。

家族との再会、そして成長する息子

5度目の外泊。そこには、すっかり大きくなった息子・翼の姿がありました。乳歯が生え、寝返りを打ち、時々笑うようになったという息子の成長を目の当たりにし、千夏は自分の状態が落ち着いていることに、胸をなでおろしていました。

公園での出会いと、母としての葛藤

翼を連れて公園を散歩していると、同じくらいの月齢の赤ちゃんを連れた母親と出会います。「離乳食はもう始めてますか?」といった、ごく自然な育児トーク。しかし、その「普通」が、千夏の心をざわつかせます。

「ないものねだり」と、人見知りの始まり

「ダメな母親なんかじゃないです」。相手の母親からの優しい言葉も、今の千夏には「全部ひっくるめて私のこの気持ちはないものねだりだ」と、自己嫌悪の種になってしまいます。

そして、その外泊で、翼はついに「人見知り」を始めてしまいました。父や祖父母には懐くのに、自分だけに怯え、火が付いたように泣かれてしまうのです。

初めて見せた翼の笑顔

しかし、物語はここで終わりません。実家に戻り、翼をあやしていると、彼は初めて千夏に向けて笑いかけたのです。「春の陽光のような笑顔だった」。その笑顔は、これまでの全ての苦しみが報われるかのような、まばゆい光を放っていました。

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】27話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、まさにジェットコースターのような感情の起伏に満ちた回でした。宇田川医師との対立で一度は絶望しかけましたが、涼太の機転と新垣医師の登場で、一気に希望の光が差し込んできた展開には、思わずガッツポーズをしたくなります。

新垣医師の「『母親』を神格化しすぎる世間の風潮を危惧しています」というセリフは、この物語の核心を突く、非常に重要な言葉だと感じました。「母親ならこうあるべき」という社会の無言の圧力が、どれだけ多くの女性を苦しめているか。彼女の登場は、千夏だけでなく、多くの読者の心をも救ってくれたのではないでしょうか。

そして、圧巻だったのはラストシーンです。人見知りで泣かれてしまい、再び絶望の淵に立った千夏に、翼が初めて笑顔を見せる。この劇的な展開には鳥肌が立ちました。「春の陽光のような笑顔」という表現が、あまりにも美しく、感動的です。どんなに辛くても、諦めずに我が子と向き合い続けた千夏への、最高のご褒美だったように思います。

【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】27話のネタバレまとめ

  • 千夏は、自らの病が「産褥期精神病」である可能性を主治医に訴えましたが、まともに取り合ってもらえませんでした。
  • そこへ夫の涼太が、周産期精神疾患の専門医である新垣先生を連れて現れました。
  • 新垣医師は、千夏の症状を「精神的な幼さ」と断じる宇田川医師の意見を退け、漢方薬によるホルモン治療を提案しました。
  • その後の外泊で、息子・翼から人見知りで泣かれてしまいましたが、最後に初めて自分に向けて笑いかけてもらい、千夏は深い感動を覚えました。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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