【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】28話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 千夏は、自らの病が「産褥期精神病」である可能性を主治医に訴えましたが、まともに取り合ってもらえませんでした。
- そこへ夫の涼太が、周産期精神疾患の専門医である新垣先生を連れて現れました。
- 新垣医師は、千夏の症状を「精神的な幼さ」と断じる宇田川医師の意見を退け、漢方薬によるホルモン治療を提案しました。
- その後の外泊で、息子・翼から人見知りをして泣かれてしまいましたが、最後に初めて自分に向けて笑いかけてもらい、千夏は深い感動を覚えました。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第28話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、息子・翼の初めての笑顔という、まばゆい光に照らされた主人公・千夏。第28話では、退院後の穏やかな日常と、その裏に潜む病の残滓、そしてそれと向き合い、乗り越えようとする彼女の力強い姿が描かれます。これは、絶望の先にある、本当の意味での「家族」の物語です。
この記事では、「妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】第28話のあらすじを、ネタバレありで徹底的に解説していきます。
想像以上の「いとおしさ」
物語は、退院後の千夏と涼太、そして翼が過ごす、穏やかな日常の風景から始まります。それは、かつての彼女が夢にまで見た光景でした。
憧れていた日常
お腹をすかせた翼にミルクをあげ、おむつを替え、泣きやまない息子と一緒になって泣いてしまうこともある。手探り状態の慣れない育児は、想像していた以上にめまぐるしいものでした。
しかし、その日々は、「想像以上のいとおしさ」に満ちていました。
甦る悪夢と、新たな決意
穏やかな日常の中でも、病が残した深い傷跡は、時として千夏を苦しめます。
絵を描くことへの恐怖
ある日、千夏は「翼を描いてみようかな!」と思い立ち、久しぶりにペンを握ります。 しかし、手が思うように動かず、描かれるのは歪でグロテスクな、悪夢のような絵ばかり。 それは、以前の発作の引き金が「絵を描くこと」だったという、彼女のトラウマを刺激するには十分でした。
悪夢の中の息子の声
その夜、千夏は恐ろしい悪夢にうなされます。夢の中の翼が、彼女が病気の時に抱いてしまった、おぞましい言葉を突きつけてくるのです。
「ぼくのこと『かわいくない』って」
「『あんな子いらない』っていってたよね」
「『産むんじゃなかった』って言葉 ぼくはずっと聞いてた」
その言葉は、千夏の罪悪感を容赦なくえぐり、彼女を恐怖のどん底に突き落としました。
生理周期という「羅針盤」
しかし、今の千夏は、もう一人で闇に飲み込まれるだけではありませんでした。
高温期という「嵐」の到来
悪夢を見た日、千夏は基礎体温を測り、自分の体が「高温期」に入ったことを確認します。 それは、生理が来るまでの約2週間、精神的に最も不安定になる時期の始まりを意味していました。 あの悪夢は、ホルモンバランスの乱れが引き起こした、いわば嵐の到来を告げるサインだったのです。
「もう責めない」という自己受容
以前の彼女なら、この不安定さに絶望していたかもしれません。しかし、今の彼女は違いました。生理が来れば、この嵐は過ぎ去ることを知っています。 だから、彼女は決意するのです。
「怖くなってもいいよ 不安を感じても受け流そう」。
そして、「思い通りにならない自分を もう責めない」と。
家族3人の夜、そして未来へ
自分自身を受け入れた千夏に、ささやかで、しかし何よりも温かい幸せが訪れます。
離乳食という、ささやかな幸せ
その日は、翼にとって初めての離乳食の日でした。 涼太に促され、千夏がおそるおそる10倍粥をスプーンで差し出すと、翼はそれを口にしたのです。
「ああ産まれてきて良かった」
千夏は、遠くない未来を想像します。「いろいろ大変だったけど まあ今は平和かな」と、家族で笑い合える日を。 そして、息子・翼が、これから知っていくたくさんの世界の中で、ふとした瞬間に「『ああ産まれてきて良かった』って 何度も何度も」感じながら、豊かな人生を歩んでほしいと、心の底から願うのでした。
物語は、初めて親子3人ですごす夜が、「大きな分岐点を迎えることになる」という、希望に満ちた言葉で締めくくられます。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】28話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、回復への道を力強く歩む千夏の姿が描かれた、非常に感動的な回でした。悪夢にうなされるシーンは、病の傷跡の深さを物語っていて胸が痛みましたが、その後の彼女の対応が、以前とは全く違っていたことに、大きな希望を感じました。
自分の心身の波を「生理周期」という羅針盤を使って客観的に把握し、「思い通りにならない自分をもう責めない」と決意する。この自己受容こそが、回復において最も重要で、そして最も難しいステップなのだと思います。それを成し遂げた千夏の姿に、心からの拍手を送りたいです。
そして、初めての離乳食のシーン。何気ない日常の一コマですが、これまでの壮絶な道のりを思えば、これほどまでに尊い光景はありません。息子に「生まれてきて良かった」と何度も感じてほしいと願う千夏の姿は、まさしく「母親」そのものでした。
嵐のような闇の中で迎える、親子3人での初めての夜。それが「大きな分岐点」になるというラストは、これからの彼らの未来が、光に満ちたものであることを確信させてくれる、最高の締めくくりだったと思います。
【妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~】28話のネタバレまとめ
- 退院した千夏は、慣れない育児に奮闘しながらも、想像以上の愛おしさを感じていました。
- 過去のトラウマから絵が描けなくなり、病気の時の自分の言動を息子に責められる悪夢にうなされました。
- 千夏は、悪夢が自分の体が「高温期」に入ったサインだと冷静に受け止め、「思い通りにならない自分をもう責めない」と決意しました。
- 息子の翼に初めて離乳食を食べさせ、彼が「生まれてきて良かった」と思えるような豊かな人生を歩んでほしいと、心の底から願いました。
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