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【マリリンはいなくなった】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【マリリンはいなくなった】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する

真面目な優等生、鞠原今日子の理想

物語は、主人公である鞠原今日子(まりはら きょうこ)が抱く、まっすぐな理想から始まります。 彼女の夢は、生徒に信頼され、慕われるような教師になることでした。 友達や家族、人との関係を何よりも大切にする、そんな人間でありたいと強く願っていたのです。

教師を目指すひたむきな日常

場面は今日子の高校2年生の時代に遡ります。 友人たちとテストの結果で盛り上がったり、放課後の買い食いを真面目に注意したりと、彼女の日常は校則を守る優等生そのものです。 友人から「真面目」「さすが教師志望!」と言われる今日子は、まさに理想に向かってひたむきに努力する少女でした。

学校が、友達が、家族が、そして自分を取り巻く全ての環境が大好きだと感じています。 そんな彼女にとって、日誌を毎日きちんと書くことや、日直・掃除を真面目にやることは当たり前のことでした。

理想の自分と芽生えた淡い恋心

彼女の真面目さは、クラスの人気者である中澤くんの目にも留まります。彼は「鞠原だけだよ 真面目にやってんの 疲れない?」と心配そうに声をかけますが、今日子には強い信念がありました。

「ズルとか嘘とか嫌いで……好きって言える自分でいたいんだ」

まっすぐな瞳でそう語る今日子に、中澤くんは「俺も 好きかも」と心を動かされたような言葉を返します。 そしてある日、中澤くんから「今日さ 一緒に帰らない?」と誘われ、今日子の毎日は幸せの輝きで満ちあふれていました。

しかし、幸せの絶頂を描写するコマに重なる「あの頃に戻りたい」「そしたら きっと 私は しあわせで……」というモノローグは、この輝かしい日々が過去のものであることを物語っています。 この幸せな瞬間が、後の過酷な現実との辛い対比となっていくのです。

7年後の世界へ――突然のタイムスリップ?

幸せな高校生活から一転、物語は衝撃的な展開を迎えます。

目覚めると、そこは見知らぬ場所

今日子が次に目を開けた時、彼女は全く知らない場所に倒れていました。 目の前には、胸をはだけさせた派手な見た目のイケメンが心配そうに覗き込んでいます。 「誰!!!」「どちら様……!!!」と混乱する今日子に、周囲の若者たちも戸惑いを隠せません。

自分の姿も、周りの人間も、いる場所も、何もかもが分かりません。 自分がなぜか「マリリン」と呼ばれていること、そして目の前の若者たちが全員年下に見えることに、今日子の混乱は深まるばかりです。

「鞠原先生」と呼ばれる自分

「せんせ!?」

「鞠原先生」

周囲から「先生」と呼ばれることに、今日子は「私はまだ高校生で……」と必死に抵抗します。 しかし、状況はさらに悪化し、複数の男性に言い寄られ、リアルな壁ドンまでされてしまう始末。 今日子の理想とはかけ離れた、まるで恋愛ゲームのような状況に、彼女は恐怖で叫ぶことしかできません。

その混乱のさなか、落ち着いた雰囲気の男性が現れ、「鞠原先生 しっかりしてください」と声をかけます。 しかし、今日子の意識はそこで途切れてしまうのでした。

失われた7年間と理想とかけ離れた現実

次に今日子が目を覚ましたのは、病院のベッドの上でした。ここで、彼女は信じがたい事実を突きつけられます。

7年間の記憶喪失

医師の診断は、**「ここ7年の記憶がなくなっている」**という衝撃的なものでした。 転倒して頭を打った衝撃で、高校2年生だった17歳の記憶から、現在の24歳までの記憶がすっぽりと抜け落ちてしまったのです。

「嘘でしょ」

さっきまで高校生だったはずなのに、今は24歳。 しかも、自分の髪色や服装は、かつての真面目な自分からは想像もつかないほど派手なものに変わっていました。

夢だった教師になった「私」

連絡を受けて駆け付けた両親の口から、今日子は自分が夢だった教師になり、集英高校で2年5組の担任をしていることを知らされます。 夢が叶ったはずなのに、彼女の心は晴れません。なぜなら、派手な格好をしているだけでなく、両親と3年も会っておらず、まるで絶縁状態のようだったからです。

「私……なれたんだ 教師……なのに」

高校生の自分が大切にしていた、家族との関係。それが壊れてしまっている事実に、今日子は涙を流します。

7年間の謎と埋められない孤独

7年の間に何があったのか。 手がかりは自分のスマートフォンの中にあるはずですが、ロックナンバーが分からず、開くことさえできません。 親とは音信不通。 昔の写真に写っている友人たちの名前すら思い出せない状態です。

唯一鮮明に思い出せるのは、高校時代の淡い恋の相手、中澤くんのことだけでした。 「中澤くん……会いたいよ……」

大切だったはずの思い出がたくさんあったのに、今の自分には何も残っていない。 その喪失感と孤独感に、今日子は打ちのめされます。

新しい現実との対峙と再生への決意

絶望の淵に立たされた今日子ですが、彼女はこのままでは終われません。

学級崩壊クラスと「マリリン」

記憶を取り戻すため、今の生活を辿るしかないと決意した今日子は、教師として学校へ復帰します。 しかし、彼女を待っていたのは、夢見た教師生活とは程遠い、学級崩壊したクラスでした。

生徒たちは今日子を「マリリン」と呼び、全く言うことを聞きません。

「今更教師ぶったって無駄だかんな」

生徒たちから完全になめられ、「ダメ教師」というレッテルを貼られている現実を目の当たりにし、今日子はショックを受けます。

生徒との歪んだ関係

そんな中、生徒の一人である真宮獅虎(まみや れおと)が「たまにはマトモな学生やろーぜ」とクラスを静め、今日子を助けてくれます。 しかし、彼の態度はどこか馴れ馴れしく、今日子に顔を近づけ、「前みたいなことしよ」「そしたら思い出すかもよ?」と囁くのです。

自分がこの7年間で、生徒と不適切な関係を築いてしまっていたのではないか。その恐怖と嫌悪感に、今日子は彼を突き放してしまいます。

変わらない「根っこ」と希望の光

混乱する今日子を助けたのは、学年主任の三住(みすみ)先生でした。 自分がどんな人間だったのか分からず、不安に駆られた今日子は、彼に問いかけます。

「私って……1つでもいい所 ありました…?」

高校生までの自分は、規則正しく生きる自分が好きでした。 しかし、今の自分はそのかけらもありません。

落ち込む今日子に、三住先生は静かに語りかけます。 「人間なんて表面はどうにでも変化するけど根っこはそう変わらないでしょ」

その言葉にハッとした今日子は、自分のスマートフォンのロックナンバーが、必死に勉強して受かった高校の受験番号であることに気づきます。

「私のかけら 残ってた」

この小さな発見が、今日子の心に大きな希望の光を灯しました。

自分を取り戻すための高らかな宣言

今日子は、もう一度自分を好きになるために、立ち上がることを決意します。 「私は言えない だから今から 好きになる努力をします」

教壇に立ち、驚く生徒たちを前に、今日子は高らかに宣言します。

「精一杯! 真面目に! 悔い無く! 頑張るので!! よろしく!!!!!」

それは、失われた7年間を取り戻し、理想の自分にもう一度出会うための、力強い第一歩でした。怖がっていても何も変わらない。 「私らしさのかけら 集めて 自分を取り戻すんだ」。 彼女の再生の物語は、今、始まったばかりです。

【マリリンはいなくなった】1話を読んだ感想(ネタバレあり)

第1話から、読者の心を鷲掴みにする衝撃的な展開でした。真面目でひたむきな女子高生が、ある日突然7年後にタイムスリップし、理想とは真逆の自分になっていたという設定は、非常に引き込まれます。

特に印象的だったのは、主人公・今日子の内面の葛藤です。高校生の純粋な心を持ったまま、24歳の荒んだ現実を突きつけられた時の絶望感や混乱が、痛いほど伝わってきました。自分が夢だった教師になれているのに、全く喜べない。むしろ、生徒になめられ、親ともうまくいっていない「ダメな大人」になってしまった自分に愕然とする姿は、誰にとっても他人事ではないかもしれません。

「7年の間に一体何があったのか?」という大きな謎が、物語全体を貫く最大のフックになっています。なぜ彼女は「マリリン」と呼ばれるようになったのか。中澤くんとはどうなったのか。そして、ミステリアスな同僚の三住先生や、一癖も二癖もありそうな生徒たちとの関係はどうなっていくのか。気になる要素が満載で、ページをめくる手が止まりませんでした。

物語のテーマである「自分らしさ」や「自己肯定感」についても、深く考えさせられます。環境や経験によって人の表面は変わるけれど、「根っこ」は変わらないという三住先生の言葉は、この物語の核心を突いているように感じます。最後に今日子が過去の自分のかけらを見つけ、もう一度自分を好きになるために立ち上がるシーンは、胸が熱くなりました。これから彼女がどうやって自分を取り戻していくのか、その再生の物語を最後まで見届けたいと強く思わせる、素晴らしい第1話でした。

【マリリンはいなくなった】1話のネタバレまとめ

  • 真面目な優等生・鞠原今日子は、ある日突然、高校2年生から7年後の24歳の自分にタイムスリップします。
  • 7年間の記憶を失った彼女は、夢だった教師になっていましたが、その姿は生徒から「マリリン」と呼ばれ軽んじられる、理想とはかけ離れたものでした。
  • 親とは絶縁状態で、友人関係も不明。輝かしい過去と荒んだ現在のギャップに絶望し、孤独を感じます。
  • 同僚の三住先生の「根っこは変わらない」という言葉をきっかけに、スマホのロックナンバーが高校の受験番号であることに気づき、自分の中に変わらない「かけら」が残っていることを知ります。
  • 失われた自分を取り戻し、再び自分を好きになるため、今日子は生徒たちの前で「精一杯、真面目に、悔い無く頑張る」と高らかに宣言し、再起を誓います。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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