【さよならお兄ちゃん】6話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 家に帰った星は、サプライズで置かれていたハイヒールを見つけ、長兄・珉が過去に交わした「18歳の誕生日に靴を贈る」という約束を思い出し、一瞬だけ期待を抱く。
  • しかし、その靴は月のために用意されたものであり、星は家族全員から「勘違いも甚だしい」と激しく罵倒され、最後の希望を打ち砕かれる。
  • 過去の温かい家族の記憶と現在の冷酷な態度のギャップに苦しむ星は、床に膝をついて靴を拭くという屈辱的な行動で、精一杯の謝罪の意を示す。
  • その態度に苛立った三兄・哲が星の手を荒々しく振り払った際、彼女が持っていたファイルが床に落ち、中から「死亡証明書」と記載された書類が散らばってしまう。

【さよならお兄ちゃん】第6話をネタバレありでわかりやすく解説する

床に無残に散らばった「死亡証明書」という名の、南宮星(ナンゴン・ビョル)の悲しい決意。その事実がついに家族の知るところとなってしまうのか…。息をのむような、張り詰めた緊張感の中で、物語の第6話は静かに幕を開けます。

散らばる「死の証明」と、閉ざされる心

星は、兄たちがそのおぞましい文字に気づく前に、半狂乱になりながら、しかし必死で床に散らばった書類をかき集めます。幸いにも、彼女の法的な死を意味する決定的な証拠である「死亡証明書」は、誰の目にも触れることなく、なんとか回収することができました。しかし、一度凍りついてしまった兄たちの心は、もはや星の行動を許そうとはしませんでした。

「これまでお前にあまりにも優しくしすぎていたようだ。だから、ここまでうぬぼれるんだ」 長兄からの、まるで罪人を断罪するかのような冷たい非難の言葉に、星はもはや何の反論もしませんでした。

ただ、すべての光を失った虚ろな瞳で、誰に言うでもなく、静かに、そして諦めきったように呟きます。「そうよ。その通りよ。私がいなくなれば、私のせいであなたたちが怒ることも、もうなくなるでしょう。もう、どうでもいい…」それは、彼女の心が、ぱきりと音を立てて完全に折れてしまった、決定的な瞬間でした。

奪われた「最後の聖域」

失意のまま、かろうじて自分の足で自室に戻った星を待っていたのは、さらなる、そして追い打ちをかけるような絶望でした。12年間、彼女が泣き、笑い、そして成長してきた、あれほど愛着のあったはずの部屋が、全く別の、見知らぬフェミニンな家具で無残に満たされていたのです。

そして、その蛮行を働いた犯人は、他に誰がいるというのでしょう、言うまでもなく月(タル)でした。 「階段を使うのが、心臓の弱い私には大変だから、お兄様たちが親切にもこの部屋を私にくれるって言ってくれたの。

私、昔から体が弱いの、知ってるでしょ?」 月のその白々しい言葉を裏付けるように、三人の兄たちが部屋にぞろぞろと現れます。

「ここは、この家で一番日当たりもいいからな。月の静養にはもってこいだろう」「これくらい、快く譲ってやったらどうだ!」兄たちは、何の罪悪感も、ためらいも見せることなく、星に当たり前のように部屋を明け渡すよう、冷徹に命じます。

星が「月がこの家に来てから、私が譲らなかったことなんて、ただの一度もないじゃない!」と悲痛な声を上げても、三兄・哲(チョル)は「外で17年間も苦労してきた妹に、たった一つの部屋も譲れないというのか」と、一方的に、そして巧みに彼女を自己中心的な悪者に仕立て上げるのでした。

追放先は、光の届かない物置

星が、これ以上抵抗しても無駄だと悟り、諦めて部屋の荷物をまとめようとすると、月は「あ、ダメ。私、潔癖症なのよ」と、星の私物さえも汚らわしい汚物であるかのように、それに触れることを拒みます。

「じゃあ、私はどうすれば…」と、完全に途方に暮れる星に、月は悪魔のような、そして心の底から楽しんでいるかのような笑みを浮かべて、ある提案をします。

「そういえば、2階の廊下の突き当たりに、空いてる物置があるわ。今のあなたに、お似合いじゃない?」 そのあまりにも残酷な提案に、三兄・哲がさらに追い打ちをかけます。「こじき同然だったお前を、親切に引き取ってやったんだ。自分の身分ぐらい、少しはわきまえてくれないか?」

それは、血の滲むような努力で築き上げてきた、12年間の家族としての日々を、根底から、そして完全に否定する、あまりにも惨い言葉でした。

(いいわ、我慢しよう。どうせ、私がこの家にいられるのも、もう長くないんだから…)

星は、すぐそこまで近づいてきている「最期の日」だけを、唯一の心の支えにして、その屈辱を、血の味と共に飲み込みます。 見かねた家政婦が「旦那様、あそこは人が住めるような場所ではございません!」と必死に止めようとしますが、兄たちはその忠告に聞く耳を持ちません。

最後に、月は勝ち誇ったように星の耳元にその顔を寄せ、勝利を確信した声で、とどめを刺すように囁きました。「養子のくせに、この私に勝てるとでも思った?」

愛された日々の記憶

埃っぽく、電気のスイッチを入れても明かり一つ灯らない、かび臭い物置。そこが、星に新たに与えられた「部屋」でした。その、まるで墓場のような冷たい暗闇の中で、星の脳裏に、かつての、陽だまりのように温かい記憶が、走馬灯のように蘇ります。

それは、12年前、初めてあの美しい部屋を与えられた日のことでした。

「星、ここがお前の部屋だよ。この家で一番広くて、一番日当たりのいい部屋なんだ」「見てごらん、このベッドはフランスの職人に作らせたオーダーメイドなんだ。もし気に入らなかったら、いつでも新しいものに変えていいからね」「俺たちの、たった一人の妹だもんな。誰よりも、何よりも、大切な妹だよ」

父と母、そして三人の兄たちからの、惜しみない愛情が溢れていた、幸せな日々の記憶。その輝かしい記憶が、光の一筋も差さない、この物置部屋の現実を、より一層、惨めで、そして耐え難いものとして浮き彫りにします。

(そうか…。この家に、私の本当の居場所なんて、もうずっと前からどこにもなかったのね…)

消えた「チャプサリ」と、新たな謎

星は、物置の床に無造作に運び込まれた、ダンボール数箱分の、わずかな私物を見渡します。それが、彼女の12年間の人生の、全てでした。そして、その荷物の中にあるはずの、あるものが見当たらないことに気づき、それまで無表情だった彼女の顔色が、さっと変わりました。

「チャプサリ…。ねえ、私のチャプサリはどこにいるの?」

果たして、その「チャプサリ」という名前の主とは、一体誰なのでしょうか。それが彼女にとって、何か特別な意味を持つ、かけがえのない大切なものであることが、その必死な、そして悲痛な表情から、痛いほどにうかがえます。部屋だけでなく、星にとって、最後の心の支えであったかもしれない、かけがえのない「何か」までが、この冷たい家から、静かに、そして完全に消え去ろうとしていました。

【さよならお兄ちゃん】6話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回の第6話は、物理的にも、そして精神的にも、星の最後の「居場所」が、完膚なきまでに奪われる回でした。見ていて息が詰まるような残酷な展開の連続で、本当に心が痛みます。 まず、星の愛着のあった部屋が奪われるシーン。あの美しい部屋は、彼女が南宮家に来て初めて与えられた、確固たる「自分の場所」であり、家族からの惜しみない愛情の象徴でもあったはずです。

それを、何の躊躇もなく、そして何の罪悪感もなく月が奪い、兄たちがそれを満場一致で肯定する姿。これは、星がもはや家族の一員としてすら見なされていないという、動かしがたい事実を、あまりにも残酷に突きつけていました。

特に、三兄・哲が星に投げつけた「こじき」という言葉は、人間として、決して許されるものではありません。彼の心の中に、長年隠されていたであろう、養子である星への根深い差別意識が、最も醜く、そして最も卑劣な形で現れた瞬間でした。

12年間の兄妹としての月日は、一体何だったのでしょうか。 そして、悪魔そのものである月。彼女の策略は、もはや子供の意地悪というレベルを遥かに超えています。「潔癖症」という、ありもしない嘘を言い訳に、星の私物に触れることさえ拒み、彼女を物置へと追いやる。そして最後の「養子のくせに、私に勝てるとでも?」という囁き。

彼女は、星の心の、最も柔らかく、そして最も傷つきやすい部分を、的確に、そして執拗に、ナイフで抉りにきているのです。 最後の「チャプサリ」という謎の名前。これが一体、何を意味するのか、現時点では全く分かりません。しかし、あれほど深い絶望の中に突き落とされていた星が、この時初めて感情を露わにして探し求めたものです。

きっと、彼女のアイデンティティそのものに関わる、非常に重要な、そしておそらくは生きている存在なのでしょう。彼女から部屋も、尊厳も、思い出も、すべてを奪った家族は、最後に残ったそのたった一つの大切な宝物さえも、彼女から奪い去ってしまったのでしょうか。

【さよならお兄ちゃん】6話のネタバレまとめ

  • 床に散らばった「死亡証明書」は、星の必死の行動により、幸いにも兄たちに見られずに済んだが、彼女の心は完全に閉ざされてしまう。
  • 星は自室に戻るが、その部屋はすでに月に乗っ取られており、彼女の私物は全て撤去されていた。
  • 兄たちは、そんな月の身勝手な行動を全員一致で肯定し、星を部屋から追い出し、代わりの部屋として電気もつかない物置をあてがう。
  • 三兄・哲は、抵抗しようとする星に対し、「こじきのお前を引き取ってやったんだ、身分をわきまえろ」と、家族として過ごした12年間を完全に否定する暴言を吐く。
  • 暗い物置に追いやられた星は、自分のわずかな私物の中から、何かかけがえのない大切なものである「チャプサリ」がなくなっていることに気づき、愕然とする。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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