【さよならお兄ちゃん】10話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 星が次兄・勛を危険から助けようとした行動が、周囲には「突き飛ばした」と誤解され、パーティー会場で激しく非難される。
- 極度のストレスから喘息の発作で苦しむ星を、家族全員が「気を引くための演技」だと決めつけ、誰一人として助けようとしない。
- 月は星に、愛犬チャプサリを自分が殺したことを嘲笑うように告白し、さらに星の手にフォークを持たせて、彼女を凶暴な加害者に仕立て上げる。
- 父親から「引き取るべきじゃなかった」と12年間の全てを否定され、頬を叩かれるという決定的な仕打ちを受ける。
- 星は自らの18歳の誕生日に、家族との縁を完全に切り、たった一人で家を出ていくことを決意する。
【さよならお兄ちゃん】第10話をネタバレありでわかりやすく解説する
主役であるはずの南宮星(ナンゴン・ビョル)が去ったパーティー会場。華やかな装飾や食べ残された豪華な料理が、今は虚しく映ります。残された家族たちの間には、先ほどまでの怒りの熱が嘘のように冷め、気まずく、そして重い空気が流れていました。彼らは、自分たちが放った言葉と行動の本当の重さを、遅まきながら少しずつ感じ始めているようでした。
去った後の家族の動揺
次兄・勛(フン)が、目の見えない不安を隠せないかのように、おずおずと尋ねます。「本当に、星について行かなくてもいいのか?」 その言葉に、長兄・珉(ミン)も珍しく弱気な声で続けます。「あいつには、私たち以外に頼れる人間なんて一人もいないはずだ」
しかし、三兄・哲(チョル)は、まだ素直になれないのか、あるいはそう信じたいだけなのか、強がりを見せます。 「放っておけよ。少し頭を冷やせば、どうせ泣きながら戻ってくるさ。今回は、あいつも少しは自分の立場を学んだ方がいい」 その言葉には、まだ星への拭いきれない怒りが残っているかのようでした。
ただ、そんな哲でさえ、父親の最後の言動は行き過ぎだったと感じているようです。 「でも親父、いくらなんでも『縁を切る』って言ったのは、厳しすぎたんじゃないか」 その指摘に、父親はバツが悪そうに、そして少しばかりの後悔の色を見せながら答えます。
「…かっとなって、つい怒りに任せて言っただけだ。ビョルも、まさか本気にはしないだろう」 彼らはまだ、星がどれほど深く傷つき、そしてどれほど固い決意を胸に秘めているのか、その本当の意味を全く理解していませんでした。
撮れなかった家族写真
そこへ、詳しい事情を知らないカメラマンが声をかけます。
「会長、ご予約されていた家族写真ですが、今から撮影いたしましょうか?」 しかし、その場にいる誰も、そんな雰囲気ではありませんでした。星がいない今、このばらばらになった家族で、一体どんな顔をして写真に収まればいいというのでしょうか。
撮るはずだった幸福の証明は、星という中心を失った今、ただの残酷な儀式でしかありません。誰もが答えに窮し、重苦しい沈黙が、華やかだったはずの会場を支配するのでした。
唯一の祝福と最後の準備
一方、一人で部屋に戻った星を、この家で唯一の味方である家政婦が、涙を浮かべながら迎えます。 「お嬢様…」 家政婦は、これ以上ないほど優しい、しかし震える声で言葉を続けます。
「18歳のお誕生日、心から、おめでとうございます」 本来であれば、誰もが笑顔で祝福するはずのめでたい日。しかし、家政婦の目からは大粒の涙が溢れていました。なぜなら、18歳になったということは、星が「星眠計画」に正式に参加できる法的年齢に達してしまったということを意味するからです。
それは、彼女の人生の始まりではなく、社会的な死へのカウントダウンが始まった瞬間でした。 星は、すべてを悟ったように、寂しそうに微笑みます。
「覚えていてくれる人が、まだいたのね。ありがとう、おばさん」
最後の贈り物
家政婦が「お嬢様、私にはとても、お見送りすることなどできません」と泣き崩れそうになると、星はそれを優しく制します。 「ちょっと待って、おばさん」 星は、大切に持っていた分厚い財布を、家政婦の手にそっと握らせました。
「おばさん、今まで本当にありがとう。これは、私がこの家に来てから貯めてきた、私の全財産なの。どうかこれを受け取って、そしてこれからはご自分のために、幸せに暮らしてください。私のせいで、おばさんまで辛い思いをたくさんさせてしまったでしょう」
自分がこの世から消えた後も、唯一の味方でいてくれた家政婦の未来の幸せを心から願う星。そのあまりにも健気で深い優しさが、かえってこの場の悲しみをより一層、深いものにします。
心の箱に込められた本音
家政婦と別れ、一人になった星は、部屋の片隅に置かれた、少し古びた木製の箱を見つけます。それは昔、まだ家族が温かい絆で結ばれていた頃に、みんなで作った「心の話を入れるポスト」でした。彼女の脳裏に、幸せだった頃の回想が、鮮やかに蘇ります。
「お兄ちゃん、この可愛い箱は何?」「これはな、心の中の、口に出しては言えない話を入れるためのポストだよ。それぞれ自分の色のペンで手紙を書けば、誰が書いたかすぐにわかるだろう」 家族それぞれが、照れくさくて言葉にできない本音を手紙にして、この特別な箱に入れる。それが、南宮家の温かいルールでした。
星は、まるで聖遺物に触れるかのように、震える手で、その箱の中に入っていた手紙を一通、また一通と開いていきます。
兄たちからの優しいメッセージと今との残酷な対比
長兄・珉の、理知的な青いインクで書かれた手紙を開くと、そこには温かく、力強い言葉が綴られていました。
「僕は、いつでも君の味方だ。何があっても、僕のことだけは信じていいんだよ」
しかし、そのインクの滲むほど優しい文字を読みながら、星の脳裏には、つい数時間前にパーティーで浴びせられた、氷のように冷たい言葉が蘇ります。 「俺たちがこれまで、どれだけお前を大切にしてきたと思っているんだ。それを全部台無しにしやがって!本当にがっかりだ、南宮星」
次兄・勛の、芸術家らしい緑色の文字で書かれた手紙にも、かつての純粋な愛情が込められていました。
「星、君の顔は見えないけれど、君がこの家に来てくれてから、僕の世界は光で満たされたように明るくなったんだ」
その美しいポエムのような言葉とはあまりにも対照的に、つい先ほど自分に投げつけられた、存在そのものを否定する拒絶の言葉が、耳の奥で何度も響きます。 「南宮星、君が僕の目になる必要なんて、もうないんだ」
三兄・哲の、情熱的な赤いインクで書かれた手紙は、三兄弟の中で最も甘い約束の言葉に満ちていました。
「お前は、永遠に我が家のお姫様だ。欲しいものは何でも言ってくれ。俺が全部与えてやろう」
しかし、現実の哲は、苦しむ星に向かって、ゴミでも見るかのような目でこう吐き捨てたのです。 「10年も演技を続ける根気があるなら、他のことでもやればいいのに。一体いつまで、そんなふうに好き勝手するつもりだ?」
手紙を一枚、また一枚と読み進めるたびに、過去の温もりと現在の冷たさとの、あまりにも残酷なギャップが、星の心をナイフで深く、そして何度も抉っていきます。かつては確かにここに存在した、誰にも壊せないと思われた家族の絆が、今では完全に断ち切られてしまったことを、愛情に満ちたこれらの手紙が、何よりも雄弁に物語っていました。
「私たち家族の、美しかった過去は、すべてここに埋めていこう」
それは、輝かしい思い出のすべてに別れを告げ、過去の自分を弔う、星の最後の葬送の儀式でした。
【さよならお兄ちゃん】10話を読んだ感想(ネタバレあり)
第10話は、静かな展開の中にも、過去と現在の残酷な対比が胸を締め付ける、非常に感情を揺さぶられる回でした。特に、星が「心の箱」を見つけ、兄たちの手紙を読むシーンは、涙なしでは見ることができませんでした。
兄たちが、かつて星に向けて書いた手紙の内容と、現在の彼らの冷酷な態度のギャップがあまりにも残酷です。「いつでも君の味方だ」「永遠に我が家のお姫様だ」という、かつては真実だったはずの美しい言葉が、今ではただ空虚な嘘となってしまった。血の繋がりという、決して越えられない壁の前では、どんなに深い愛情の言葉も、いとも簡単に覆されてしまうものなのでしょうか。
そして、父親の「怒りに任せて言っただけだ」という後悔の言葉も、あまりにも独りよがりで、遅すぎます。自分たちの言葉が、星の心をどれほど深く、そして修復不可能なまでに傷つけたか、彼らはまだ全く理解していません。「本気にはしないだろう」という楽観的な考えこそが、星の絶望の深さを全く分かっていない、何よりの証拠です。
この絶望的な状況の中、家政婦だけが星の誕生日を覚えていたシーンは、本当に切なかったです。18歳という、本来なら希望に満ちた未来への扉を開く年齢が、星にとっては「星眠計画」への参加資格を得る、つまり社会的な死への第一歩となってしまう。
このあまりにも皮肉な現実が、物語の悲劇性をより一層、深いものにしています。 星が最後に書いた「私たちとの過去はここに埋めよう」という言葉。これは単なる家族との決別宣言ではありません。あまりにも美しく、そして輝いていた過去の思い出を、これ以上今の自分を苦しめないように、自らの手で心の奥底に封印する、彼女なりの、あまりにも悲しい葬送の儀式だったのかもしれません。
【さよならお兄ちゃん】10話のネタバレまとめ
- パーティー後、残された家族は星の身を案じるも、「落ち着いたら戻ってくるだろう」と、彼女の決意の固さを楽観視している。
- 父親は、星に放った「縁を切る」という言葉を「怒りに任せて言っただけだ」と後悔を見せるが、星の絶望の深さを全く理解していない。
- 家政婦だけが星の18歳の誕生日を覚えており、彼女が「星眠計画」に参加する資格を得てしまったことを悲しみながら、涙の祝福をする。
- 星は、昔家族と交わした「心の箱」に残る兄たちの優しい手紙を読み、現在の冷酷な態度との、あまりにも残酷なギャップに深く苦しむ。
- 星は「私たちとの過去はここに埋めよう」と自らも手紙を書き、輝かしかった思い出のすべてに別れを告げる、最後の儀式を行う。
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