【さよならお兄ちゃん】15話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 次兄である勛が、長年待ち望んだ角膜移植手術の日を迎えました。これは、彼の人生を大きく変える出来事です。
- 勛は、妹の星に対する深い罪悪感から「ビョルの角膜なら一生見えない方がマシだ」と口にしましたが、運命の皮肉か、実際にはまさにその星の角膜を受け取ることになりました。
- 手術は無事に大成功を収め、勛は長年の暗闇から解放され、ついに視力を取り戻します。
- 家族は、顔も名前も知らない角膜の提供者に心からの感謝を捧げますが、その尊い提供者が、自分たちが冷たく追い出した星本人であるとは、まだ誰も知りません。
- 物語の最後、長兄の珉が何か重要な事実を調べ上げた様子を見せ、家族の間にこれから起こるであろう波乱を予感させる、不穏な雰囲気が漂いました。
【さよならお兄ちゃん】第15話をネタバレありでわかりやすく解説する
次兄・勛の角膜手術の成功に、家族は束の間の喜びに沸いていました。しかし、長兄・珉が調査した事実と、予期せぬ医師の訪問が、彼らにとってあまりにも衝撃的な真実を突きつけることになります。それは、彼らがこれまで見て見ぬふりをしてきた、罪深い過去との直面でもありました。
匿名の提供者への感謝
長兄の珉(ミン)が、少しばかり気まずそうな表情で、調べ上げた結果を家族に報告します。
「それが…提供者の方が匿名を強く希望されていて、身元については一切教えられないみたいなんだ。」
命の恩人である角膜提供者の身元は、本人の固い希望により、完全に秘匿されているというのです。この報告に、家族全員の顔に落胆の色が浮かびます。直接会って、心からの感謝の言葉を伝えたかった。その当然の願いが叶わないという事実に、彼らは言いようのない無念さを感じていました。
すると、視力を取り戻したばかりの次兄・勛(フン)が、一つの提案をします。
「それなら、俺が手紙を書くよ。兄さん、その手紙をドナーセンターに届けてくれないか。もちろん、相手の方の邪魔にならないように、そっと。」
新しく見えるようになったこの目で、感謝の気持ちを綴りたい。その純粋で切実な思いに、長兄も「ああ、わかった。任せておけ」と快くその役目を引き受けます。しかし、その感謝の手紙が届けられるべき本当の宛先が、自分たちが冷酷にも追い出してしまった最愛の妹であるとは、この時の彼らはまだ誰も知る由もありませんでした。
期待と失望
その時、病室のドアが静かに開き、誰かが入ってきます。
「お兄ちゃん!」
その明るい声に、勛の心臓が大きく高鳴ります。彼の心の中で、淡い期待が急速に膨らんでいきました。
(もしかして、星じゃないのか…?)
しかし、そこに立っていたのは、実の妹である月(タル)でした。勛の心の中で、膨らみかけた期待が、まるでガラス玉のように音を立てて砕けていきます。長い暗闇を経て、初めて見えるようになったこの目で、真っ先に見たかったのは、他の誰でもない、星の優しい笑顔だったのに。
月は、心から兄を心配する健気な妹を演じながら、勛に駆け寄り尋ねます。
「手術は、どうだったの?成功したの?私の顔、ちゃんとお兄ちゃんに見える?」
勛は、何とも言えない複雑な表情で、目の前の月を見つめます。確かに、血の繋がった実の妹の顔を初めて見ることができた喜びはあります。しかし、心のどこかで、今もなお星の姿を探している自分がいることも、彼は否定できませんでした。
医師からの衝撃的な知らせ
家族の間に、どこかぎこちない空気が流れていた、まさにその時でした。担当の医師が、深刻な表情で病室を訪れたのです。
「失礼します。もしや、星お嬢様に何かあったのでしょうか?先日からの再検査を必ず受けていただかなければならないのに、全く病院に来られないものですから。」
突然の言葉に、三兄の哲(チョル)が困惑した表情で聞き返します。
「再健診?」
医師は、その反応に少し呆れたような、信じられないといった様子で言葉を続けます。
「もしや、ご家族の皆様はご存じなかったのですか?」
その言葉には、家族として当然知っているべき娘の健康状態を全く把握していないことへの、純粋な驚きと、隠しきれない軽蔑の響きが込められていました。
隠されていた病気の真実
医師が、重々しく口を開きます。
「喘息のことです。」
その一言を聞いた瞬間、家族全員が息を呑みました。まるで、頭上から冷水を浴びせられたかのような、あるいは、雷にでも打たれたかのような強烈な衝撃が、彼らを襲ったのです。
医師は、さらに衝撃的な事実を続けます。
「前回の検査結果では、お嬢様の状態は急激に悪化していました。このままでは、いつ深刻な呼吸困難に陥ってもおかしくありません。再検査を受けていただくべき時期は、すでに数週間も過ぎています。こちらから何度ご連絡しても、全く連絡が取れない状態でして…。」
星が患っていた喘息は、家族が勝手に思い込んでいたような、同情を引くための単なる「演技」などでは断じてなく、一歩間違えれば命に関わる、極めて深刻な病気だったのです。そして、その病状は現在、急激に悪化しており、一刻も早く適切な治療を受けなければ、命の危険さえあるという、絶望的な状況でした。
蘇る罪深い記憶
医師から告げられた残酷な真実をきっかけに、家族一人ひとりの脳裏に、過去の自分たちの罪深い言動が、走馬灯のように蘇ってきます。
病室での冷たい仕打ち
それは、以前、星が喘息の発作で入院していた時のことでした。
「お父さん…お母さん…。」
星は、両親が自分のお見舞いに来てくれたのだと信じ、病気の苦しさも忘れて、嬉しそうな表情を浮かべていました。しかし、父親から返ってきたのは、あまりにも冷酷で、非情な言葉でした。
「なぜお前がここにいるんだ?また、お得意の演技でもしているのか?」
母親もまた、吐き捨てるように続けます。
「なんてことなの…愛するタルは、隣の病室で苦しんでいるのよ。こんなところで、時間の無駄だわ。さっさとそっちに行きましょう。」
実の娘の病気を、単なる「演技」と決めつけ、心配するどころか、見舞うことさえせずにその場を立ち去った両親。その時の、全てを諦めたような星の絶望的な表情が、今になって鮮明に彼らの記憶に蘇ってくるのでした。
パーティーでの誤解
星眠計画の進展を祝うパーティーでの出来事も、昨日のことのように思い出されます。
星が、激しい喘息の発作を起こして苦しんでいた時、三兄の哲は、軽蔑の眼差しを向けて冷たく言い放ちました。
「10年もそんな演技を続ける根気があるなら、他のことでもやればいいだろうに。一体いつまで、そんなふうに自分勝手な振る舞いを続けるつもりだ!」
長兄の珉もまた、星を厳しく突き放しました。
「もういい加減にしろ!お前のせいで、タルが発作を起こしているんだぞ!お前は少し大人しくしていろ!」
星は、必死に喘息の苦しみを訴えていたというのに、家族の誰も、彼女の言葉を信じようとはしませんでした。彼らは、巧妙に演技をする月の言葉の方を信じ込み、本当に苦しんでいる星を「嘘つき」で「演技派」だと決めつけていたのです。その取り返しのつかない罪の重さを、彼らは今になってようやく理解したのでした。
取り返しのつかない後悔
「ビョル…私たちは、お前に一体、何ということをしてしまったんだ…。」
長兄の珉が、震える声でそう呟きました。
しかし、その言葉がいかに自己中心的で、無責任なものであるか。星は、何度も、何度も、本当のことを訴えていました。ただ、家族がそれを信じようとしなかっただけなのです。喘息で苦しむか細い声を「演技」だと決めつけ、助けを求める小さな手を乱暴に払いのけ、病院での適切な治療さえも、結果的に妨げていたのは、他の誰でもない家族自身でした。
医師の言葉によって白日の下に晒された真実は、家族にとってあまりにも残酷で、受け入れがたいものでした。星は、本当に重い病気で苦しんでいた。そして今、その大切な星は行方不明であり、命に関わる必要な治療も受けられない状態にある。
物語は、家族が自らの過ちの取り返しのつかない深さを、骨の髄まで思い知らされた、まさにその絶望の瞬間で終わります。星の命が、今この瞬間にも危険にさらされているかもしれないという恐ろしい事実が、鉛のように重く、彼らの心にのしかかっていました。
【さよならお兄ちゃん】15話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回の第15話は、これまで積み重ねられてきた家族の罪が、これでもかというほど白日の下に晒された回であり、読んでいて本当に腹立たしく、同時にどうしようもない悲しみに襲われました。
特に、医師が放った「もしやご存じなかったのですか?」という、呆れと軽蔑が入り混じった一言が、この家族の異常性を全て物語っています。家族として当然知っているべき、いや、知っていなければならない娘の深刻な病状を、彼らは全く知らなかった。いや、もっと正確に言えば、知ろうとしなかったのです。これは、もはや単なる無関心ではなく、明確なネグレクト(育児放棄)と言えるでしょう。
中でも最も許しがたいと感じたのは、病室での両親の態度です。「また演技してるのか?」「時間の無駄」という、人間性を疑うような言葉の数々。病気で入院している実の娘を見舞うどころか、その存在そのものを否定し、侮辱する。これが、人の親のすることでしょうか。この時、星がどれほど深く傷つき、絶望したか、想像するだけで胸が張り裂けそうです。
パーティーでの「10年も演技する根気があるなら」という三兄・哲の言葉も、最低としか言いようがありません。星は、10年もの長い間、喘息という見えない病と一人で闘ってきたのです。その苦しみを、全て「同情を引くための演技」として片付けていた。このあまりにも酷い無理解と、根拠のない偏見が、星をどれほど孤独にし、追い詰めていったことでしょう。
そして、極めつけは「なぜ言わなかったんだ」という家族の言葉です。これには、怒りを通り越して、もはや呆れてしまいました。星は、何度も、何度も、必死に訴えていたではありませんか。病院で倒れ、パーティーで発作を起こし、その度に助けを求めていた。それを信じようとせず、嘘つき呼ばわりしたのは、一体誰だったのでしょうか。今更になって「なぜ言わなかった」などと、その責任を星に転嫁するとは、あまりにも身勝手で、卑劣です。
勛が、匿名の提供者に向けて感謝の手紙を書こうとするシーンも、あまりにも皮肉に満ちています。その手紙が届くべき相手は、自分たちが「演技派」と罵り、冷たく追い出した最愛の妹だという、この残酷な事実。この強烈な皮肉の構図が、この家族の愚かさと罪深さを、より一層際立たせています。
医師が「再検査の時期はすでに数週間過ぎている」と告げていることから、星の健康状態が、今現在、かなり危険なレベルにあることが窺えます。適切な治療を受けられていない星が、今どこで、どのような状態でいるのか。いや、私たち読者は知っています。彼女は、誰にも看取られることなく、30年間という長い眠りについてしまったのです。
家族は、ようやく真実の扉の前に立ちましたが、もう全てが遅すぎます。星は、もう二度と彼らの元へは戻ってきません。彼らがこれから抱える後悔が、どれほど深く、重いものであっても、失われてしまった時間と、踏みにじられた信頼は、決して取り戻すことはできないのです。
【さよならお兄ちゃん】15話のネタバレまとめ
- 勛が受け取った角膜の提供者は、本人の強い希望により匿名とされ、身元が分からないことが判明します。
- 勛は、顔も知らない提供者に対して、感謝の気持ちを綴った手紙を書くことを決意します。
- 病室に実の妹である月が現れますが、勛は心の奥底では、星が来てくれることを期待していました。
- 担当の医師が病室を訪れ、星が深刻な喘息を患っており、命に関わる状態であることを家族に初めて告げます。
- 星の喘息は急激に悪化しており、受けるべき再検査の時期をすでに数週間も過ぎているという、危機的な状況が明らかになります。
- 家族は、過去に星が訴えていた喘息の症状を、全て「同情を引くための演技」と決めつけていた、自分たちの罪深い言動を思い出します。
- 病室で星を見舞うことなく罵倒したことや、パーティーで発作を起こした際も信じなかった過去が、鮮明に蘇ります。
- 家族は、自分たちの取り返しのつかない過ちの深さを、骨の髄まで思い知らされ、絶望の淵に立たされます。
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