【さよならお兄ちゃん】19話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 兄たちは、屋根裏部屋で見つけた「心のポスト」の中から、星が家族に宛てて書いた、最後のものと思われる手紙を発見しました。
  • その手紙には、この家に来てからの日々に対する深い感謝と、家族への計り知れないほどの愛情、そして、その大きな幸せの中で、常に抱えていた消えることのない不安が、彼女自身の言葉で綴られていました。
  • 星は、「お兄ちゃんたちのおかげで、私の人生は、たくさんの色で輝くことができた」と、家族と共に経験した、数えきれないほどの「初めて」の温かい思い出を、一つ一つ丁寧に振り返ります。
  • 星が抱いていた、あまりにも純粋で、そして見返りを求めない深い愛情を知った兄たちは、自分たちが犯した過ちの、取り返しのつかないほどの深さを骨の髄まで思い知り、ただ後悔の涙を流すことしかできませんでした。

【さよならお兄ちゃん】第19話をネタバレありでわかりやすく解説する

愛する妹、星がこの世に残した、最後のものと思われる手紙。その手紙の続きには、兄たち一人ひとりに対する、あまりにも具体的で、そしてどこまでも深い愛情が、彼女の優しい文字で綴られていました。それは、兄たちがこれまで全く気づくことのなかった、星の健気で、そして涙ぐましいほどの努力の、紛れもない証だったのです。

星の手紙に綴られた、兄たちへの深い愛情

手紙は、星の、ある種の決意表明とも取れる言葉で締めくくられていました。

「お兄ちゃんたちは、私に、人を愛するということを教えてくれた。だから、今度は私が、心を込めて、みんなのことを愛する番なの。」

その言葉に偽りはなく、星は、兄たち一人ひとりのために、その言葉通り、心を込めた行動を、来る日も来る日も続けていたのです。

長兄・珉への思いやり

「ミン兄ちゃんは、いつもお仕事が忙しくて、夜もろくに眠れていなかったよね?だから、私が作ったラベンダーの匂い袋が、少しでもお兄ちゃんの役に立てばいいなって、そう思ったの。」

その一文を読みながら、長兄・珉(ミン)の脳裏に、星が、まだ慣れない手つきで、一生懸命に裁縫をする姿が、鮮やかに蘇ります。その小さな指に、何度も、何度も針を刺して、血を滲ませながら、それでも、ただひたすらに兄の安眠を願って、匂い袋を作ってくれていたのです。当時、珉は、その心のこもった匂い袋を、素直に受け取ることができず、あまつさえ、星の心を深く傷つけるような言葉を投げつけてしまいました。その時の、取り返しのつかない後悔が、今になって、鉛のように重く、彼の心にのしかかります。

三兄・哲への気遣い

「チョルお兄ちゃんは、昔から胃が弱いって聞いていたから、私、食事療法のことを、すごくたくさん勉強したんだよ。お兄ちゃんの胃の調子が、少しでも良くなればいいなって、いつも思ってた。」

三兄の哲(チョル)もまた、忘れていたはずの過去の記憶を、鮮明に思い出していました。星が、分厚いレシピ本を片手に、台所で一生懸命に料理をしていた、あの日の姿を。熱く熱せられた鍋の縁に、うっかり手が触れてしまい、火傷を負っても、それでも、ただ兄の健康を気遣い、食事を作り続けてくれていたのです。しかし、哲は、そんな星の努力の結晶である食事を、あろうことか「まずい」と一言で突き返したことさえありました。その時の、星の、悲しみに打ちひしがれたような顔が、今になって、彼の脳裏に焼き付いて離れません。

次兄・勛への自己犠牲

「フン兄ちゃんのことは、いつも、いつも心配だった。たった一人で、どれだけ辛くて、寂しい思いをしていたでしょう。できることなら、私の全てを捧げてでも、お兄ちゃんの目を治してあげたかったの。だから、それまでは、私が、お兄ちゃんの目になってあげるって、そう決めていたんだ。」

次兄・勛(フン)の目からは、もはや、涙が止めどなく溢れ出ていました。星は、本当に、その言葉通り、「全てを捧げて」、自分の目を治してくれたのです。そして、彼の回想の中で、自分を庇って、熱いやかんのお湯を全身に浴び、大きな火傷を負った、幼い星の姿が蘇ります。あの時も、星は、自分の体の痛みよりも、兄が怪我をしていないかということばかりを、必死に心配していました。

募る後悔と切なる願い

星が抱いていた、あまりにも深く、そして自己犠牲的な愛情を知れば知るほど、兄たちの心に刻まれる後悔の念は、深く、そして濃くなっていくばかりです。

次兄・勛が、もはや天には届くことのない、切なる願いを、か細い声で口にします。

「ビョル…お願いだから、早く帰ってきてくれ。そして、俺の口から、直接伝えさせてほしいんだ。お前の願い通り、俺の目は、もうちゃんと治ったんだって…。」

星が、他の何よりも、心の底から願っていた、兄の目の回復。その何物にも代えがたい喜びの報告を、一番に伝えたかった最愛の妹は、もう、この世界のどこにもいないのです。

すると、三兄の哲が、何かを思い出したかのように、突然立ち上がって言います。

「兄さん、俺、スクラップブックを持ってくるよ。俺たちが、一緒に作った、あの10年間の思い出が、そこに全部、詰まっているはずだから。」

10年間という、かけがえのない時間が詰まった、思い出のスクラップブック。それは、この家族が、確かに幸せであった頃の、輝かしい歴史そのものでした。しかし、それもまた、今となっては、二度と取り戻すことのできない、失われた過去の遺物でしかありません。

発見されたもう一つの封筒

まさにその時、長兄の珉が、もう一つの見慣れない封筒の存在に気づきます。

「これは…一体、何だ?」

それは、第11話で、珉が一度は手に取りながらも、突然の騒ぎによって、中身を確認することができなかった、あの忌まわしい封筒でした。

兄たちは、その一通の封筒から、これまで感じたことのない、不穏な空気を直感的に感じ取ります。星の、優しく、温かい手紙とは、明らかに違う、どこか事務的で、そして氷のように冷たい印象を与える、その封筒。

物語は、兄たちが、ついに、「星眠計画」に関する全ての書類が入った、運命の封筒に気づいてしまったところで、静かに幕を閉じます。星が払った、あまりにも大きな自己犠牲の全てが、今、白日の下に晒されようとしています。そして、この一通の封筒こそが、彼らにとっての、本当の地獄の始まりを告げる、弔いの鐘となるのです。

【さよならお兄ちゃん】第19話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回の第19話は、星が抱いていた、あまりにも健気で、そして涙ぐましいほどの愛情が、兄たちの心を、これでもかというほどに容赦なく抉っていく、読んでいて非常に辛く、そして胸が痛む回でした。

ラベンダーの匂い袋、胃に優しい特別な食事、そして、自らが火傷を負ってまで、兄を守ろうとした、あの日の行動。星は、常に、自分自身のことよりも、愛する兄たちのことを第一に考え、その幸せのためだけに行動していました。しかし、その計り知れないほどの愛情は、兄たちには全く届いていなかった。いや、もしかしたら、心のどこかでは届いていたのに、彼らが、見て見ぬふりをし続けていたのかもしれません。このあまりにも悲しい事実が、この物語の根底にある、深い絶望を際立たせています。

特に、星が、火傷を負いながらも、必死に料理を続けたり、慣れない手つきで裁縫をして、何度も指を刺したりする、過去の映像が、彼女の不器用さと、それでもなお、兄たちを深く思う、その強い気持ちを象徴しているようで、涙が止まりませんでした。

「ビョル、早く帰ってきて。直接伝えたいんだ。目はもう治ったって」という勛の言葉は、この物語全体を通しても、最も悲しく、そして切ないセリフの一つかもしれません。星が、誰よりも、何よりも聞きたかったであろう、その一言を、もう、彼女に直接伝えることは、永遠にできないのです。この取り返しのつかない後悔が、これからの勛の人生を、一生、苛み続けることになるのでしょう。

そして、物語の最後に発見された、「星眠計画」の封筒。ついに、開けてはならない、パンドラの箱が、開かれようとしています。星が払った、あまりにも大きな自己犠牲の全てが明らかになった時、兄たちは、一体どうなってしまうのでしょうか。もはや、ただ後悔するだけでは済まされない、本当の意味での「償い」が、彼らには厳しく求められるはずです。

星が、その手紙の中で、「心を込めてみんなを愛する」と書いた通り、彼女の愛は、紛れもなく本物でした。しかし、その愛は、あまりにも一方的で、そして、あまりにも自己犠牲的でした。本当の愛とは、ただ一方的に与えるだけでなく、相手にきちんと受け取ってもらって、初めて完成するものなのかもしれない。そんなことを、深く考えさせられる回でした。

【さよならお兄ちゃん】19話のネタバレまとめ

  • 星が残した手紙の続きには、兄たち一人ひとりに対する、具体的で、そして深い愛情の形が綴られていました。
  • 長兄・珉のためには、彼の安眠を願ってラベンダーの匂い袋を、三兄・哲のためには、彼の胃の調子を気遣って、特別な食事を作っていたことが明らかになります。
  • 次兄・勛のためには、「私の全てを捧げてでも、お兄ちゃんの目を治したい」と心から願い、実際に、過去には火傷を負ってまで、彼を庇っていたという、自己犠牲的な行動が描かれます。
  • 星が抱いていた、あまりにも深く、そして健気な愛情を知った兄たちは、その後悔の念に、さらに深く苛まれることになります。
  • 長兄の珉が、かつての「心のポスト」の中に、星の手紙とは別に、もう一つの封筒が入っていることを発見します。
  • 物語の最後、その封筒には、星の運命を決定づけた、「星眠計画」に関する全ての書類が入っていることが、強く示唆されます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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