【さよならお兄ちゃん】37話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 星のビデオメッセージを聞きながら、三男の哲はかつての星との温かい記憶を思い出していました。
  • 星はメッセージの中で両親への感謝と、そして実の娘が見つかったことへの祝福の言葉を述べました。
  • しかしその言葉の裏側には深い諦めと絶望が隠されており、彼女は「もう夢から覚めたから私も去らなきゃ」と自らの死を示唆しました。
  • そして物語の最後、星は「来世ではもう二度と家族として会わないように」というあまりにも悲しく、そして残酷な最後の願いを口にし、その言葉を聞いた家族はただ泣き崩れるしかありませんでした。

【さよならお兄ちゃん】第37話をネタバレありでわかりやすく解説する

星が遺した最後のビデオメッセージ。その映像が終わった後、リビングは深い静寂と、言葉にならないほどの悲しみに包まれていました。家族一人ひとりの胸には、後悔という名の重い石が沈み込んでいくのを感じます。

しかし、そんな彼らの前に、全ての元凶ともいえる月が再び姿を現すのでした。月の登場は、癒えることのない悲しみに暮れる家族にとって、新たな争いの火種を投下する行為にほかなりません。そして、この出来事がきっかけとなり、誰もが予想だにしなかった、家族の根幹を揺るがすほどの真実への扉が開かれることになります。

怒りの爆発と、新たな悲劇

星のビデオメッセージが再生し終わったリビングは、時が止まったかのようでした。誰もが言葉を失い、ただ虚空を見つめ、それぞれの心の中で星への謝罪と尽きせぬ後悔を繰り返します。

そんな重く息苦しい沈黙を破ったのは、あまりにも場違いな訪問者、月(タル)でした。彼女は何食わぬ顔でリビングに現れ、まるで何もなかったかのように振る舞います。

その無神経な姿を目にした瞬間、三男・哲の中で抑えられていた感情の堰が切れました。

「南宮月(ナムグン・タル)!どの面下げてここに来た。全部お前のせいだ!」 怒りの形相で叫ぶと同時に、哲は月の首へと掴みかかります。その瞳には、純粋な憎しみが燃え盛っていました。突然の出来事に、父と母は我に返り、必死に息子を制止しようとします。

「やめなさい、哲!タルは、お前の妹だ。」

父親が厳しい声で諫めますが、もはや哲の耳には届いていません。

「お母さんだって、ビョルのことで胸が張り裂けそうなのよ。でも、お願いだから愚かな真似はやめて頂戴!」 母親も涙ながらに訴えかけました。

しかし、哲の怒りは一向に収まる気配を見せません。両親の言葉は、火に油を注ぐだけでした。 「死ね!」 憎悪に満ちたその一言と共に、哲は掴んでいた手を振り払い、月を力任せに突き飛ばします。

バランスを崩した彼女は、床に強く体を打ち付け、倒れ込みました。ところが、ただ転んだだけではありませんでした。「ハァ、ハァ…」と荒い息をつき、自らの胸を強く押さえて苦しみ始めたのです。そして次の瞬間には、そのまま意識を失ってしまいました。

病院での衝突

場面は、白く冷たい壁に囲まれた病院の待合室へと移ります。

消毒液の匂いが鼻をつき、重苦しい空気が家族の間に漂っていました。先に口を開いたのは父親です。 「哲、妹に対して何てことをするんだ。」 その声には、怒りよりも深い失望の色が滲んでいました。

「そうよ、ビョルを失ってしまった今、タルまで失うわけにはいかないわ!」 母親もまた、涙声で息子を責め立てます。

しかし、この期に及んでも月をかばう両親の姿に、三男の哲は、もはや冷静ではいられませんでした。彼は声を荒らげて、心の内に溜め込んでいた全てを吐き出します。

「タルがビョルに何をしたか、まだ分からないのか!散々俺たちを騙して、言葉巧みにビョルを追い詰めたんだぞ。ビョルが俺たちに失望して家を出て行ったのも、全部あいつのせいじゃないか!」

「チョル。もうそのくらいにしなさい。」 父親が再び諫めますが、哲は静かに首を横に振りました。そして、今度は落ち着いた声で、しかし揺るぎない決意を込めて言い放ちます。

「ビョルが戻ってこないのなら、俺もあいつをこの家から追い出します」

その言葉は、もはや単なる感情的な反発ではなく、彼の変わることのない意志表明でした。

医師がもたらした、新たな謎

家族の間に張り詰めた沈黙が流れていた、その時です。一人の医師が診察室から出てきて、彼らの前で足を止めました。 「娘さんは、大丈夫なのでしょうか?」 母親が心配そうに、震える声で尋ねます。

医師は厳しい表情で、手元のカルテに目を落としながら口を開きました。

「患者の容態は深刻です。心臓に先天的な問題を抱えていることが分かりました。詳しく検査したところ、遺伝性の心臓病が強く疑われます。念のため、ご家族の皆様も一度、健康診断を受けられることをお勧めします。」

その診断結果に、家族は一様に顔を見合わせます。 「うちの家系に、心臓病の持病を持つ者などいないはずだが…。」 長兄の珉が、怪訝な表情で首を傾げました。

「ええ、そうですわ。私たちは毎年、人間ドックで定期検診を受けています。もし遺伝性の病気があれば、とっくに何らかの指摘があるはずです。」

母親もまた、医師の言葉に強い不審感を抱きます。父親も同様に、腑に落ちないといった表情を浮かべていました。月の深刻な病状という事実以上に、その「遺伝性」という言葉が、家族の心に新たな、そして根深い謎を植え付けることになったのです。

【さよならお兄ちゃん】第37話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回の第37話は、星の死という大きな悲劇を乗り越える間もなく、さらなる混乱と謎が家族を襲うという、まさに息つく暇もない波乱の展開でした。

三男である哲の怒りは、多くの読者が共感するところではないでしょうか。最愛の妹を失った悲しみと、その原因を作ったとしか思えない月へのどうしようもない憎しみ。彼の「全部お前のせいだ!」という叫びは、読者の心の声を代弁していたように感じられます。もちろん、暴力という手段に訴えたことは決して肯定できません。しかし、結果的にその行為が月の命を救うきっかけになってしまったのは、何とも皮肉な展開と言えるでしょう。

一方で、両親の反応にはまたしても失望させられました。「タルまで失えない」という母親の言葉は、星を失った悲しみの深さよりも、月への執着の強さを感じさせます。彼らは星が遺した最後のメッセージから、本当に何も学ばなかったのでしょうか。その態度は、家族の溝をさらに深くするばかりです。

このような状況の中、哲の「ビョルが戻らないなら、俺もあいつを追い出します」という決意は、一筋の光のようにも思えます。彼は家族の中で唯一、星への真の愛情と忠誠を貫こうとしています。彼だけが、この崩壊しかけた家族の中で、本当の意味で星の味方であり続けようとしているのかもしれません。

そして物語の最後に投下された、月の心臓病という新たな爆弾。遺伝性の病気であるにもかかわらず、家族の誰にもその病歴がないという明らかな矛盾。これは一体何を意味するのでしょうか。多くの読者が推測するように、月は本当の実の娘ではない可能性が濃厚になってきました。あるいは、家族が知らない、また別の秘密が出生の裏に隠されているのかもしれません。物語は最終局面に向けて、悲劇の先に待つ真実へと、大きく舵を切り始めたことを感じさせる一話でした。

【さよならお兄ちゃん】37話のネタバレまとめ

  • 星が遺したビデオメッセージを見終わった直後、リビングに月が現れたことで、三男の哲が激怒して彼女に掴みかかる事態に発展しました。
  • 哲は月を突き飛ばし、その衝撃で彼女は心臓発作のような症状を起こして意識を失い、病院に搬送されることになります。
  • 病院で、両親は哲の行動を厳しく叱責しますが、哲は逆に「ビョルが戻らないなら、俺もあいつを追い出す」と、月を家族と認めない強い決意を示しました。
  • 医師の診断により、月が遺伝性の先天的な心臓病を患っていることが判明します。しかし、家族の家系には心臓病の病歴が一切ないことから、月の出生に関する新たな謎が浮上しました。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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