【さよならお兄ちゃん】43話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 星が遺した「最後の贈り物」は、兄たちには温かい思い出の品が、そして両親には「養子縁組解除通知書」という衝撃的な書類でした。
- 長兄・珉と次兄・勛は、贈り物を通して星との過去を思い出し、彼女の信頼と優しさを裏切った自分たちの罪を自覚し、後悔に打ちひしがれます。
- 三男・哲もまた、手作りのレシピ帳を手に、星の真心を踏みにじったある日の出来事を思い出し始めていました。
【さよならお兄ちゃん】第43話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、星が遺した品々によって、兄たちは次々と思い出と罪の記憶を呼び覚まされました。今回は、三男・哲の後悔の記憶がさらに深掘りされると共に、ついに両親が自分たちの犯した最大の過ちと向き合うことになります。幸せだったはずの始まりの記憶が、今、最も残酷な刃となって彼らに突き刺さるのです。
覆水盆に返らず「三男の罪」
床に散った真心
前回、手作りのレシピ帳を手に、星がお粥を作ってくれた日のことを思い出していた三男・哲。彼の回想は、最も見たくない、決定的な場面へと続いていました。
「お兄ちゃん、食べていって」と差し出されたお粥。しかし、月の言葉を優先した彼は、その手を乱暴に振り払ってしまいます。 「余計なことするな…ったく」
その瞬間、星の真心がこもったお粥は、音を立てて床へと落下し、見るも無惨に散らばっていきました。呆然と立ち尽くす星の、傷ついた瞳。哲は、その時の光景から目をそらすことができません。星の優しさを、彼は自らの手で物理的に叩き落としてしまったのです。
届かない謝罪
温かいはずの思い出は、今や彼の心を締め付ける最も冷たい記憶となっていました。回想から現実に引き戻された哲は、レシピ帳を握りしめ、嗚咽を漏らします。 「どうか、戻ってきてくれ…謝るチャンスを、もう一度だけ俺にくれ…。」
しかし、その願いが叶うことはありません。彼が犯した過ちは、もう謝罪することすら許されない、取り返しのつかないものとなってしまったのです。床に散ったお粥のように、一度こぼれてしまった真心は、二度と元の形には戻らないのでした。
両親の記憶「光と闇の日々」
兄たちがそれぞれの罪に沈む中、父親は「養子縁組解除通知書」を見つめながら、静かに、しかし深く、自らの過ちを噛み締めていました。
「どうして、あんなことを言ってしまったんだろう。俺は、大きな間違いを犯した。他人の言葉を信じて、自分の娘を傷つけてしまった…。」
その独白をきっかけに、両親の脳裏には、星と共に過ごした日々の記憶が、鮮烈な光と闇のコントラストをもって蘇り始めます。
「今日から家族だよ」- 幸せの始まり
最初に思い浮かんだのは、希望に満ち溢れた、あの日。孤児院にいた小さな星を、家族として迎え入れた日の記憶でした。
「あなたがビョルね。今日から、私があなたのお母さんになってあげるわ。」 母親は、緊張した面持ちの少女に、精一杯の愛情を込めて語りかけました。父親もまた、優しい笑顔で続けます。 「俺はお父さんだ。これからは、俺たちが君の家族なんだよ。」
確かに、始まりは愛と希望に満ちていました。血の繋がりはなくとも、本当の家族になろうと、彼らは心から願っていたはずなのです。この温かい記憶こそが、彼らが星を愛そうとしていた何よりの証拠でした。
「お前とはもう何の関係もない!」- 悪夢のパーティー
しかし、その幸せな光の記憶は、一瞬にして最も暗い悪夢の記憶によってかき消されます。月の誕生日パーティーの日。月の嘘を完全に信じ込み、星を断罪した、あの日の光景です。
「私たち、一体何をしたっていうの…?」 母親は、星を罵倒する自分の姿を思い出し、信じられないといった様子で呟きます。父親に至っては、実の娘に向かって、家族の縁を切る言葉を投げつけていました。 「この性悪女め!今日から、我が家はお前とはもう何の関係もない!」
罪の記憶に溺れる
「家族になろう」と誓ったその同じ口で、娘に勘当を言い渡す。幸せの絶頂から、絶望のどん底へ。このあまりにも残酷な記憶の落差は、両親の心を完全に打ち砕きました。
母親の「私たち、何をしたっていうの?」という言葉は、単なる疑問ではありません。自分たちが犯した罪のあまりの重さに、正気では耐えられず、もはや現実を拒絶しかけている悲痛な叫びなのです。
星を家族として迎え入れたのも、そして星を家族から追い出したのも、他の誰でもない自分たち自身。この動かしようのない事実に、彼らはこれからどう向き合っていくのでしょうか。物語は、家族全員が自らの罪を自覚し、本当の意味での「贖罪」という、長く、そして終わりの見えない道へと足を踏み入れたのです。
【さよならお兄ちゃん】第43話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、前回の兄たちに続き、三男と両親の後悔が深く描かれる、非常に静かで、しかし心の奥底にずっしりと響くエピソードでした。家族全員の「罪の告白」がこれで出揃い、物語のひとつの区切りを迎えたような印象を受けます。
三男がお粥を払いのけるシーンは、本当に象徴的でした。あれは単にお粥をこぼしたのではなく、星の「真心」そのものを床に叩きつけた行為に他なりません。「謝るチャンスをくれ」と泣き叫ぶ彼の姿には、自業自得だと思いつつも、取り返しのつかないことをしてしまった人間の、どうしようもない悲しみが表れていて、見ていて辛かったです。
そして、何よりも心を抉られたのが、両親の回想シーンです。星を家族に迎えた日の、あの温かく希望に満ちた光景。あれがあったからこそ、星を勘当した日の記憶が、より一層、暗く、そして残酷に感じられました。同じ人間が、同じ愛情を注ぐはずの対象に、なぜあそこまで冷酷になれてしまうのか。人間の心の脆さや、一度疑心暗鬼に陥った時の恐ろしさを見せつけられたようで、深く考えさせられました。
星が用意した「養子縁組解除通知書」と、両親の「家族になった日」の回想。この二つが同じ話数で描かれることで、星が失ったものの大きさと、両親が裏切った約束の重さが、何倍にもなって読者に突き刺さります。彼らの贖罪は、本当にここから始まるのですね。あまりにも重い十字架ですが、目をそらさずに見届けたいと思います。
【さよならお兄ちゃん】43話のネタバレまとめ
- 三男・哲は、星が心を込めて作ったお粥を床にぶちまけてしまった過去を思い出し、謝る機会すら失われたことを深く嘆きました。
- 父親もまた、偽物の娘(月)の言葉を信じ、実の娘である星を傷つけてしまったという、自らの大きな過ちをはっきりと認めます。
- 両親は、星を温かく家族に迎えた幸せな日と、彼女を罵倒し勘当した最悪の日という、対照的な二つの記憶を回想し、その落差に苦しみます。
- 家族全員が、それぞれが星に対して犯した取り返しのつかない罪を自覚し、後悔の念に深く沈んでいくのでした。
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