【枯れた花に涙を】55話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 蓮は樹里に激しいキスをした後、「今度にします」と彼女の誘いを初めて断り、その場を去る。
- 樹里は、蓮から「知らない女性ものの香水の香り」がしたことに気づき、浮気の疑惑を抱く。
- その後、樹里は偶然出会った女性から、その香りが「男女兼用」だと知り、少しだけ安堵する。
- 蓮は部下から元夫・鉄平の現状報告を受け、彼との対決を決意し、「警戒を解くなよ」と命じる。
【枯れた花に涙を】第55話をネタバレありでわかりやすく解説する
前話、蓮が元夫・鉄平との対決を決意した一方、樹里は蓮への疑惑をわずかに晴らし、安堵しました。しかし第55話では、その安堵が残酷な嘘によって打ち砕かれます。蓮が意図的についた「香水」の嘘。その裏には、樹里を想うがゆえの、あまりにも切なく自己破壊的な決意が隠されていました。すれ違う二人の心と、それぞれの食卓が、物語の悲劇性を浮き彫りにします。
歪んだ愛情の食卓―鉄平の、忘れられない味
物語は、鉄平が現在の同棲相手の女性と、仕事帰りに夕食の相談をしている場面から始まります。彼の何気ないリクエストが、彼の心が未だに樹里に囚われていることを示していました。
「家で作ったやつ食べたい」
鉄平は、外食やデリバリーではなく、「家で作ったやつ食べたい」と、手料理をリクエストします 。その言葉に、同棲相手の女性は「これってもしかして…結婚のサイン?」と胸をときめかせ、腕を振るって料理を始めました 。しかし、キッチンから味見を頼む彼女に対し、鉄平はスマホに視線を落としたまま「適当でいいよ」と無関心な態度 。そして、彼女の努力を無下にするように、「樹里はささっと作ってたぞ?」と、無神経に元妻と比較するのでした 。
独りよがりな夫の戯言
樹里からの連絡が途絶えていることに苛立ちながらも、鉄平は「きっと携帯が壊れでもしてんだろ」と高を括っています 。心の中では、自分を「旦那」と称し、「旦那が飢え死にしそうだってのに…」と、樹里が自分を心配して当然だという、独善的な思考に囚われていました 。
その後、同棲相手が作った心のこもった料理を食べても、彼が思い出すのは「樹里は人参抜いてくれるのに」ということばかり 。結局、一口食べただけで「食欲なくてさ」と席を立ち、彼女と口論の末に家を飛び出してしまうのでした 。
あなたを想う買い物と、消えない疑惑の香り
その頃、樹里はスーパーで一人、食材をカートに入れていました。蓮を想う気持ちと、拭いきれない疑念が、彼女の心の中で渦巻いていました。
揺れる心と、高価な肉
樹里は、蓮が好きな肉を1キロもカゴに入れます 。最近スーツ姿で仕事に励む彼を思い浮かべ、聞きたいことは山ほどあるのに、何も聞けない自分にもどかしさを感じていました 。彼の「今度にします」という言葉が、ただの言い訳で、本当は自分に会いたくないだけではないか 。あの夜の自分の服装が地味だったからではないか 。過去に鉄平から受けた心無い言葉も蘇り、彼女は自己嫌悪の渦に飲み込まれていきます 。
どうせ彼は今日も来ないかもしれない。それでも、「あなたに何かをしてあげたい気持ち」をどうしても止められず、高価な肉を買ってしまうのでした 。
偶然の再会と、一つの質問
買い物を終えた樹里は、偶然にも店の前で蓮と遭遇します。最近よく見るスーツ姿の彼からは、やはりあの香水の香りがしました 。これは体だけの関係なのだから、こんなことを気にしてはいけない。そう自分に言い聞かせながらも、彼女は抑えきれない気持ちのまま、ついに核心に触れる質問を口にします。
「ねぇ もしかして…香水変えた…?」
「変えてません」―心を抉る、蓮の残酷な嘘
樹里の勇気を振り絞った質問に対し、蓮の答えは、彼女の最後の希望さえも打ち砕く、冷たくて残酷なものでした。
意図的な嘘と、彼の本心
蓮は、樹里の目を真っ直ぐ見て、はっきりとこう告げます。
「いいえ 変えてません」
その毅然とした声は、あの香りが他の誰かのものだと断定するには十分すぎるものでした 。ショックでうなだれる樹里。しかし、その背後で、蓮は心の中で全く違うことを考えていました。
「やっと聞いてきたね」
実は、あの香水は、蓮が意図的につけていたものだったのです。
「突き放す方法がわからず つけてみたけど 思ったより…効果的だ」 。彼女の悲しむ顔を見るたびに胸を痛めながらも、彼は自らが「どん底」にいるがゆえに、彼女を自分から引き離そうと、残酷な嘘をつき続けていたのでした 。
「今夜は泊まらせてください」―涙の結末への序章
傷心のまま自宅へと向かう樹里。その後ろを、蓮は静かについていきます。そして、彼女の家の前で、彼は驚くべき言葉を口にしました。
突然の申し出
樹里が「気をつけてね」と別れを告げようとしたその時、蓮は「食べていきます」と、彼女の夕食の誘いを受け入れます。驚く樹里に、彼は「はい 今日です」と静かに告げると、こう続けました。 「ずっと我慢してたんです…今夜は泊まらせてください」
彼のこの行動は、単なる感情的なものではありませんでした。
鉄平への宣戦布告と、涙の結末の予言
蓮の心の中では、樹里を苦しめ続ける元凶、鉄平への冷徹な復讐計画が最終段階に入っていました。鉄平を社会的に破滅させることが、回り道をした末に樹里へと捧げる、蓮からの「最初の贈り物」なのです。
「もうあまり時間がない」と、彼は計画の実行が近いことを確信します。そして、この物語における鉄平との対決の結末を、彼はこう断言するのでした。「決まってるだろ?お前(鉄平)が涙をこぼす結末さ」。
蓮が樹里のそばにいると決めたのは、彼女を守り抜き、同時に鉄平を地獄に突き落とすという、固い決意の表れだったのです。
苛立つ鉄平と、涙の結末の予言
その頃、同棲相手の家を飛び出した鉄平は、樹里への連絡が全くつかないことに激しく苛立っていました。彼女が誰か他の男としつこく電話しているのではないか、という妄想に駆られます。
「電話したって出る人なんていないのに」
彼の心は、樹里を取り戻すという歪んだ執念に燃えていました。
【枯れた花に涙を】第55話を読んだ感想(ネタバレあり)
胸が張り裂けそうになる、あまりにも切ない回でした。鉄平の自己中心的な言動はもはや滑稽で哀れですらありましたが、それ以上に蓮と樹里のすれ違いが痛々しくて、読んでいて涙が出そうになりました。 特に衝撃だったのは、蓮が「樹里を突き放すため」に、意図的に他の女性の香水をつけていたという事実です。彼女を愛しているからこそ、自分がいる「どん底」から彼女を遠ざけたい。
その一心で、自分の心も相手の心も傷つけるという、あまりにも悲しい選択。彼の不器用で自己破壊的な愛情の形に、言葉を失いました。 しかし、ラストでその全ての行動の意味が反転します。彼の「涙をこぼす結末」という言葉の対象が、樹里ではなく鉄平に向けられたものであるとわかった瞬間、鳥肌が立ちました。
彼が樹里のそばにいると決めたのは、復讐の最終段階において彼女を間近で守り抜くため。そう考えると、彼の全ての不可解な行動が、壮絶な覚悟の裏返しだったのだと理解できます。これは、甘い恋愛物語ではなく、愛する人を守るために全てを懸ける男の、壮大な復讐劇なのだと改めて感じさせられました。
【枯れた花に涙を】第55話のネタバレまとめ
- 鉄平は同棲相手に手料理を要求するも、出来上がった料理を樹里の味と比較し、結局口論の末に家を飛び出す。
- 樹里は蓮のために高価な肉を買い、その帰り道で蓮と遭遇する。
- 樹里は勇気を出して蓮に香水のことを尋ねるが、蓮は「変えてません」と嘘をつく。
- 蓮のモノローグで、香水は樹里を自分から遠ざけるために意図的につけていたことが明かされる。
- 別れ際、蓮は突然「食べていきます」「今夜は泊まらせてください」と告げ、樹里を驚かせる。
- 蓮の心の中では、鉄平を破滅させ「涙をこぼす結末」を与えるという、復讐計画が最終段階に入っていた。
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