【枯れた花に涙を】58話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 蓮は鉄平が樹里の家に来ることを予測し、部下の譲二を配備して罠を張る 。
  • 鉄平は合鍵で樹里の部屋に侵入し、半裸の蓮と遭遇して激昂する 。
  • 譲二が借金取りを装って介入し、鉄平を精神的に追い詰め、樹里はここにいないと嘘をつき追い返す 。
  • 譲二は鉄平に「お前の嫁ならお前が捜せ ボスにとられる前にな」と告げ、新たな恐怖を植え付ける 。

【枯れた花に涙を】第58話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話、蓮と譲二の完璧な連携によって、心身ともに打ちのめされた鉄平。第58話では、その後の三者が描かれます。穏やかな時間を過ごす樹里と蓮、雨に打たれ絶望する鉄平、そして、鉄平を追い詰めた蓮の心に宿る、愛ゆえの恐ろしい狂気が明らかになる、衝撃的な回です。

穏やかな寝顔と、迫り来る雨雲

物語は、花屋で働く樹里の視点から始まります。蓮からの返信を待つ彼女の心は、穏やかな不安に包まれていました。

待ちくたびれて寝ちゃったかしら

樹里は、蓮からの返信が途絶えているのを見て、「もしかして待ちくたびれて寝ちゃったのかしら…」と、優しく微笑みます 。彼女は昨夜の光景を思い出します。彼女のベッドでは、蓮が安らかな寝息を立てていました 。その無防備な寝顔に、樹里は「こうやってみるとやっぱり子どもね」と感じ、愛おしそうに彼の髪を撫でるのでした 。

雨に打たれる敗者―鉄平の、孤独と混乱

その頃、鉄平は冷たい雨の中を、当てもなくさまよっていました。蓮に殴られた顔の傷、そして心に受けた屈辱が、彼を混乱の渦へと突き落とします。

借金取りの正体への疑念

鉄平は、先ほどの男たち(蓮と譲二)が本当に借金取りだったのか、疑念を抱き始めていました 。なぜなら、金目のものなど何もない、あのボロ家を荒らす理由がわからないからです 。

雨に打たれながら、彼は必死に樹里へ電話をかけ続けますが、返ってくるのは無機質な自動音声だけ 。その声が、彼の孤独と絶望をさらに深めていくのでした。

帰るべき場所

鉄平は、自分が今いる同棲相手の部屋を「俺の帰る場所はここじゃないだろ」と認識し、自分の本当の居場所は「樹里と俺の家」なのだと、再び執着を強めます 。しかし、譲二の「あの女ならここにはいないぜ」という言葉が脳裏をよぎり、彼女をどうやって探せばいいのか分からず、途方に暮れてしまうのでした 。

「殺しちゃおうかな」―蓮の、愛と狂気の独白

場面は、鉄平を追い返した直後の、樹里の部屋へ。譲二との会話の中で、蓮の心に秘められた、純粋で危険な愛情の正体が明らかになります。

全ては計算された作戦

譲二は、尾行から焼き肉屋のバイト、そして今回の借金取りの芝居まで、一連の蓮の行動を振り返り、「こんなことして楽しいですか?」と問いかけます 。蓮の独白によれば、彼はずっと自分の正体(財閥の御曹司であること)を隠し、樹里と同じ「貧しくて恵まれない男」を演じてきました 。

それは、彼女が警戒心を抱かずに済むように、という彼なりの配慮。しかし、その嘘には限界がありました。譲二は、「夫婦の縁というのは思ったよりずっとしぶといんですよ」と、鉄平との関係が簡単には切れないことを指摘します 。

その言葉に、蓮の心の奥底に眠っていた黒い感情が、静かに顔を覗かせました。

あぁ…やっぱり殺しちゃおうかな

嫉妬という名の痛み

蓮は、鉄平を殺せば、樹里が永遠に自分のものになる、と考えてしまいます 。しかし、彼を苦しめるのは、もし自分が鉄平に半殺しにされたとしても、樹里は自分よりも鉄平の傷を心配するのではないか、という嫉妬心でした。

あいつの傷に心を痛めるあなたを想像すると…痛い」 。彼の狂気的な独占欲は、樹里への深すぎる愛情と、彼女を失うことへの恐怖心から生まれていたのです。

「何かあったんだわ」―樹里の、確信と疾走

物語の終盤、全ての視点が再び一つに収束していきます。

降りやまぬ雨と、胸騒ぎ

仕事を終えた樹里は、雨の中、蓮からの返信がないことに胸騒ぎを覚えていました 。

彼女は、過去に雪の中で自分を待っていてくれた蓮の姿を思い出し、「私の知ってるあなたならきっと迎えに来るって」と、確信します 。そして、彼が迎えに来ないということは、「やっぱり何かあったんだわ」と、嫌な予感が的中したことを悟り、急いで自宅へと引き返すのでした 。

部屋に残された異変

アパートの前に着いた樹里が目にしたのは、泥だらけの足跡と、脱ぎ捨てられたスリッパ。そして、わずかに開いたドア。彼女は最悪の事態を想像し、震える声で蓮の名前を呼びながら、部屋へと駆け込むのでした

【枯れた花に涙を】第58話を読んだ感想(ネタバレあり)

息をすることも忘れるほど、濃密で、そして恐ろしい回でした。穏やかに眠る蓮を見守る樹里のシーンから始まっただけに、その後の展開との落差に愕然としました。 特に、蓮のモノローグは圧巻でした。彼がこれまで樹里に見せてきた姿は、全て計算された「演技」だったこと。そして、その愛情が深すぎるがゆえに、「鉄平を殺してしまおうか」という狂気にまで達していること。

彼のキャラクターが持つ光と闇のコントラストが、これまでで最も色濃く描かれたのではないでしょうか。彼は聖人なのか、それとも怪物なのか。その境界線が曖昧になっていく様に、ただただ引き込まれました。 そして、ラストの樹里の疾走シーン。彼女の直感が、ついに真実の扉を開けようとしています。

部屋の中で彼女を待つのは、一体どんな光景なのか。蓮は無事なのか。次週、物語が大きく動くことは間違いありません。これほどの緊張感と期待感を抱かせたまま終わるなんて、本当に見事な構成だと感嘆しました。

【枯れた花に涙を】58話のネタバレまとめ

  • 樹里は、自分の部屋で眠る蓮の寝顔に安らぎを感じる。
  • 蓮と譲二に追い返された鉄平は、雨の中をさまよい、樹里への執着と混乱を深める。
  • 蓮は譲二との会話で、鉄平を殺害したいという狂気的な独占欲を吐露する。
  • 蓮のこれまでの行動は、樹里に正体を隠し、彼女に近づくための計算された演技であったことが明かされる。
  • 蓮からの連絡が途絶えたことに異変を感じた樹里は、自宅へと急いで戻り、部屋の前の異様な状況に気づく。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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