【みんなは贅沢というけれど】4話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 近所の噂や目撃情報から、亜季が夜な夜な出歩き、夫の渉が心配して迎えに来るという奇妙な夫婦関係が明らかになりました。
  • 巧巳の婚約者・紗江は亜季を直接問いただし、亜季の目的が「夫・渉の知られざる一面」について親族から話を聞き出すためだったことを突き止めます。
  • 亜季の口から、結婚後に義母からの過干渉が原因で、渉が「あのババア」などと暴言を吐き、普段の穏やかな姿からは想像もつかない『もうひとつの顔』を見せたことが語られました。
  • 亜季の不可解な行動は、夫の豹変に対する恐怖と不信感から来ていたのです。

【みんなは贅沢というけれど】第4話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、ついに明かされた亜季の行動の動機。それは、夫・渉が見せた「もうひとつの顔」への恐怖からでした。第4話では、その恐怖の根源である渉の過去が、さらに深く、そして痛々しく掘り下げられていきます。妻、いとこ、そして渉自身の口から語られる真実は、夫婦をどこへ導くのでしょうか。

SIDE: 貴島紗江 – 妻の告白と真実

繰り返される夫の暴力

物語は、カラオケボックスでの亜季の告白の続きから始まります。紗江の問いかけに、亜季は静かに語り続けます。渉が母親に激昂し実家へ乗り込んでいったあの日、彼は深夜になるまで帰ってきませんでした。 その後、豹変は一度きりで、しばらくは何事もなく平和な日々が続いていたといいます。

しかし、その平穏は3ヶ月ほど前に破られます。 再び、書斎から激しい物音が聞こえるようになったのです。 亜季が駆けつけると、渉は「ゴキブリが 出てっ…」などと、明らかに嘘とわかる言い訳でごまかそうとします。

そんなことが何度も繰り返され、亜季は気づいていました。渉がいくらごまかそうとしても、書斎の床の傷は確実に増えていることに。

夜遊びの本当の理由

渉が再び荒れるようになったことで、亜季は夜な夜な家を空けるようになります。 それは、彼を刺激しないようにという配慮であると同時に、「これで心置きなく暴れれば いいじゃない…って 当てつけの意味もあったの」という、悲しい抵抗でもありました。

しかし、迎えに来る渉の心配そうな顔を見るうちに、亜季は気づきます。 渉自身が一番、自分の行動に動揺し、怯えているのだと。 このままではいけない。亜季は、渉が暴れる原因は義両親との関係にあると確信し、親族である巧巳に話を聞きたかった、と改めてその真意を紗江に打ち明けるのでした。

事情をすべて理解した紗江は、亜季に深く謝罪します。「暇を持て余した 人妻が従弟を ダシにして 私の恋人を誘惑 しようとしてる とか…」と、自分の浅はかな勘違いを恥じ、亜季の話を必ず巧巳に伝えると約束するのでした。

SIDE: 市川巧巳 – 親族が語る歪んだ親子関係

誤解への深い後悔

紗江からすべての事情を聞いた巧巳は、言葉を失います。自分が亜季に対して抱いていた「心証最悪…」という評価が、いかに見当違いであったかを思い知らされ、「呪って埋まりたい」と激しく後悔するのでした。

子供の頃から大人しく、親の言うことをよく聞く優等生だった渉。 そんな彼が暴れる姿など、巧巳には想像もつきません。 真相を確かめるため、巧巳は意を決して、自分の母親(渉の叔母)に電話をかけます。

父の嫉妬と母の呪縛

電話口の母親から語られたのは、衝撃的な事実でした。渉が暴れるようになったのは、中学生の頃から。 原因は、父親による過度な勉強の強要でした。

さらに、問題はそれだけではありませんでした。渉の父親は二級建築士であり、息子の渉が一級建築士の資格を取ったことに嫉妬し、父子の関係は決定的にこじれてしまったのです。

そして母親は、亜季の話を裏付けるように、渉が結婚後、実家に乗り込んできて大暴れした一件についても語ります。 義母が亜季に「子供産め」と言ったことに激怒した渉は、「うちの家族に 関わるな」と怒鳴りつけたというのです。 これで、渉が抱える問題の背景が、ほぼ明らかになりました。

SIDE: 倉田渉 – 教育虐待という名の「亡霊」

亡霊の正体

物語は、ついに渉自身の視点へ。彼は同僚との飲み会で、自らの苦しみをこう表現します。

昔…俺を苦しめてきた 亡霊が実体化した

彼の口から語られたのは、「教育虐待」と呼ぶべき壮絶な過去でした。 テストで満点を取るのが当たり前で、褒められることもない日々。 中でも彼を最も苦しめたのは、母親がことあるごとに、いとこである巧巳と自分を比較し、貶めてきたことでした。

「巧巳くんはサッカー やりながら学年で トップですって」「それに比べて おまえは…」

文武両道で誰からも好かれる巧巳は、渉にとって「常に側で俺を苦しめる 亡霊みたいな存在」となっていたのです。

フラッシュバックと妻への恐怖

最近まで会うこともなくなり、ようやくその苦しみから解放されかけていた渉。 しかし、その巧巳が転勤で近くに越してきて、「仲よくしような」と悪気なく近づいてきたことで、封印していた過去の記憶がフラッシュバックするようになってしまいます。

感情がコントロールできなくなり、昔のように暴れてしまう自分。渉は「いつか亜季を 傷つけてしまいそうで 怖い…」と、同僚に本音を吐露します。 同僚は、それは病気だと諭し、心療内科へ行くことを強く勧めるのでした。

運命の着信音

そして物語は、運命の瞬間を迎えます。帰宅した渉がリビングに入ると、そこに置きっぱなしになっていた亜季のスマートフォンが鳴り響きます。ディスプレイに表示された名前は、「市川巧巳」。

渉がそのスマホを手に取り、2階にいるであろう妻のもとへ向かおうとした、まさにその時。2階から「ガシャン」と何かが割れる音と、亜季の悲鳴が聞こえます。 妻を苦しめる「亡霊」の名が着信履歴に光り、妻の身に何かあったことを知らせる物音が響く。この最悪のタイミングが、彼の心を絶望の淵へと突き落とすことを予感させ、物語は冒頭の離婚宣告へと繋がっていくのでした。

【みんなは贅沢というけれど】第4話を読んだ感想(ネタバレあり)

第4話は、息をするのも忘れるほど引き込まれました。渉が抱える闇の正体が「教育虐待」と、いとこへの強烈なコンプレックスだったことが明らかになり、彼のこれまでの行動の全てに納得がいきました。親からの過度な期待、嫉妬、そして兄弟や親戚との比較。これは決して漫画の中だけの話ではなく、現実にも起こりうる非常に根深く、そして残酷な問題だと感じ、読んでいて胸が締め付けられる思いでした。

特に、渉が巧巳のことを「亡霊」と表現したシーンは、彼の苦しみの深さを物語っていて強烈に印象に残っています。悪気のない善人である巧巳が、渉にとってはトラウマを刺激するトリガーになってしまうという皮肉な関係性が、この物語の悲劇性をより一層高めていると感じます。

また、亜季への見方も完全に変わりました。彼女はただの贅沢な妻ではなく、夫の異変に気づき、彼を救おうと必死にもがいていたのですね。彼女の不器用な愛情の示し方が、結果的に夫婦の溝を深めてしまったのかもしれないと思うと、非常に切ない気持ちになります。

そして、最後の引きが本当に秀逸でした。亜季を心配する巧巳からの善意の電話が、まさに最悪のタイミングで、渉の疑念とトラウマを爆発させる引き金になってしまう。物語の冒頭で提示された「離婚してくれ」というセリフの瞬間に、いよいよ追いついてしまうのかと思うと、次回の展開から目が離せません。

【みんなは贅沢というけれど】第4話のネタバレまとめ

  • 亜季の告白により、渉の暴力が3ヶ月前から再発していたこと、そして亜季が彼を刺激しないために夜な夜な外出していたことが判明します。
  • 亜季への誤解を解いた巧巳は、母親に連絡し、渉が父親から嫉妬されていたことや、母親から常に巧巳と比較され続けたことで、中学生の頃から家庭内で暴れていたという過去を知ります。
  • 渉自身も同僚に、巧巳が近くに越してきたことで「教育虐待」のトラウマがフラッシュバックし、感情がコントロールできなくなっている恐怖を告白します。
  • 物語の最後、帰宅した渉が、亜季のスマホに巧巳から着信があったのを目撃した直後、2階から物音が聞こえ、最悪の誤解が生まれることを予感させる形で幕を閉じます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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