【本物のファンは私だけ】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【本物のファンは私だけ】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する

自称”最推し”のプライド

物語は、2.5次元舞台を中心に活躍する若手俳優・鷲尾直也(わしお なおや)のファンである中川麻衣(なかがわ まい)が、彼の舞台会場を訪れる場面から始まります 。彼女は、今まさに人気が急上昇している鷲尾くんの「最推し」、つまり自分がナンバーワンのファンであると自負しています 。

会場には多くのファンが集まっていますが、麻衣は周囲のファンを心の中で見下している様子です。新規のファンが基本的なことも知らない様子を見ては「この場にふさわしくない女ばっか」と断じ、自分こそが本物のファンであるという意識を強く持っていることが伺えます 。

彼女のプライドの源泉は、その応援の仕方にありました。会場に飾られた多くのフラワースタンド(ファンが俳優に贈るお祝いの花)の中でも、ひときわ目を引く美しいものを麻衣は贈っていました 。

友人たちが「綺麗なフラスタ!」と褒めると、麻衣は得意げに「ファンならフラスタを贈って当然でしょう?」と語ります 。

完璧なファンであるための”こだわり”

麻衣のフラワースタンドは、ただ豪華なだけではありませんでした。彼女は、今回の舞台で鷲尾くんが演じる「紫電(しでん)」というキャラクターのイメージに合わせて、あえてキラキラした可愛い系ではなく、シンプルで洗練されたデザインを選んだと語ります

飾り紐の結び方までキャラクターと同じにするという、非常に細かい部分にまでこだわっているのです 。この徹底したこだわりこそが、他のファンとの違いであると麻衣は考えています。彼女の心の中には、「私がいちばん推しのことわかってるのよ」という確固たる自信が存在しているのでした 。

その一方で、他のファンが贈ったプレゼントに対しては、SNSで「趣味じゃないものを贈るのは私は申し訳なくなるなあ」と投稿するなど、遠回しに批判的な態度を見せます 。彼女にとって、自分以外のファンは鷲尾くんを本当に理解していない存在のようです。

友人たちはそんな麻衣の「対抗意識がいつも香ばしい」と感じつつも、彼女の推し活への情熱には付き合っている様子です 。

麻衣は友人たちに、フラワースタンドと一緒に「鷲尾くんのいちばんのファンは私」という文字が見えるように写真を撮ってもらい、ご満悦なのでした 。

新たなファンとの出会いと取引

舞台終演後、麻衣は鷲尾くんのグッズが完売しているのを見て、「やっぱり私の見る目に間違いはなかったわ」と満足げに微笑みます 。彼女は他の俳優のファンを見下し、自分の推しが一番であるという優越感に浸っています。

そんな時、麻衣は一人の女性に声をかけられます。彼女の名前はアヤ 。アヤは服装や雰囲気から、あまり現場に慣れていないファンのように見えました 。麻衣は最初、少し警戒するような表情を浮かべます。

アヤはグッズの交換を希望しており、その取引内容が麻衣の目に留まりました。アヤは、レートが高い(人気がある)鷲尾くんのグッズを求めて、レートの低い(人気がそこまで高くない)キャラクターのグッズを複数差し出すという、初心者特有の不利な交換を持ちかけていたのです

これを好機と見た麻衣は、心の中でアヤを「いいカモになりそう」と判断します 。そして、自分も昔の鷲尾くんのブロマイド(写真)を交換に出すことで、アヤから有利な条件でグッズを手に入れることに成功しました 。麻衣にとってアヤは、自分のコレクションを充実させるための便利な取引相手に過ぎませんでした。

本物のファンと、本物の関係

麻衣は、鷲尾くんの彼女になりたいと騒ぐ他のファンたちを冷ややかに見つめ、「『鷲尾直也』はアンタらを選ぶはずない」と心の中で断言します 。自分こそが、彼の隣にふさわしい唯一のファンだと信じて疑いません。

その歪んだ自信は、私生活にまで及んでいました。麻衣は、過去に何度も騙され大金を失いながらも、インターネットの怪しげな掲示板で鷲尾くんのプライベートな連絡先を手に入れようと試みていたのです

そしてついに、彼女は鷲尾くん本人と思われるLINEアカウントを手に入れます。そのアカウントのプロフィール写真が、彼が大切にしていると公言していた稽古靴の写真だったため、麻衣は本物だと確信し、興奮を隠せません

しかし、物語の最後に衝撃の事実が明らかになります。

場面は、とあるマンションの一室へ。そこには、先ほど麻衣が「カモ」にしたアヤの姿がありました。彼女がスマートフォンで誰かとメッセージをやり取りしています。

「帰り何か買ってきてほしいものある?」 「ありがとう 他は大丈夫!」 「今日はもうロールキャベツ作っちゃったから大丈夫だよ」

その会話の相手のアカウント名は「Naoya」 。そして、彼が送ってきたスタンプは、鷲尾くんが舞台で演じていた「紫電」のキャラクターでした 。

そして極め付けに、メッセージをやり取りしていた相手のLINEアカウント。そのプロフィール写真が、先ほど麻衣が大金を叩いて手に入れたアカウント、その稽古靴の写真と一緒でした。

麻衣が必死に追い求め、自分だけが理解していると信じていた鷲尾直也。その彼の本当の日常は、麻衣が完全に見下していた初心者ファン、アヤと共にあったのです。

【本物のファンは私だけ】1話を読んだ感想(ネタバレあり)

いや、これは最後のページで鳥肌が立ちました。物語の構成が本当に見事です。

物語を通して、私たちは麻衣こそが鷲尾直也を最も理解するファンだと信じ込まされます。その献身的な愛情表現は、所有欲や他のファンへの侮蔑と表裏一体であり、彼女の熱狂ぶりには読んでいて少し息苦しさを感じてしまいます。しかし、その一方で彼女の徹底したこだわりには感心させられる部分もありました。

だからこそ、最後のどんでん返しが強烈なインパクトを残します。麻衣が必死に築き上げてきた「私だけが本物のファン」という世界が、一枚の画像と数回のトークでガラガラと崩れ去る瞬間は、読んでいて爽快感すら覚えました。麻衣が「カモ」だと思っていたアヤさんが、実は鷲尾くん本人とごく自然な日常を共有するパートナーだったなんて、誰が予想できたでしょうか。

この物語は、単なるファンの話ではありません。「好き」という感情がどこから歪んでしまうのか、そして本当の繋がりとは何なのかを問いかけてくるようです。麻衣の行動は極端かもしれませんが、ファン活動に熱中したことがある人なら、彼女の気持ちのほんの一部は理解できてしまうかもしれません。その危うさと、アヤさんの穏やかな日常との対比が、この物語の深い魅力を生み出しているのだと感じます。次回の展開が今から待ちきれません。

【本物のファンは私だけ】1話のネタバレまとめ

  • 主人公の中川麻衣は、俳優・鷲尾直也の「最推し」を自称し、他のファンを見下している。
  • 麻衣は鷲尾くんへの理解度を示すため、キャラクターの細部まで再現した高価なフラワースタンドを贈る。
  • 会場で出会った初心者ファンのアヤを「いいカモ」と判断し、有利な条件でグッズ交換を行う。
  • 麻衣は多額のお金を払い、ネットで鷲尾くん本人と思われるLINEアカウントを手に入れる。
  • 物語の最後、アヤが実は鷲尾直也本人と同棲している恋人であることが判明する。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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