【枯れた花に涙を】59話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 樹里は自分の部屋で眠る蓮の寝顔に安らぎを感じる 。
  • 蓮と譲二に追い返された鉄平は、雨の中をさまよい、樹里への執着と混乱を深める 。
  • 蓮は譲二との会話で、鉄平への殺意を口にするほど、樹里への独占欲と嫉妬心に苦しんでいることが明かされる 。
  • 蓮からの連絡が途絶えたことに異変を感じた樹里は、自宅へと急いで戻り、部屋の前の異様な状況に気づく 。

【枯れた花に涙を】第59話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話、自宅アパートの異変に気づき、最悪の事態を予感しながら駆け込んだ樹里。第59話では、彼女が目にした惨状と、蓮と鉄平の間に起こった出来事の、痛々しい結末が描かれます。さらに、蓮を打ちのめされたことで我を失った鉄平の、狂気的な行動も並行して描かれ、物語はより一層、危険な領域へと足を踏み入れます。

「最低男」―鉄平の、嫉妬と暴力の夜

場面は、蓮と譲二に追い返された鉄平が、同棲相手の女性の元へ戻ったところから始まります。樹里への執着心が生み出す嫉妬は、彼を暴力的な行動へと駆り立てました。

支配欲の暴発

自分を心配する同棲相手に対し、鉄平は怒りをぶつけます。彼女が「ねぇ」と呼びかけると、「『ねえ』じゃなくて『鉄平さん』って呼べよ」と威圧し、無理やり口づけをしました 。これは、蓮の前で感じた無力感を取り戻すかのような、支配欲の表れでした。彼は、その後の行為の最中も、心ここにあらず。彼の頭の中は、樹里と、彼女のそばにいた「あの男」(蓮)のことでいっぱいだったのです。

樹里への執着が生む妄想

鉄平は、肉体関係を持ちながらも、心の中では樹里のことばかりを考えていました。

樹里がそんなことするはずない」「もしあの男が先に手を出してたら?」と、嫉妬と不安が彼の精神を蝕んでいきます 。彼は、樹里が借金取りから上手く隠れているはずだと自分に言い聞かせながらも、「万が一樹里が諦めて受け入れてしまったら…」という最悪の想像に囚われてしまうのでした 。

行為の後、同棲相手から「この…最低男」と罵られても、彼の耳には届いていませんでした 。

「痛かったです」―樹里の帰宅と、蓮の涙

場面は、現在の樹里の部屋へ。ドアを開けた彼女が目にしたのは、変わり果てた姿の蓮でした。

惨状と再会

部屋に駆け込んだ樹里は、床に座り込み、顔を腫らし、唇から血を流している蓮を発見します 。彼女はすぐさま状況を察し、「あの人と喧嘩したの?」と、鉄平が来たことを確信しました 。樹里は、蓮の無謀な行動に怒りを爆発させます。

どうしてそんなことしたの」「逃げればよかったじゃない…!」「あなたみたいな子どもが手を出していい相手じゃないわ!」 。彼女の怒りは、蓮の身を案じる恐怖心の裏返しでした。

涙の告白

樹里に叱責され、うつむく蓮。彼の肩が小刻みに震えていることに、樹里は気づきます。「…泣いてるの…?そんなに痛い…?」 。その問いに、蓮は顔を上げ、涙を浮かべながら、しかしはっきりと答えました。

はい 痛かったです

そして、「帰ってきたとたん怒らないでください 俺も怖かったんですよ…」と、初めて自分の弱さを彼女に見せるのでした 。その痛々しい告白に、樹里は怒りを忘れ、ただ「ごめんなさい」と謝ることしかできませんでした 。

「舐めてください」

樹里が薬を塗ろうとすると、蓮はそれを制し、彼女にキスをします。そして、「唇も裂けてるし口の中も切れてて」「痛いんです」と、キスができない理由を告げた後、衝撃的な言葉を続けました。

舐めてください

それは、彼の傷と心を、ただ彼女に癒してほしいという、あまりにも切実で、純粋な願いでした。

【枯れた花に涙を】第59話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、暴力と癒しという、あまりにも対照的な二つの「愛」の形が描かれ、深く考えさせられる回でした。 鉄平が同棲相手に示すのは、自己中心的で、支配欲に満ちた暴力的な「愛」です。彼は相手の体を求めていながら、その心は完全に過去の女(樹里)に囚われている。これほどまでに虚しく、そして醜い行為があるでしょうか。彼の行動は、読者に強烈な不快感を与えます。

その一方で、蓮が樹里に示すのは、傷つき、涙を流す、どこまでも人間的な「愛」です。彼は自分の弱さを隠さず、ただ「怖かった」「痛かった」と告白します。そして、彼が求めるのは性的な行為ではなく、「舐めてください」という、まるで子供が母親に甘えるかのような、純粋な癒しでした。鉄平の暴力的な支配欲とは真逆の、蓮の絶対的な信頼と甘え。この対比が、二人の男の本質を鮮やかに描き出していました。樹里が選ぶべき道は、もはや明白なのではないでしょうか。

【枯れた花に涙を】59話のネタバレまとめ

  • 鉄平は、樹里への嫉妬心から、同棲中の女性に暴力的、かつ支配的な態度で肉体関係を強要する。
  • 行為の最中も、鉄平の頭は樹里のことでいっぱいであり、彼の執着が異常なレベルに達していることが描かれる。
  • 樹里は、自宅で顔を腫らした蓮を発見し、鉄平と喧嘩したことを知って激しく叱責する。
  • 蓮は、涙ながらに「痛かったです」「怖かった」と本心を告白。その弱さに触れた樹里は、彼を抱きしめる。
  • 蓮は、傷ついた唇ではキスができないと言い、樹里に「舐めてください」と、傷を癒すことを求める。

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コマさん(koma)
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野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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