【悪いのはあなたです】2話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【悪いのはあなたです】第2話をネタバレありでわかりやすく解説する

最悪の形で一夜限りの関係を終えた莉子。しかし、彼女の不幸はまだ始まったばかりでした。物語は、莉子が同棲する彼氏の元へ帰宅する場面から動き出します。

夢のような一夜からの帰宅、そして現実

「タクマ ただいま 今起きたの？」

莉子が暮らすアパートに帰ると、同棲中の彼氏・タクマがベッドから起きてきます。莉子が着ているのは、昨日ツトムに買ってもらった新しい服。当然、タクマは「服そんなの持ってたっけ？」と訝しみます。

動揺した莉子は、とっさに友人の名前を出し、苦しい言い訳をします。

「コーヒーこぼしちゃって ミカちゃんにお古の洋服着せてもらったの〜」

幸いにも、タクマはその嘘をあっさりと信じ込みます。それどころか、「えーいいなあ 俺もタダで服ほしーわ」と無邪気にねだる始末。 昨夜の豪華な世界とはあまりにもかけ離れた、インスタントラーメンが昼食の日常。莉子は「これが私の現実」と、心の内で静かにつぶやくのでした。

彼氏タクマとの不毛な口論

莉子は、家賃5万8千円の2DKアパートで、派遣社員として働きながら彼氏のタクマを養う生活を送っていました。 しかし、その収入源も今月で断たれてしまいます。意を決した莉子は、食事中のタクマにクビになった事実を打ち明けます。

深刻な莉子の表情とは裏腹に、タクマから返ってきた言葉は信じられないものでした。

「えーそうなの？ ウケる」

あまりに無神経な反応に、莉子の怒りが爆発します。「ねぇなんでそんなヘラヘラするの！ 家賃、光熱費全部私が払ってんだよ！！」と、たまりにたまった不満をぶつけます。 3万円でいいから家にお金を入れてほしい、という莉子の切実な訴えに、タクマは「わかったわかった」と気のない返事をします。

彼は「俺もバイトのシフト増やすよ」と言いながらも、「莉子もなんかバイトでもしたらいいじゃん」と、どこか他人事です。 追い詰められた莉子が「私、風俗で働いてもいいの？」と問い詰めると、彼はヘラヘラと笑いながら「想像するとちょっとおもしろいな」と返すのでした。

タクマに染められた7年間と失われた自己

口論は結局、何の解決にも至りません。 莉子は、バンドマンになるという夢を追いかけるタクマを、7年間も支え続けてきました。大学卒業後に付き合い始め、音楽活動のために先に上京した彼を追いかけ、2年前に自分も上京。 莉子の生活は、すべてがタクマ中心でした。

東京で知り合う人間は、すべてタクマの繋がり。 好きな服、音楽、漫画、料理、そして考え方まで、この7年間で全てがタクマの色に染まってしまったのです。 莉子は、もはや自分自身の輪郭すら見失っていました。

「自分がこの人と付き合う前 どんな人間だったのか もう覚えていない」

このモノローグは、タクマとの共依存的な関係が、莉子から「自分らしさ」を奪ってしまったことを物語っています。

束の間の安らぎと結婚への期待

気まずい雰囲気の中、タバコを買いに外へ出た二人。タクマは「俺が売れるまであと少しだけ待ってよ」と、莉子の手を優しく握ります。

その直後、二人は道端でセミが羽化しているのを見つけます。 無邪気にはしゃぐタクマの姿を見ていると、莉子の心にあった怒りは少しずつ溶けていきます。「こういう無邪気なタクマを見てると今のままでも幸せかもって思っちゃう」と、彼のダメな部分ごと愛している自分に気づかされるのです。

そして、タクマは不意にこう言います。 「いつか目黒区の2LDKのタワマン住ませてやるな？」

その言葉に、莉子の心は一気に舞い上がります。「これはする気あるってことだよね…！？」と、彼との結婚を期待してしまうのでした。

友人の幸せと、タクマの裏切り

翌日、莉子は友人のミカに連絡をします。昨夜、タクマに嘘をついた「家に泊めてもらった」という話の口裏を合わせてもらうためです。

一方で、場面は第1話に登場したあの男、ツトムの家へ。

そこには、なんと莉子の友人であるはずのミカが訪れていました。彼女はツトムの妻と料理教室で知り合った友人だったのです。 何も知らないミカは、ツトム夫婦を「美男美女夫婦」と褒めそやし、幸せそうな家庭の光景が広がります。

しかし、物語はここで終わりません。 駅のホームで電車を待つ、タクマとミカの姿。ミカはタクマに寄り添い、甘えた声でこう囁きます。

「大丈夫だよ だって莉子 全然気づく気配ないもんっ」

莉子が信じていた彼氏と友人が、裏で関係を持っていたのです。莉子を待ち受けるのは、想像を絶する裏切りの連鎖でした。

【悪いのはあなたです】2話を読んだ感想（ネタバレあり）

第2話は、莉子さんの置かれた状況の根深さが描かれていて、読んでいて非常に考えさせられました。前半の彼氏・タクマさんの言動には、正直なところ怒りしか湧きませんでした。「ウケる」の一言は、人の気持ちを全く考えられない彼の未熟さを象徴しています。莉子さんがなぜこんな人と一緒にいるのか、と最初は疑問でしたが、7年間という月日の中で、彼女自身がタクマさんに染められ、アイデンティティを失ってしまったという告白には胸が締め付けられました。

セミの羽化を見て「今のままでも幸せかも」と感じてしまう莉子さんの心情は、ダメな相手と分かっていても離れられない複雑な愛情を見事に表現していると思います。だからこそ、最後の展開はあまりにも衝撃的でした。信じていた彼氏だけでなく、唯一の友人だと思っていたミカさんまで…。幸せそうなツトムの家庭の様子と対比されるように描かれる裏切りの構図は、本当に残酷です。

サイコパスな既婚者に弄ばれた次は、最も身近な二人からの裏切り。莉子さんの不幸は底なし沼のようです。彼女がこの先、どうやって自分を取り戻し、この状況に立ち向かっていくのか。絶望的な状況だからこそ、目が離せない展開です。

【悪いのはあなたです】2話のネタバレまとめ

• 莉子は同棲中の彼氏・タクマに一夜限りの関係を隠すため、友人のミカの家に泊まったと嘘をつく。
• タクマはバンドマン志望で働いておらず、生活費は全て莉子が負担していることが明らかになる。
• 莉子がクビになったことを告げると、タクマは「ウケる」と無神経な反応をし、二人は口論になる。
• 7年間の交際の中で、莉子はタクマの影響で自分らしさを見失っていることに気づく。
• 物語の最後で、彼氏のタクマと友人のミカが浮気していることが発覚する。

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コマさん（koma）

野生のライトノベル作家

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社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》