漫画【初恋芸人】4話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 佐藤は市川さんの「友達になってほしい」という申し出を受け入れ、二人は晴れて友達になった 。
  • 食事の席で、お互いに過去いじめられていたという共通の傷を抱えていることを知り、心の距離を縮める 。
  • デート後、次の連絡をためらう佐藤だったが、市川さんからの電話で、彼女の家で一緒に映画を観るという約束を取り付ける 。

漫画【初恋芸人】第4話をネタバレありでわかりやすく解説する

市川さんからの「お家デート」という、あまりにも大胆な提案。この一言から、佐藤賢治の人生で最も長い一日が始まります。

史上最大のミッション「部屋の掃除」

市川さんが…この部屋に来る…!

電話を切った佐藤は、改めて自分の部屋を見渡して愕然とします 。ゴミは散らかり放題、床はホコリっぽく、そして何より全体的に「くさい!!!」 。好きな人を迎えるには、あまりにも絶望的な環境でした。

彼は人生で初めてかもしれないほどの使命感に燃え、大急ぎで掃除と買い出しに奔走します 。この必死な姿は、彼の市川さんへの想いの真剣さを物語っています。

暴走する妄想と、それを断ち切る自己肯定感の低さ

部屋の準備を進める中、佐藤の頭の中では良くない、しかし男の子らしい妄想が暴走を始めます 。市川さんに「優しくしてくださいね?」と求められる甘い展開を想像してしまい、一瞬、コンドームの購入が頭をよぎるのでした 。

しかし、その淡い期待は、彼の根深い自己肯定感の低さによって即座に打ち砕かれます。「ないないないない!!!!」 。彼は、「だってねぇ…僕なんかが、そんな期待したところで…」と自分に言い聞かせ、結局コンドームを買うことはありませんでした 。期待して、もし何もなかった時の傷つくことから自分を守る、彼らしい悲しい防衛本能でした。

桜も目に入らない、初めて繋いだ手

そして約束の日。緊張でほとんど眠れなかった佐藤の前に、市川さんが現れます 。彼の家へと向かう道すがら、市川さんは「私…人と手を繋いで歩くのが好きなんです」と言い、佐藤の手を求めます 。

戸惑いながらも手を繋いだ瞬間、佐藤の世界は一変します 。彼女の手の柔らかさ、温かさ。その感触が彼の全意識を支配し、道端に咲く満開の桜すら目に入りません 。彼にとって、それは「市川さんの手の感触に、すべての意識をからめとられていた」と表現されるほど、強烈な体験だったのです 。

オタク、早口になる。〜怪獣愛と砕け散る会話〜

ついに佐藤の部屋に到着。市川さんは、彼の趣味である怪獣のフィギュアコレクションを見て「怪獣がいっぱいですねっ。」と目を輝かせます 。そして「この中だとどれが好きなんですか?」と無邪気に尋ねました 。

この質問が、佐藤のオタクスイッチを入れてしまいます。彼は堰を切ったように、ゴジラの年代によるデザインの違い(モスゴジ、ビオゴジなど)を熱く語り始めました 。しかし、専門用語の連続に、市川さんは完全に置いてけぼりに。彼女は正直に、しかし残酷な一言を告げます。

ごめんなさい 何言ってるのか 全くわかりません。

我に返った佐藤は、気まずい空気の中、「映画 観ましょうか」と会話を切り上げるしかありませんでした

「期待」をさせてくれたもの

映画を観ながら、佐藤はこれまでの出来事を振り返ります。彼は、自分のような人間が何かを「期待するつもりなんて、本当になかったんです」と、心の中で呟いていました 。

しかし、市川さんとの出会いが、彼を少しずつ変えていました。彼は気づきます。

でも…貴方が手を握ってくれたから…僕は、高望みな期待をしてしまったんです。

彼女がただ手を繋いでくれた。その何気ない一つの行動が、諦めに満ちていた彼の心に、淡い光と「期待」という感情を芽生えさせていたのです。その切ない気づきと共に、第4話は幕を閉じます。

漫画【初恋芸人】4話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回の佐藤くんの挙動は、恋愛経験の少ない人間にとって「共感性羞恥」で身悶えするほどリアルでした。部屋の惨状に慌てて掃除を始める姿、あらぬ妄想をしては「いやいや俺なんかが…」と自己否定する思考のループ。好きな人ができると、どうしてこうも自分の全てがダメなものに思えてしまうのか。その痛々しいほどの純粋さに、胸が締め付けられます。

特に素晴らしかったのは、手を繋ぐシーンです。春の象徴である桜に見向きもせず、ただ手の感触だけに全神経を集中させる彼のモノローグは、初恋の持つ圧倒的な熱量を完璧に表現していました。世界から他のすべての情報がシャットアウトされ、ただ一人、好きな人の存在だけが浮かび上がる。あの感覚を見事に描き切った名シーンだと思います。

そして、趣味の話で大失敗するお決まりの展開も、ただのコメディでは終わりませんでした。最後のモノローグで、彼は自分の感情の高まりを、すべて「彼女が手を握ってくれたから」という一点に集約させます。失敗して落ち込むのではなく、なぜ自分が舞い上がってしまったのかを理解し、その原因が彼女の優しさにあると気づく。この自己分析こそが、彼の成長の第一歩なのではないでしょうか。恋が、人を内省的にし、成長させていく。そんな物語のテーマが垣間見えた、非常に切なく、美しい回でした。

漫画【初恋芸人】4話のネタバレまとめ

  • 市川さんが家に来ることを知り、佐藤は慌てて汚部屋を掃除する 。
  • 妄想が膨らむが、自己肯定感の低さから「期待してはいけない」と自分を戒める 。
  • 家までの道中、市川さんと初めて手を繋ぎ、佐藤はその感触に意識のすべてを奪われる 。
  • 部屋で趣味の怪獣の話を熱弁するが、市川さんに「全くわかりません」と言われてしまう 。
  • 佐藤は、市川さんが手を握ってくれたことで、自分が高望みな「期待」を抱いてしまったのだと自覚する 。

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コマさん(koma)
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野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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