2025.09.14

映画【リンク】ネタバレ解説！ラストの結末と恐怖の猿の正体

ずっちー

映画『リンク』の衝撃的なラストや結末について、詳しいネタバレ情報を探していませんか。執事として人間のように振る舞う賢いチンパンジーが、なぜ恐ろしい存在へと変貌してしまったのか、そのあらすじや物語の核心が気になる方も多いでしょう。この作品は、1986年に公開されて以来、単なるアニマルパニック映画という枠を超え、観る者に強烈な印象と深い問いを投げかけるカルト的名作として語り継がれています。

この記事では、映画『リンク』の物語の始まりから、緊張感あふれる中盤の展開、そして誰もが知りたがる衝撃のラストシーンまで、物語の全貌を徹底的にネタバレ解説します。さらに、本作が名作『キングコング』から受けた影響や、作品の根底に流れる「辺獄」という難解なテーマの考察にも深く踏み込んでいきます。この記事を読めば、映画『リンク』がただのホラー映画ではない、その奥深い魅力を完全に理解できるはずです。

この記事で分かること

映画『リンク』の詳しいあらすじと物語の全貌
主人公を襲う猿リンクの狂気に至る動機
物語のラストで描かれる衝撃の結末
作品に隠されたテーマや深い考察

Contents

映画リンクのネタバレ解説！物語の全貌
リンク映画のラストとネタバレ後の考察

映画リンクのネタバレ解説！物語の全貌

映画の基本情報とあらすじ
主要な登場人物たちを紹介
若き日のエリザベス・シューの熱演
執事猿リンクの狂気のはじまり
嫉妬と恐怖を煽るリンクの行動
テレンス・スタンプ演じる教授の末路

映画の基本情報とあらすじ

映画『リンク』は、1986年に公開されたイギリス製作のサイコロジカル・ホラーです。監督を務めたのは、アルフレッド・ヒッチコック監督の傑作『サイコ』の続編『サイコ2』を成功させ、”ヒッチコックの後継者”とも評されたリチャード・フランクリン。彼の卓越した演出により、本作は閉鎖された空間でじわじわと恐怖が高まっていく、質の高いサスペンス作品に仕上がっています。

物語の舞台は、イギリスの人里離れた海岸沿いにそびえ立つ、古風でどこか不気味な雰囲気の邸宅。動物学を専攻するアメリカからの女子留学生ジェーンは、尊敬する霊長類学の第一人者、フィリップ・クレイマン教授の助手として、夏休みをこの屋敷で過ごすことになります。大きな期待と少しの不安を胸に屋敷の扉を開けた彼女を待っていたのは、想像を絶する光景でした。タキシード風の執事服を身にまとい、丁寧な仕草で彼女を出迎えたのは、一匹の年老いたチンパンジーだったのです。

彼の名は「リンク」。教授の説明によれば、彼は人間と見紛うほどの驚異的な知能を持ち、この屋敷の執事として働いているとのこと。この奇妙な邸宅には他にも、常に檻に入れられている凶暴なメスの「ブードゥー」と、まだ幼く人懐っこいオスの「インプ」という2匹のチンパンジーがいました。ジェーンは、この異様な環境での研究生活をスタートさせますが、ある朝、教授が何の連絡もなしに忽然と姿を消してしまいます。研究室の戸棚からはブードゥーの死体が発見され、屋敷には不穏な空気が立ち込めます。外部との電話も繋がらなくなり、ジェーンは次第に、従順に見えたリンクの瞳の奥に潜む異常な光と、自分がこの屋敷に完全に閉じ込められてしまったという事実に気づき、戦慄するのでした。

主要な登場人物たちを紹介

本作の物語は、個性豊かな登場人物と、それ以上に強烈な個性を持つ猿たちによって展開されます。それぞれのキャラクターの内面や関係性を深く理解することが、この物語が描く恐怖の本質を捉えるための鍵となります。

登場人物名	演者/種別	役割・特徴
ジェーン	エリザベス・シュー	動物学を専攻する好奇心旺盛な女子大生。動物に対し理想主義的な一面を持つ。
フィリップ教授	テレンス・スタンプ	冷徹な類人猿学者。研究成果を優先し、動物を道具としてしか見ていない。
リンク	チンパンジー	人間並みの知能と高いプライドを持つ執事猿。物語の中心となる悲劇の存在。
インプ	チンパンジー	ジェーンに懐く無邪気な子猿。リンクの嫉妬の対象となる。
ブードゥー	チンパンジー	気性の荒い雌猿。物語序盤で姿を消し、事件の始まりを告げる。

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#### 人間側のキャラクター

主人公のジェーンは、動物への純粋な探求心から教授の助手を志願しますが、彼女の持つ理想主義的な動物観は、リンクの複雑な内面の前では無力です。物語が進むにつれて、彼女は恐怖の渦中で生き残るために、したたかで力強い女性へと変貌を遂げていきます。一方のフィリップ教授は、自身の研究のためなら動物の命や感情を軽視するマッドサイエンティストとして描かれます。彼の動物に対する傲慢で冷酷な態度こそが、この物語の全ての悲劇の引き金となるのです。

#### 類人猿側のキャラクター

本作の真の主役とも言えるリンクは、単なる凶暴な猿ではありません。服を着て葉巻を吸い、人間との高度なコミュニケーションをこなす彼は、人間社会に適応することで高いプライドと自我を形成しました。しかし、その内面には老いへの焦りと、決して人間にはなれないという孤独感を秘めています。インプは、ジェーンの愛情を一身に受ける存在として、リンクの嫉妬心を激しく煽る役割を果たします。彼の無邪気さが、結果的に悲劇を加速させる要因の一つとなります。そして、序盤で謎の死を遂げるブードゥーは、この屋敷に潜む暴力性と危険性を観客に最初に知らしめる重要な存在です。

若き日のエリザベス・シューの熱演

本作のヒロイン、ジェーンを演じているのは、80年代から90年代にかけて絶大な人気を博した女優、エリザベス・シューです。映画『ベスト・キッド』で注目を集め、後に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズや、アカデミー主演女優賞にノミネートされた『リービング・ラスベガス』などで知られる彼女ですが、本作はスターダムを駆け上がる前の貴重な主演作として、ファンの間で高く評価されています。

彼女は、知的好奇心にあふれる快活な学生が、徐々に逃げ場のない恐怖に追い詰められていく心理を、繊細かつリアルに表現しています。特に、言葉の通じない猿たちとの共演は、現代のCG技術がない時代においては非常に難易度が高かったと考えられますが、彼女は恐怖や戸惑いの表情、そして生き残るために必死に知恵を絞り、立ち向かう姿を見事に演じきりました。

劇中では、彼女が無防備なシャワーシーンでリンクに覗かれる場面など、体当たりの演技も披露しており、単なるサービスショットではなく、弱者が捕食者の視線に晒される恐怖を見事に演出しています。恐怖に怯えるか弱いヒロインとしての魅力と、絶望的な状況下でも決して諦めない精神的な力強さを兼ね備えた彼女の演技は、本作を単なるB級アニマルパニック映画の枠に収まらない、記憶に残る作品へと昇華させている大きな要因です。

執事猿リンクの狂気のはじまり

物語の序盤、リンクはタキシードを着こなし、ジェーンの荷物を運び、お茶を淹れるなど、まさに完璧な執事として振る舞います。その知能の高さと健気な姿は、観客に微笑ましさすら感じさせます。しかし、この穏やかな日常は、彼の主人であるフィリップ教授の冷酷で非情な一言によって、音を立てて崩れ落ちることになります。

教授は、長年の研究パートナーであったはずのリンクが年老い、能力に衰えが見え始めたことを理由に、もはや研究対象としての価値はないと一方的に判断します。そして、何の躊躇もなく動物業者ベイリーに電話をかけ、「年老いた猿を引き取って処分してほしい」と依頼してしまうのです。人間と同等の言語理解能力を持つリンクは、その会話をすぐそばで、静かに聞いていました。自分が長年尽くしてきた主人から、まるで古い道具のように捨てられ、命まで奪われようとしているという事実を、彼は完全に理解したのです。

この瞬間が、リンクの中で何かが決定的に切れる音でした。人間のように扱われ、人間社会のルールの中で生きてきたことで形成された彼の高い自尊心は、この裏切りによって無残に踏みにじられました。彼の瞳から従順な光が消え、代わりに宿ったのは、野生の怒りと人間への底知れぬ憎悪の炎でした。彼の静かな怒りは、まずその矛先を最も信頼し、そして最も裏切られた主人であるフィリップ教授に向けることになります。この瞬間から、風光明媚な崖の上の屋敷は、誰一人逃れることのできない恐怖の密室へと姿を変えるのです。

嫉妬と恐怖を煽るリンクの行動

主人であった教授を惨殺し、屋敷の新たな支配者となったリンクの行動は、抑制から解放されたかのように、エスカレートの一途をたどります。彼の常軌を逸した行動の根底には、ジェーンに対する歪んだ愛情と独占欲、そして彼女の愛情を独占する子猿インプへの燃え盛るような嫉妬がありました。

リンクは、自分こそがジェーンのパートナーであるべきだと考え、彼女を自分のものにしようとします。野犬に襲われたジェーンを救う英雄的な行動を見せる一方で、その愛情表現は次第に歪んでいきます。ジェーンが自分よりも、か弱く幼いインプにばかり優しく接し、絵本を読み聞かせたり一緒に眠ったりする姿を見て、彼は激しい嫉妬に駆られます。その結果、インプを屋敷の古井戸に突き落として閉じ込めるなど、陰湿で計画的な嫌がらせを始めました。

さらに、彼のジェーンに対する執着はストーカー行為へと発展します。ジェーンがバスルームでくつろいでいると、ドアの隙間からじっとその裸体を覗き込むシーンは、スケベな中年男性のような視線と相まって、本作屈指の不気味さと生理的嫌悪感を観る者に与えます。また、外部との連絡を完全に遮断するために電話機を電子レンジに入れて破壊する、訪ねてきた動物業者ベイリーやジェーンの友人たちを、チンパンジー特有の圧倒的な腕力で容赦なく惨殺するなど、その狂気はとどまることを知りません。人間レベルの知恵を使って計画的に行動し、動物としての圧倒的な暴力を行使するリンクは、ジェーンにとって最悪で最強の敵として、彼女を心身ともに追い詰めていくのです。

テレンス・スタンプ演じる教授の末路

『スーパーマンII』のゾッド将軍役で世界的な悪役俳優としての地位を確立した名優テレンス・スタンプ。彼が演じるフィリップ教授は、知性と傲慢さが同居するキャラクターであり、自らが招いた業によって悲惨な最期を迎えます。彼はリンクをはじめとする類人猿たちを、愛情を注ぐべきパートナーではなく、自らの名声のための研究材料、あるいは便利な道具としか見ていませんでした。その根底には、人間が他の生物より優れているという、揺るぎない傲慢な思想がありました。

前述の通り、長年連れ添ったリンクを「老いぼれた」という理由だけで不要と判断し、まるでゴミを処分するかのように、あっさりと殺処分を決定します。この生命に対する敬意を欠いた冷酷な決定が、リンクの心の最後の砦を打ち砕き、彼の怒りを買う直接的な原因となりました。劇中では教授の死の瞬間が詳細に描かれることはありませんが、彼の悲鳴や物音から、リンクがブードゥーを檻から解き放ち、共謀して教授を惨殺したことが明確に示唆されます。

その後、彼の無残な死体はリンクによって屋敷の古井戸の底深くへと沈められ、隠されます。物語の後半、リンクによって井戸に突き落とされたジェーンの友人が、暗い水中で腐乱した教授の死体と遭遇するシーンは、観客に強烈な視覚的ショックを与えます。自らの創造物（教育した猿）によって滅ぼされるその姿は、まるでゴシックホラーの古典『フランケンシュタイン』の博士を彷彿とさせます。動物への愛情と倫理観を欠いた研究者の末路は、この物語が警鐘を鳴らす「人間のエゴが招く悲劇」を、何よりも雄弁に象徴していると言えるでしょう。

リンク映画のラストとネタバレ後の考察

物語のラストと衝撃の結末
生き残ったインプが暗示する未来
キングコングとの類似点とは
「辺獄」というテーマの深い考察
映画リンクのネタバレ感想まとめ

物語のラストと衝撃の結末

物語のクライマックスは、完全に孤立無援となったジェーンと、屋敷の暴君と化したリンクとの壮絶な最終対決です。ジェーンの身を案じて屋敷にやってきたボーイフレンドのトムとその友人たちも、リンクの知恵と人間を遥かに凌駕する腕力の前に、なすすべもなく次々と惨殺されてしまいます。トムも足を折られ、もはやこれまでかと思われた絶体絶命の状況で、ジェーンは最後の賭けに出ます。

彼女は、リンクが人間の真似をして火を使うことを思い出し、ある計画を立てます。トムを地下室に隠すと、自身はキッチンへと逃げ込み、ガスの元栓を静かに開けました。そして、追いかけてきたリンクに対し、「動物は火を恐れるものよ！火を使えるのは人間だけなのよ！」と大声で挑発します。この言葉は、リンクの人間に対する対抗心とプライドを巧みに刺激しました。案の定、リンクはジェーンを嘲笑うかのように葉巻を咥え、勝ち誇った表情でマッチを擦ります。

ジェーンの狙い通り、その火花が充満したガスに引火し、キッチンは大爆発を起こしました。強烈な爆風と炎に包まれた屋敷から、火だるまになったリンクは必死に屋上へと逃げますが、燃え盛る炎の熱で構造が脆くなった床が、彼の体重を支えきれずに崩れ落ちます。リンクは断末魔の叫びとともに、自らが支配した屋敷の炎の中へと転落していきました。こうして、知能が高すぎたがゆえに人間社会の狭間で苦しみ、狂気に堕ちた悲しき猿と、ジェーンとの死闘は、壮絶な結末をもって幕を閉じるのでした。

生き残ったインプが暗示する未来

壮絶な戦いの末、ジェーンはかろうじて生き残り、足を負傷したボーイフレンドのトムを助け出して車で屋敷から脱出します。炎上する屋敷を背に走り去る車内には、安堵の空気が流れます。これで全ての悪夢が終わり、平穏な日常が戻ってくるかのように思われました。しかし、この映画の本当の恐怖、そして観客の心に最も重くのしかかる余韻は、この最後のシークエンスにこそ用意されています。

道を走る車の前方に、屋敷から逃げ出し行方が分からなくなっていた子猿のインプが、ぽつんと座っている姿が現れました。トムは「猿はもうこりごりだ」と、当然の反応を示してインプを置いていこうとします。しかし、ジェーンは彼の制止を振り切り、「まだ子供だから大丈夫よ」と言いながらインプを優しく抱きかかえ、車に乗せてしまうのです。

そして、インプを乗せた車が走り去った後、カメラはゆっくりとパンし、インプが座っていた場所の周囲に、無数の野犬の死骸が惨たらしく転がっている光景を映し出します。この衝撃的な映像は、ジェーンたちが屋敷で死闘を繰り広げている間に、まだ幼いインプがたった一匹で屈強な野犬の群れを返り討ちにし、皆殺しにしていたという事実を無言で物語っています。ジェーンに甘える無邪気な子猿に見えたインプもまた、リンクと同等、あるいはそれを凌駕するほどの凶暴性と戦闘能力を秘めていたのです。

ジェーンは、リンクという具体的な脅威から逃れたと思っただけで、その実、新たな、そしてまだ幼いがゆえに予測不能な脅威を、自らの善意と油断によって迎え入れてしまったことになります。彼女の「子供だから」という言葉は、動物に対する人間の甘い認識や独善性そのものを象徴しています。悲劇は決して終わったのではなく、これから再び、形を変えて繰り返されるかもしれない。この極めて後味の悪い結-末は、観客に強烈な印象を残し、物語に深い奥行きを与えています。

キングコングとの類似点とは

本作『リンク』を鑑賞した多くの映画ファンは、その物語の構造やテーマ性において、映画史に燦然と輝く不朽の名作『キングコング』（特に1933年のオリジナル版）との強い類似性を指摘しています。これは単なる偶然の一致ではなく、監督であるリチャード・フランクリンが、古典的なモンスター映画の様式を意識的に取り入れ、独自の解釈で再構築した結果であると考えられます。

最も顕著な共通点は、巨大、あるいは強力な類人猿が、種族を超えて美しい人間の女性に特別な感情を抱くという中心的なプロットです。髑髏島の王キングコングが、探検隊に連れてこられた女優アン・ダロウに心を奪われたように、『リンク』の主人公リンクもまた、屋敷にやってきた女子学生ジェーンに恋心にも似た強い執着を見せます。そして、愛する女性を守るために他の脅威（キングコングにとってはティラノサウルスなどの恐竜、リンクにとっては獰猛な野犬の群れ）と死闘を繰り広げるシーンは、両作品における大きな見せ場であり、構図としても非常に似通っています。

また、より本質的なテーマレベルにおいても、両作品は深く共鳴しています。それは、「人間のエゴや文明が、自然界の存在を悲劇へと追いやる」という物語です。キングコングは、人間の金儲けや見世物にするという欲望のために故郷から引き離され、慣れない文明社会で生きることを許されずに、最後はエンパイアステートビルから転落して命を落としました。「美女が野獣を殺した」という有名なラストの台詞は、人間の身勝手さを象徴しています。同様に、リンクもまたフィリップ教授の身勝手な都合と裏切りによって殺されそうになり、その結果として狂気へと追いやられます。結局、彼らはどちらも「人間社会にはなれなかった」異形の存在として描かれ、その哀れな最期には、恐怖と共に一種の哀愁が色濃く漂います。これらの点から、『リンク』は、キングコングの壮大な物語を、イギリスの田舎屋敷という限定的な空間における、より小規模で心理的な恐怖劇に巧みに置き換えた作品として捉えることができるでしょう。

「辺獄」というテーマの深い考察

本作の持つ哲学的、あるいは宗教的なテーマをより深く掘り下げていくと、フィリップ教授が執筆していた論文の続編タイトルである『辺獄（LIMBO）』という、非常に示唆に富んだ言葉に行き着きます。この「辺獄」とは、キリスト教、特にカトリックの神学における世界観の一つで、天国と地獄の間に存在する、いわば「どっちつかずの場所」を指す概念です。

神学上の解釈によれば、辺獄には、キリストがこの世に生まれる前に亡くなったプラトンやソクラテスのような善人や、原罪は負っているものの自らの意思で罪を犯してはいない、洗礼を受けずに死んだ赤子などの魂が行くとされています。彼らは地獄で罰を受けるほどの罪人ではないものの、キリストによる救済を受けていないため天国へ行く資格もない、そうした魂が留め置かれる場所なのです。

この難解な概念を本作『リンク』に当てはめてみると、物語の悲劇性がより一層際立ちます。リンクは、教授の教育によって人間の服を着て、人間の言葉を理解し、人間社会のルールの中で執事として振る舞うことで、もはや純粋な野生の「動物」ではなくなりました。彼のアイデンティティは、動物としての本能と、後天的に学習した人間性との間で引き裂かれています。しかし、どれだけ人間に近づこうとも、彼が生物学的に「人間」になることは決してできません。つまり、リンクは動物の世界からも、そして人間の世界からも完全にはみ出してしまった、まさに「辺獄」に囚われたような、孤独で中途半半端な存在なのです。

フィリップ教授は、この論文の中で、人間に近づきすぎた類人猿の魂が、そのアイデンティティの混乱ゆえに、死後も救済されることなく永遠に辺獄を彷徨い続ける運命にある、という自説を展開しようとしていたのかもしれません。このテーマは、単に人間と動物の関係性を描くだけでなく、異文化に適応しようとしながらも完全には受け入れられない者の孤独や悲劇といった、より普遍的な問題についても、私たちに深い問いを投げかけているのです。