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【ばけばけ】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【ばけばけ】第1話をネタバレありでわかりやすく解説する

2025年度後期朝ドラ【ばけばけ】、その物語は「この世はうらめしい。けど、すばらしい」というキャッチコピーと共に、波乱の明治時代から始まります。没落した士族の娘として生まれたヒロイン・松野トキの人生を、初回から丁寧に追いかけていきましょう。

未来の姿、心優しい「ママさん」

物語は、いきなり未来の時点、明治30年代後半の東京から幕を開けます。薄暗い部屋で、成長したトキ(高石あかり)が、怪談「耳なし芳一」を語っていました。聞き手は、外国人のヘブン(トミー・バストウ)。彼は、物語の途中で分からなかった日本語「たちまち」の意味をトキに尋ねます。

辞書を片手に「あっという間という意味です。私にもっと学があれば…」と少し寂しげに呟くトキ。その姿を見て、ヘブンは本棚に並んだ自著を示しながら、優しい言葉をかけます。

これ、誰のおかげでできたますか?学があれば、幽霊の話、お化けの話、みなバカらしいと思って笑うでしょう。ママさん、世界で一番ママです。

この一言は、二人の間に深い信頼関係があることを感じさせます。この心温まるシーンが、これから描かれるトキの過酷な幼少期を思うと、一筋の光のように感じられます。

時代にうらみを持つ松野家

時はさかのぼり、明治8年の松江。物語の本当の始まりです。まだ小学生のトキ(福地美晴)は、父・司之介(岡部たかし)、母・フミ(池脇千鶴)、そして祖父・勘右衛門(小日向文世)と共に、貧しい暮らしを送っていました。彼らはかつて松江藩の上級武士でしたが、明治維新によってその身分を失い、新しい世の中をうらみながら日々を過ごしています。

そのうらみは、ある夜、奇妙な形で表出しました。一家総出での「丑の刻参り」です。わら人形に釘を打ち付け、ざんぎり頭の者たちや、日本の開国を促したペリーまでも呪いの対象にしていました。「最高の夜じゃろ」と満足げな父・司之介に対し、「どちらかというと最低の夜じゃろ」と冷静に返す祖父・勘右衛門のやり取りが、松野家の少し変わった、しかし深刻な状況を物語っています。

学校での仕打ちと時代の壁

翌朝、いつも通りしじみ汁をすする松野家。しかし、一歩外に出れば、時代は彼らに冷たく当たります。学校へ向かう道すがら、トキは「今日も散切り頭が闊歩しとる」と父に話しかけますが、その学校で辛い出来事が待っていました。

クラスの男子児童たちに、丑の刻参りのことを「トキの父は怠けちょる!」「働け!」と馬鹿にされてしまいます。トキは「父には、父の考えがあって働いておらんのじゃき」と必死に言い返しました。しかし、追い打ちをかけたのは、あろうことか教師の言葉でした。彼はトキの父が怠けていると断じ、子供たちに「いつまでも、武士を引きずっておるのはいかん」と諭すのです。味方であるべき大人からの言葉は、幼いトキの心を深く傷つけました。

立ち尽くす父と母の涙

家に帰り、事の次第を聞いた司之介は激怒。「教師ごときがそげなことを」と刀を手に、学校へ向かおうとします。しかし、後を追ったトキとフミが見たのは、橋の上でただ立ち尽くす父の姿でした。刀を振りかざすこともできず、かといって引き返すこともできない、その背中はあまりにも小さく見えます。

その姿を見つめながら、母フミはトキをそっと抱きしめて語りかけました。

父上は立ち尽くすの。あなたが生まれたすぐ後に、明治の世になって、戸惑って。それからずっと、立ち尽くしてるの。怠けてるわけじゃない。なんも悪くないよ。一つも。

これは、父をかばう言葉であると同時に、急激な時代の変化に取り残された人々の悲しみを代弁するような、胸に迫るセリフです。怠けているのではなく、どうすれば良いのか分からずに動けなくなってしまった。フミの言葉は、司之介が決して責められるべき存在ではないことを、トキに優しく教えました。

化け物ごっこに咲いた笑顔

翌朝、トキは一枚の絵を描いていました。それは、父が化け物になって、意地悪な先生を食べてしまう絵です。「昨日の敵討ちじゃな」と司之介は言うと、おどけた様子で化け物の真似をして、トキを笑わせるのでした。

うらみ、貧しさ、そして世間からの冷たい視線。そんな暗闇の中でも、松野家には確かに家族の温かい絆と笑顔がありました。このささやかな幸せが、これからトキが歩むであろう厳しい道のりを支える力となるのかもしれません。果たして、立ち尽くす父は再び歩き出すことができるのでしょうか。そして、トキの運命はどのように開かれていくのか。物語はまだ始まったばかりです。

【ばけばけ】1話を観た感想(ネタバレあり)

ついに始まった朝ドラ【ばけばけ】。第1話から、ただならぬ雰囲気にぐっと引き込まれました。正直に言うと、胸が締め付けられるような切ない気持ちでいっぱいです。

冒頭で描かれた、大人になったトキさんとヘブンさんの穏やかな時間は、まるで夢物語のよう。その後の、明治初期の松野家の壮絶な貧しさと、世の中へのうらみつらみとのギャップが強烈でした。丑の刻参りのシーンは少しコミカルに描かれていましたが、その根底にあるのは、時代の変化についていけない人々の悲痛な叫びなのだと感じます。

特に心を揺さぶられたのは、学校での一件の後の、お母さん・フミさんの言葉です。「怠けてるわけじゃない。立ち尽くしてるの」。この一言に、お父さん・司之介さんの全ての苦悩が集約されているように思えました。プライドの高い武士だった男が、刀を握るしか能のない自分が、新しい時代でどう生きていけばいいのか分からず、ただ立ちすくむしかない。その情けなさ、悔しさ、そして悲しみを思うと、涙が出そうになります。岡部たかしさんの、あの橋の上での背中が全てを物語っていました。

そんな中でも、最後の「化け物ごっこ」のシーンは救いでした。どんなに貧しくても、世間に馬鹿にされても、父と娘の間には確かな愛情がある。あの笑顔があったからこそ、少しだけ希望を持って見終えることができました。

この物語は、単に「昔は大変だったね」という話ではないのかもしれません。変化の激しい現代を生きる私たちにとっても、司之介のように「立ち尽くして」しまう瞬間は、決して他人事ではないように感じます。これからトキが、この「うらめしい」世の中の「すばらしい」部分をどう見つけていくのか、半年間、しっかりと見届けたいと思います。

【ばけばけ】1話のネタバレまとめ

  • 物語は明治30年代後半、大人になったトキが外国人のヘブンと暮らしている未来のシーンから始まる。
  • 舞台は明治8年の松江へ。没落士族の松野家は、新しい時代をうらみながら貧しい生活を送っている。
  • 小学生のトキは、父・司之介が働かないことを理由に、学校の同級生や教師から心ない言葉を浴びせられる。
  • 激怒した司之介だが、何もできずに橋の上で立ち尽くしてしまう。その姿を母・フミは「時代に戸惑っているだけ」だとトキに説明する。
  • 辛い出来事の後、司之介は化け物の真似をしてトキを笑わせ、家族の絆の温かさが描かれた。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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