【兄だったモノ】8話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- カンナは、兄の亡霊が聖を殺そうとしていると分析し、鹿ノ子の恋心も見抜く 。
- 「聖を守る」という共通の目的のもと、鹿ノ子とカンナは協力関係を結ぶ 。
- 兄・騎一郎は、オムライスが嫌いだっただけでなく、食べること自体が苦手だったという新たな事実が判明する 。
- カンナは、騎一郎との幸せな思い出の直後に、彼から一方的に別れを告げられていた過去を明かす 。
【兄だったモノ】第8話をネタバレありでわかりやすく解説する
兄の元恋人・カンナという強力な協力者を得た鹿ノ子。ホテルの一室で、二人はそれぞれの覚悟と、兄を巡る過去の記憶を語り始めます。物語は、登場人物たちの複雑な内面へと、さらに深く分け入っていくのでした。
鹿ノ子が己に課した「賭け」
通帳が空になるまで
カンナは、鹿ノ子が聖に対して行っているという「賭け」について問いただします 。 鹿ノ子が語ったその内容は、あまりにも純粋で、そして無謀なものでした。 「広島に通おうって決めたんです 通帳が空になるまで」 約40万円の貯金を切り崩し、聖に会いに来る 。その目的は、いつか聖に「女として見てもらえるように…」という、切ない願いでした 。
馬鹿にされるかと思いきや、カンナはただ一言、「呆れた」と苦しそうに呟くだけでした 。鹿ノ子の痛々しいまでの覚悟を、彼女は正面から受け止めたのです。
生者と死者のフェアプレー
カンナは、そんな回りくどい方法を取る理由を尋ねます 。 それに対し、鹿ノ子は自らの哲学を語ります。 「兄は死んで 私は生きている」「だって不公平じゃないですか」 死者は、生きている人間には決して敵わない 。だからこそ、自分も兄と同じように「正々堂々と勝負がしたい」のだと 。 兄は「正直な人だったから」きっとそれを望んでいるはずだ、と鹿ノ子は信じているのでした 。
カンナの記憶の中の聖と騎一郎
似ているから…?
場面は、カンナが一人で聖の家を訪れた時の回想へと移ります。 カンナは聖に、なぜ彼が自分と騎一郎を「同じ人間みたいに」扱うのか、という疑問をぶつけていました 。 聖は力なく答えます。「似ているから。ですって…?」と 。誰かにそう言われたかのような曖昧な返答は、彼の自我が揺らいでいることを示唆します。
書けなくなった作家
カンナの回想は続きます。 聖はかつて作家として言葉を紡いでいましたが、ある日を境に、目の前が真っ暗になり、何も書けなくなってしまったといいます 。 そんな聖が筆を止める度に、兄・騎一郎は彼の元へと駆けつけていたのです 。二人の間には、我々が想像する以上に深く、共依存的な関係があったことが伺えます。
誑かすのが上手い
回想の最後、聖は、鹿ノ子のおかげで兄の遺骨がここにある、とカンナに明かします 。 その話を聞きながら、カンナは現在の聖の姿に、過去の面影を重ねていました。 「ああいう子 誑かすの」「あの時もそうだったものね」 彼女の言葉と共に映し出されるのは、聖の肩越しに不気味な笑みを浮かべる兄の亡霊。 聖の無意識の魅力は、本当に彼自身のものなのでしょうか。それとも、兄の亡霊が彼の体を使い、人々を魅了しているのでしょうか。聖という人間の輪郭が、不気味にぼやけていくのでした。
【兄だったモノ】8話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、鹿ノ子とカンナ、二人の女性の覚悟と過去が深く描かれた回でした。 鹿ノ子ちゃんの「賭け」の内容には胸が締め付けられました。恋敵であるはずの兄の亡霊に対し、「正々堂々」と戦おうとする彼女の純粋さと、その裏にある危うさ。痛々しいほどまっすぐな彼女の恋が、どうか報われてほしいと願わずにはいられません。
一方、カンナさんの回想で明かされた聖さんの過去も衝撃的でした。彼が抱える創作の苦悩と、それを支えていた騎一郎。二人の関係は、単なる恋人という言葉では表せない、もっと複雑で危うい繋がりだったのですね。 そして、最後のカンナさんのモノローグが本当に恐ろしかった…。聖さんの人たらしな魅力が、実は兄の亡霊によるものかもしれない、という可能性。これまでの彼の優しさ全てに疑いの目が向いてしまうような、最悪の疑惑です。聖さん自身の意思は、一体どこにあるのでしょうか。物語の根幹を揺るがす、不気味な余韻を残す回でした。
【兄だったモノ】8話のネタバレまとめ
- 鹿ノ子は、自分の貯金が尽きるまで広島に通い、聖の心を射止めようという「賭け」をしていた 。
- 彼女は、亡くなった兄と「正々堂々」勝負するために、あえて回りくどい方法を選んでいた 。
- 回想シーンで、聖がかつて筆を折った作家であり、その度に騎一郎が彼を支えていたという過去が明かされる 。
- 聖の魅力的な振る舞いを見たカンナは、それが兄の亡霊による影響ではないかと疑いを抱く 。
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