【兄だったモノ】31話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 回想シーンで、新人編集者だった犬上が、聖の優しさに触れて彼に心酔していく過程が描かれた。
- 聖の元恋人である西迫正義(さいさこ まさよし)が登場し、彼が聖に対して異常な執着を見せていることが明らかになった。
- 現在のカンナは、犬上を協力者として取り込むことに成功した。
- 頼豪の霊視で見た「血を流す聖」の記憶が、西迫という人物、そして兄・騎一郎の存在と結びついた。
【兄だったモノ】第31話のネタバレありでわかりやすく解説する
聖の過去を知る男・西迫。そして、聖に異常なまでに献身する編集者・犬上。新たな登場人物の登場により、物語はさらに複雑な様相を呈していきます。今回は、それぞれの思惑が交錯する中、傷ついた聖と鹿ノ子の距離が、急速に縮まる一夜が描かれます。
編集者・犬上の正義
物語は、編集部での犬上と彼の上司の口論から始まります。上司は、会社の経費で聖の関係者である鹿ノ子のホテルまで手配した犬上を「中眞先生にのめり込みすぎだ」と叱責します。 しかし、犬上は一歩も引きません。 「亡くなられた先生の恋人の妹さんです」「僕はご家族だと思っています」。 たとえ法律的には部外者でも、自分にとっては守るべき「家族」なのだと、彼は自らの正義を貫こうとするのでした。 その姿に、上司は「あいつもああなっちまったかぁ…」と、過去に聖に関わって「おかしくなった」者たちの姿を重ね、ため息をつくしかありませんでした。
兄の意志か、私の意志か
鹿ノ子の決意
場面は、聖と鹿ノ子が泊まるホテルへと移ります。 鹿ノ子は、聖に誘われるままホテルについてきたのは、自分の意志だと再確認していました。家に帰りたくないという本心と、電話越しに聞こえた聖の泣き声が、彼女の耳にべったりと張り付いて離れなかったのです。 しかし、彼女の心の中では、常に自問自答が繰り返されていました。 「けれど今 私の中をリフレインしているのは」「東雲騎一郎なら どんな言葉で どんな想いで どんな仕草で 中眞聖をどう慰める?」 聖を慰めたいという純粋な気持ちと、「兄ならどうするか」という思考。彼女の中で、自分自身の意志と、「兄だったモノ」としての役割が、せめぎ合っていました。
傷ついた聖の告白
部屋に入ると、聖は昨日の電話のことを謝り、鹿ノ子のおかげで救われた、と感謝を伝えます。 そして、彼はぽつりぽつりと、西迫との過去を語り始めました。西迫は高校の同級生で、昔少しだけ関係があった、と。 その言葉をきっかけに、張り詰めていた聖の心の糸が、ぷつりと切れてしまいます。鹿ノ子の前で、彼は子供のように崩れ落ちてしまうのでした。
そんな聖の姿に、鹿ノ子はただ、彼を抱きしめることしかできません。 涙を流し、意識が朦朧とする中、聖は鹿ノ子の瞳をじっと見つめ、こう尋ねるのでした。 「鹿ノ子ちゃんには 見えとったん?」「騎一郎?」。
【兄だったモノ】31話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、登場人物たちの感情が剥き出しになる、非常に濃密な回でした。 犬上さんの行動は、客観的に見れば常軌を逸しているのかもしれません。でも、彼の「僕はご家族だと思っています」という言葉には、歪んでいるとわかっていながらも、胸を打たれるものがありました。彼もまた、聖さんを救いたい一心なのでしょう。
そして、鹿ノ子ちゃんと聖さんのホテルでのシーン。鹿ノ子ちゃんが「兄ならどうするか」と考えながらも、最終的には自分の意志で聖さんを抱きしめる姿に、彼女の愛の深さを感じました。もはや、彼女の行動は「兄の代用品」というだけでは説明できません。 最後の、聖さんの「騎一郎、見えとったん?」という問いかけは、あまりにも残酷で、切なかったです。彼は、自分を襲った西迫のことよりも、傍にいるはずの騎一郎(の呪い)が、自分を助けてくれなかったことに傷ついていたのかもしれません。あるいは、鹿ノ子ちゃんの向こうに、本当に騎一郎の姿を見ていたのか。謎が謎を呼ぶ、最高の引きでした。
【兄だったモノ】31話のネタバレまとめ
- 編集者の犬上は、鹿ノ子を聖の「家族」だと主張し、彼女のホテル代を経費で落とそうとして上司と対立する。
- 鹿ノ子は、聖を慰めたいという自分の意志と、「兄ならどうするか」という思考の間で葛藤する。
- ホテルの一室で、聖は西迫との過去を語り始めるが、精神的な限界から鹿ノ子の前で泣き崩れてしまう。
- 鹿ノ子に抱きしめられ、意識が朦朧とする中で、聖は「鹿ノ子ちゃんには騎一郎が見えていたのか?」と尋ねる。
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