【兄だったモノ】32話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 編集者の犬上は、鹿ノ子を聖の「家族」だと主張し、彼女のホテル代を経費で落とそうとして上司と対立した。
- 鹿ノ子は、聖を慰めたいという自分の意志と、「兄ならどうするか」という思考の間で葛藤した。
- ホテルの一室で、聖は西迫との過去を語り始めるが、精神的な限界から鹿ノ子の前で泣き崩れてしまった。
- 鹿ノ子に抱きしめられ、意識が朦朧とする中で、聖は「鹿ノ子ちゃんには騎一郎が見えていたのか?」と尋ねた。
【兄だったモノ】第32話をネタバレありでわかりやすく解説する
「騎一郎、見えとったん?」――。聖から投げかけられた、あまりにも痛切な問い。それは、鹿ノ子が「兄だったモノ」としてではなく、一人の人間として彼と向き合う覚悟を決めさせる、引き金となりました。今回は、聖自身の口から、すべての真相が語られます。
偽りの無知と、罪の告白
兄を演じることの終わり
聖の問いに、鹿ノ子は決意します。「駄目だ」「自分の言葉で言わないと」。もはや兄のふりをして彼を慰めるのではなく、一人の人間として、彼を傷つけるかもしれない真実を伝えなければならない、と。 彼女は、聖を傷つけることを恐れて、呪いのことを伝えられなかった自分を「許さない」と断じます。
「俺が騎一郎を殺したから」
しかし、聖の口から語られたのは、鹿ノ子の想像を絶する言葉でした。 なぜ誰も教えてくれなかったのか、と嘆く彼に、鹿ノ子が「理由があると思うから…」と答えた、その時。聖は、堰を切ったように真実を告白します。 「理由なんて 俺が一番よく知っとる」「俺が騎一郎をあの家に閉じ込めたから」。 彼は、呪いの存在にずっと気づいていました。ただ、その事実を認めたくなくて、「見ないフリ 聞こえないフリをしてきて」。 そして、彼は自らの罪を吐き出すように叫びました。 「俺が 騎一郎を鹿ノ子ちゃんのもとへ返さずに殺したから」。
愛の代用品
聖は、自らが騎一郎にとって「愛の代用品でしかなかった」と語ります。騎一郎が一番に愛していたのは、妹である鹿ノ子だった、と。 自分は、鹿ノ子という本物の愛の代わりでしかなかった。それなのに、なぜ今、その本人が目の前にいるのか。「狡いね」と、聖は鹿ノ子を責めるように言います。
鹿ノ子は、ただあの日の幸せそうな二人になりたかっただけだと、涙ながらに訴えます。 その言葉を聞いた聖は、傷ついた顔で彼女を抱きしめ、最後の選択を迫るのでした。 「鹿ノ子ちゃんは 騎一郎と一緒?」「それとも 『俺』のこと好きになってくれる?」。 そう言って、彼は鹿ノ子の唇を塞ぐのでした。
【兄だったモノ】32話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、あまりにも苦しく、そしてあまりにも切ない告白の連続でした。 聖さんが、実は呪いの存在に気づいていたという事実。見えないふりをしていたのは、兄を自分の元に縛り付けてしまったという、彼の罪悪感の表れだったのですね。「俺が騎一郎を殺した」という叫びは、物理的な意味ではなく、魂を殺してしまったという意味なのでしょう。彼の抱えてきた孤独と後悔の重さに、胸が張り裂けそうでした。
そして、「自分は鹿ノ子ちゃんの代用品だった」という告白。この物語に登場する人物は、誰もが誰かの代わりを求め、誰かの代わりを演じているかのようです。その歪な関係性の中心にいた聖さんの苦しみは、計り知れません。 最後のキスシーンは、官能的でありながら、あまりにも痛々しかったです。これは愛情表現ではなく、救いを求める悲痛な叫びそのものでした。「俺」を好きになってくれるか、という問いは、兄の影ではない、自分自身を見てほしいという、彼の魂の懇願なのでしょう。鹿ノ子ちゃんが、このあまりにも重い問いにどう答えるのか、目が離せません。
【兄だったモノ】32話のネタバレまとめ
- 鹿ノ子は、兄を演じることをやめ、自分の言葉で聖と向き合うことを決意する。
- 聖は、呪いの存在に気づいていながらも、兄を独占したいという罪悪感から「見えないふり」をしていたことを告白する。
- 聖は、自らが騎一郎を家に縛り付け、魂を「殺した」のだと、罪の意識を吐露した。
- 彼は、自分が騎一郎にとって鹿ノ子の「愛の代用品」でしかなかったと信じていた。
- 最後に聖は、「俺を好きになってくれるか」と問いかけながら、鹿ノ子にキスをした。
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