【兄だったモノ】45話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 物語は、これまでの登場人物たちの証言をまとめる「法廷劇」の形式で始まった。
  • 鹿ノ子は、聖が死にかけた一連の事件の犯人が呪いではなく、聖自身による自傷行為だった、という結論を述べた。
  • その結論に納得できない西迫は、聖本人に真実を問いただすため、鹿ノ子を連れて行こうとすると宣言した。
  • 鹿ノ子は、自らの意志で西迫に同行することを決意し、「本当の聖」を知りたいと願っていた。

【兄だったモノ】第45話をネタバレありでわかりやすく解説する

聖の「本当の顔」を確かめるため、西迫、そしてカンナ、頼豪と共にホテルへ向かう鹿ノ子。その道中、西迫は自らの罪と、聖への歪んだ愛情のすべてを語り始めます。

西迫の独白

暴力に縋った日々

「俺は今から独り言を言うぞ」――。 そう前置きし、西迫は自らの過去を語り始めます。聖と騎一郎が恋人同士になったあの日以降、彼は日常的に聖へ暴力を振るうようになっていました。 それは鬱憤を晴らすためであると同時に、もう一度聖の関心を惹きたかったから。しかし、どんなに殴りつけても、聖はただ「奇妙な虫を見るかのような目」で彼を見るだけで、何の感情も見せてはくれませんでした。

聖が「人間に戻った」日

西迫の心が完全に折れたのは、大学で聖と騎一郎が仲睦まじくしている姿を再会した時でした。騎一郎に向ける聖の目の色を見て、西迫は、聖が自分といた頃の虚無的な存在から、感情を持つ「人間に戻って」しまったことを悟ります。 そして、その人間らしい聖を自分のもとから引きずり下ろしたのは、騎一郎だったのだと、激しい嫉妬と憎しみを募らせるのでした。

偽りの聖と、最悪の凶行

西迫は、鹿ノ子に「本当に中眞のことが好きか?」と問いかけます。そして、「もし代替品として好きならやめとけ」と、自らの経験を元にした、歪んだ忠告を送りました。 鹿ノ子が「私は一度も聖さんを代替品として見たことはないわ」と毅然と答えた、その時です。 目の前に、聖の姿が現れました。しかし、様子がどこかおかしい。 「あれって中眞くんじゃない…?」。カンナが呟いた瞬間、その偽物の聖――聖そっくりに変装した編集者の犬上は、無言で西迫の背中に刃物を突き立てるのでした。 「最悪な展開だな こりゃ…」。血を流し倒れる西迫。物語は、最も衝撃的な形で幕を閉じます。

【兄だったモノ】45話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、西迫というキャラクターの悲劇が、あまりにも克明に描かれていて、読んでいて本当に胸が苦しくなりました。 彼の暴力は決して許されることではありません。しかし、その根底にあったのが、あまりにも惨めな愛情の乞い方だったと知ると、彼を単純な悪役として断罪することができなくなってしまいます。聖に「奇妙な虫」を見るような目で見られていた、というくだりは、彼の心が完全に壊れてしまった瞬間なのでしょう。

そして、最後の犬上の凶行。これは全く予想できませんでした。聖への忠誠心が行き過ぎて、彼を傷つける可能性のある過去の人間を「排除」しにきた、ということなのでしょうか。それにしても、聖そっくりに変装してまで、というのは常軌を逸しています。 西迫の告白によって、ようやく過去の真相が見えてきたかと思った矢先に、現在進行形で新たな惨劇が起きてしまう。この緩急の付け方が、本当に見事だと思いました。聖を取り巻く人間は、なぜこうも狂っていくのか。その根源にあるものの恐ろしさを、改めて感じさせられる回でした。

【兄だったモノ】45話のネタバレまとめ

  • 聖のホテルへ向かう道中、西迫は鹿ノ子に自らの過去を「独り言」として語り始める。
  • 彼は、聖と騎一郎が付き合い始めた後、聖の気を引くために、彼に日常的な暴力を振るっていたことを告白した。
  • その後、聖そっくりに変装した編集者の犬上が一行の前に現れる。
  • 犬上は、何の前触れもなく、背後から西迫を刃物で刺した。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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