【兄だったモノ】51話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 病院から西迫と犬上の二人が姿を消した。
  • 鹿ノ子の母親は、帰宅した彼女と、一緒にいた聖に対して激しい憎悪をぶつける。
  • 母親は聖を「人殺し」と罵り、「騎一郎の代わりに鹿ノ子が死ねばよかった」という趣旨の恐ろしい言葉を口にした。
  • 鹿ノ子は、自らの本当の名前が北角鹿ノ子(きたかど かのこ)であり、父の不倫によって生まれた、騎一郎の異母妹であることを告白した。

【兄だったモノ】第51話をネタバレありでわかりやすく解説する

自らの出生の秘密を明かした鹿ノ子。彼女の口から語られるのは、おとぎ話のように始まり、地獄のような現実へと至る、彼女の半生でした。今回は、鹿ノ子の視点から、東雲家の歪んだ家族関係と、彼女が抱える兄への複雑な感情が、痛切に描かれます。

咎人は証言台に

歓迎されない子供

物語は、鹿ノ子の独白で、彼女の過去が絵本のように語られる場面から始まります。 ある日、父親と名乗る男に連れられて、「お城」のような家にやってきた一人の女の子。しかし、お城に住む人(義母)の戸惑った眼を見て、彼女は自分が歓迎されていない子供なのだと、すぐに理解したのでした。

場面は現在に戻り、母の暴言に「全部こいつが悪いんだ!」と叫ぶ聖。しかし、鹿ノ子は「違うんです」と彼を制します。彼女は、諸悪の根源は父であり、義母もまた被害者なのだと考えていたのです。子どもながらに「離婚しちゃえ」と思っていたけれど、義母はプライドからか、鹿ノ子を「娘」として受け入れてくれました。

完璧な兄、そして憎しみ

義母は時折ヒステリックになり、鹿ノ子に暴力を振るいました。そのたびに彼女を庇い、盾となってくれたのが、半分しか血の繋がらない兄・騎一郎でした。 突然現れた「妹」にも真摯に接してくれる、優しくて完璧な兄。鹿ノ子は、そんな兄のことが大好きでした。

「そして 吐き気がするほど大嫌い!」。 鹿ノ子の告白は、衝撃的な方向へと転換します。彼女は、兄を憎んでいたのです。なぜなら、兄は家の不幸の原因である自分を、いくらでも責める権利があったのに、決してそうしなかったから。優しすぎる兄が、彼女には許せなかったのかもしれません。

羨望の先にあるもの

鹿ノ子の憎しみの根源、それは「羨望」でした。 優しくて完璧で、全てを持っていた兄。その兄が、聖と出会い、理性のない、ぽっかりとした眼を向ける。その姿は、鹿ノ子が知る完璧な兄の面影など、どこにもありませんでした。

彼女はずっと羨ましかったのです。化け物に変わり果てるまで聖を愛した兄のことが。そして、そんな兄に愛された、聖のことが。 「私だって誰かに愛されたかった」。 その願望を自覚した瞬間、鹿ノ子の脳裏に、かつて兄が言った「お前も聖を好きになる」という言葉が、リフレインするのでした。

【兄だったモノ】51話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、鹿ノ子ちゃんの独白があまりにも壮絶で、読んでいて言葉を失いました。彼女の半生を「おとぎ話」になぞらえる演出が、逆にその悲惨さを際立たせていましたね。 義母のことも「被害者」だと語る彼女の達観した視点には、彼女がどれだけ過酷な環境で、心を殺して生きてきたのかが伝わってきて、胸が締め付けられました。

そして、「兄が大好きで、大嫌いだった」という告白。これは、この物語の核心に触れる、非常に重要な感情だと思いました。自分を虐待から守ってくれた唯一の味方。しかし、その完璧さ、優しさが、逆に自分自身の罪を浮き彫りにする。愛と憎しみは、常に表裏一体なのだと、改めて考えさせられました。 最後の「羨ましかった」という本音の吐露。彼女のこれまでの行動原理が、すべてこの一言に集約されているようです。彼女はただ、兄が聖に与えたような、見返りを求めない絶対的な愛に、焦がれていただけなのかもしれません。

【兄だったモノ】51話のネタバレまとめ

  • 鹿ノ子は、自らの過去を聖に語り始める。それは、父の不倫相手の子供として、東雲家に引き取られた日々のことだった。
  • 彼女は、自分に暴力を振るった義母もまた、無責任な父の「被害者」であると捉えていた。
  • 義母の暴力からいつも守ってくれた完璧な兄・騎一郎のことを、彼女は大好きであると同時に、吐き気がするほど大嫌いだったと告白する。
  • その憎しみの根源は、兄が聖に見せた、全てを投げ打つほどの激しい愛への「羨望」であった。彼女は、兄が聖に与えたような愛を、自分も誰かから受けたかったのだと自覚する。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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