【兄だったモノ】53話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 鹿ノ子は、自らの過去を聖に語り始めた。それは、父の不倫相手の子供として、東雲家に引き取られた日々のことだった。
  • 彼女は、自分に暴力を振るった義母もまた、無責任な父の「被害者」であると捉えていた。
  • 兄・騎一郎のことを、彼女は大好きであると同時に、吐き気がするほど大嫌いだったと告白した。
  • その憎しみの根源は、兄が聖に見せた、全てを投げ打つほどの激しい愛への「羨望」であった。

【兄だったモノ】第53話をネタバレありでわかりやすく解説する

「俺と一緒に死んでくれない?」――。聖からの、あまりにも甘く、絶望的な誘い。鹿ノ子はそれを受け入れ、二人の最後の旅が始まります。それは、兄の思い出を辿る、死出の旅路でした。

最後の旅路へ

過去との決別

物語は、広島の聖の家から始まります。カンナや編集者の犬上からの不在着信が溜まったスマートフォンを、聖は静かにテーブルに置きました。過去のしがらみを断ち切るかのように、彼は鹿ノ子に「そろそろ行こっか」と、穏やかに微笑みかけます。 家を出ていく二人を、あの黒い呪いの影が、静かに見送っていました。

兄が断った誘い

聖は、鹿ノ子が一緒に来てくれたことに、少し驚いていました。「本当は断られるって思っとったんよ」と。 彼は、かつて兄・騎一郎にも同じことを言ったことがある、と告白します。「一緒に死のう」と。しかし、その時、騎一郎は物凄く怒ったのだといいます。 鹿ノ子は「お兄ちゃんと同じようにしたほうがよかったですか?」と尋ねますが、聖は「鹿ノ子ちゃんは鹿ノ子ちゃんじゃもん」と、彼女自身であることを肯定するのでした。

死に装束を選ぶ

旅の始まりに、聖が提案したのは意外なことでした。「どうせ死ぬんじゃけえ 綺麗な服着て死のうや」。 二人は、まるでデートでもするかのように、服を買いに出かけます。死ぬためだというのに、その時間はどこか穏やかで、楽しげですらありました。 新しい服に着替えた二人。聖は、「友人とか恋人とか そういう関係に見えたほうが安心じゃもんね」と冗談めかして言います。 そして、今の自分たちをこう表現しました。 「本当は自殺願望の誘拐犯とその被害者なのに」。 その言葉の裏には、二人だけが共有する、歪で純粋な世界のルールがありました。 しかし、駅へと向かった二人の目に、信じられない光景が飛び込んでくるのでした。

【兄だったモノ】53話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、絶望的な状況の中にある、束の間の穏やかな時間が、逆にとても切なく、美しい回でした。 過去のしがらみを象徴するスマホを置いていく聖さんの姿。それは、彼が本気でこの世との別れを決意していることの現れなのでしょう。その覚悟の重さに、胸が締め付けられました。

そして、二人で死に装束を買いに行くシーン。あまりにもシュールで、不謹慎なのに、どこかロマンチックですらありました。破滅に向かう恋人たちの、最後のデート。その危うい美しさに、ただただ引き込まれました。「自殺願望の誘拐犯とその被害者」という聖さんの自嘲的な言葉も、二人の関係性の異常さと、その中にある確かな絆を物語っていて、非常に印象的です。 しかし、最後の最後で、穏やかな雰囲気をぶち壊すかのような引き。駅で二人が見たものとは、一体何だったのでしょうか。またしても、彼らの逃避行を邪魔する何かが現れてしまったのか。幸せな時間が、あまりにも儚い…。

【兄だったモノ】53話のネタバレまとめ

  • 聖と鹿ノ子は、兄の思い出の地を巡る「死出の旅」に出ることを決意し、聖はしがらみを断ち切るようにスマートフォンを家に置いていく。
  • 聖は、かつて騎一郎にも一緒に死のうと誘い、激しく怒られた過去を明かす。
  • 二人は旅の始まりに、「綺麗な服を着て死のう」と、新しい服を買いに出かける。
  • 旅支度を終え、駅へと向かった二人は、そこで何か衝撃的なものを目撃する。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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